●団体さんいらっしゃ~い (11月19日)
11月後半から年末にかけてのこの時期、事務所での僕は出不精になる。なぜって、あの陳情団軍団が日本全国から大挙押し寄せてくるからだ。僕には有酸素運動の趣味はないので、最上階である7階にある事務所までエッチラオッチラ階段で登る気などまるでない。なので何かの用事で1階に下りたらそれなりの覚悟が必要だ。戻る時1階ロビーに行くとそこは何十人もの人でごったがえしている。アメリカ同時テロ以来、ビルに入る際に部外者は一人一人金属探知機を通らなければならないのだが、そこにも長い行列ができ、順番待ちの人が受付まで溢れ出している。もう、大変に騒々しい。そして暑い。ざるに一杯のドジョウがウニョウニョしているような図を想像していただければよいだろうか。
なのにである。エレベーターは3基しかない。必然として、エレベーターが次々に満員となっていくのを見ながら忍耐力を試される事態になる。 そんな時、僕はロビーの裏手に入っていく。そこには荷物搬入用の業務用エレベーター2基があるので、そしらぬ顔をして7階へと向う。あまりあからさまに行っては軍団にわかってしまうのでコッソリと行く。大概、同業者が何人かいて、苦笑いすることになる。 さて、陳情団は大きく2つのタイプに分けられる。ひとつは40代以上、主に50、60台のおじさん陳情団である。もうひとつは、大体30、40代の男女混成陳情団である。 おじさん陳情団はほとんどが地方議員のおじさん、おじいさんで、引率の若い職員に連れられてまるで観光気分である。右に行くのか、左に行くのかまったく分かっていないので大騒ぎしている。みんな楽しそうだ。行き先は地元の先生方で、言うことも決まっている。「先生、ひとつよろしく頼みます」。詳しいことは引率のにいちゃんがやってくれるので、陳情はものの30秒で終わる。その30秒のために15人、20人の団体がゾロゾロやってくる。部屋に入りきらないおじさんたちはドアの外から中をのぞいている。時には記念写真をとったりしてはしゃいでいる。はっきりいって、いてもいなくても、陳情そのものにはまったく影響はない。実はみんな来たくて来てるのである。楽しいはずである。これを数ヶ所まわって陳情は終わりで、おじさんたちは満足して帰ってゆく。今晩はどこで宴会かな。 もうひとつの方は、物見遊山ではなくわりと真剣な表情で熱心に回る。こちらはまわる事務所の数がハンパなく多く、手分けして何10ヶ所も回る。だから、全体の人数は何十人にもなると思われるが、事務所に来るときは4人くらいになる。こちらの陳情は話が長い。いくつもの要望を書き込んだ紙を渡しながら、「私達は○○の××です。今回は△△の件で先生に陳情にあがりました。つきましては・・・」長い説明が続く。こちらはひとつひとつ、うなずいていく。最後に、「ご賛同いただけますでしょうか」と聞かれる。これは内容によるが、たいていは預かっておいて後日返答することになる。いきなり来ても、なかなか○とはならないものだが、実はここでもめると大変だ。賛成、反対で言い合いとなることもある。こじれると非常に厄介である。先生の考えを知りたがるのだが、わからないと答えると、時には、じゃああなたはどう思ってるんですか、なんて聞いてくる。勘弁して欲しい。こんな時は絶対にまともに答えてはならない。その答えでまたいろいろもめるに違いないからである。思想、信条の自由ってものがある。僕の頭の中をのぞかれる筋合いはないと思うのだが。 こんな人たちが毎日やってくる。この時期の風物詩である。
by redhills
| 2004-11-19 17:34
| 日記
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