"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●デジタル文明考1 「ハイテク技術の本質」

 ここ10年の間に身の回りの生活でもっとも変わったことといえば、携帯電話の普及であろうかと思う。人によってはインターネットの普及というかもしれない。
 いずれにしても僕は、この大きな変化の技術的な根っこはデジタル化だと思っている。人類史における、農業革命、産業革命に続く第3の波は情報革命であるといわれているが、その技術的な本質がデジタル化というわけだ。

 僕ら現代文明の中にどっぷり浸かっている人間にとって、デジタル技術とかかわりなく生きていくことはもはや不可能である点は異論はないと思う。でも僕は、実はその影響は生活の変化といった次元をはるかに超えてしまっているのじゃないかと考えている。つまり、僕らはもう、その思考の多くをデジタル的に変容させてしまっているのではないだろうか。単なる技術だけではなく、文明という優れて観念的な人類の営みの発露もデジタル化していっているのではないだろうか。

 そんなぼんやりした考えが前からあって、形にして見たいなと思っていた。まぁ、こういった分野は世の中の天才たちがあれやこれやと優れた仕事をされていることもあり、文字にすることさえ恥ずかしくもあるのだけれども、日記だし、いいやね! ということで、いささか大げさだと思いながらも、デジタル文明考というトピック、作っちゃいました。平たく言えば、現代文明をデジタルという切り口で考えよう、ということです。

 その1は、ハイテク技術についてです。

 ここのところ、企業間で特許侵害が問題になるケースが多い。日本とアメリカ、日本と韓国、中国と韓国など、国をまたがった形で裁判に持ち込まれることもよくある。液晶や半導体、デジカメや薄型テレビなど、主にハイテク家電やその中核技術にまつわる争いがほとんどである。
 以前(1990年以前)は、こんなことはなかったと思う。通商問題が生じることはあっても、特許侵害という紛争はあまり聞かなかった。この原因は、東西冷戦下でグローバリズムが不十分であったということもあろう。イデオロギーの対立が消滅し、世界中が経済(資本主義)という価値観で一体化したことが激しい競争を呼んだことは間違いない。でも、その最大の要因はハイテク技術のデジタル化ではないだろうか。
 
 デジタルとアナログの違いは、極端に言うと、数字に置き換えられるか、否かということのように思う。ご存知のとおり、デジタルにおいてはすべての情報を0と1のどちらかに還元してしまう。このことによって、データ処理を容易にすることが可能になるのだ。だから、文字でも絵でも音楽でも映画でも、何でも同じ方法で扱える。アナログのような、あいまいなグレーゾーンがないので機械と相性が良いのだ。
 つまり、デジタル化すると、いっそう機械化が進むという構図になる。これこそ、デジタル化の最大のメリットである。すなわち、人類の夢、面倒なことは何でも機械にやってもらおうという夢に近づく大きな一歩となるわけだ。

 デジタル化が機械との相性が良いということは、同時にコピーしやすいということでもある。ビデオテープはダビングしていくとだんだんテープ自体もくたびれてくるしコピーを繰り返すと映像も悪くなる。しかし、デジタルにはそういったことは理論上、ない。何度コピーしても、子から孫、ひ孫とコピーして言ってもまったく同じものが出来上がる。

 これは何もソフトだけの問題ではない。デジタル技術を駆使したハードでも同じことが言える。つまり、コピーが簡単にできてしまう。なぜなら、かつて微妙な職人技に頼っていた回路技術なども、デジタル化されて今ではすべて半導体などの情報処理に委ねられることになるからで、最もデジタル化が進んでいる情報家電でそういった傾向が特に激しいのは当然のことになる。パソコンなどはもうすでに、必要な部品を組み立てれば誰にでも作れてしまうのであり、だからデルなどが急速にシェアを伸ばせたのだ。部品会社から部品をもらえばすぐに同じ製品を作れるのだから、完成品メーカーは自前の技術にこだわっていると負けてしまうということになる。
 デジタル化によって、以前より格段にハードのコピーが容易になった結果、先進的製品を苦労して開発して発売しても、すぐにコピーされてしまう。確かに細かい作業は必要だが、それもあくまで画一的な作業であり、アナログ的な、ひとつひとつの微妙な違いを調整しつつ、丁寧に作り上げるというのと根本的にモノの作り方が異なってしまっている。だから、モノの善し悪しが数字ですべて比べられてしまう。CPUのクロック数でパソコンの性能が測られるのが良い例だ。ハイテク製品での特許紛争が急増したのも、すぐにコピーされてしまうというデジタル化の一つの側面が、ビジネスの負の面として現れてきたということに他ならない。
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by redhills | 2004-12-14 19:15
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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