"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●生命とは抗うもの(上)


 年末年始となると、人それぞれにいろいろと考える。かくいう私もまぁそれなりに考えるところはある。考え出すと止まらないのである。それでいて困ることにあまり筋道立っていない。そんなだらしのないものを垂れ流すのはやや気が引けるのだが、まぁ恥も外聞も無くやってしまおう。生命について、考えた。

 きっかけはテレビだった。何だかんだいって結構テレビを見ているものなのだが、年末に「地球大進化」という番組を連日再放送していた。
 この番組は、最新の古生物学や地球物理学の成果を駆使して、地球に生命が誕生してから人類が誕生するまでを振り返るものなのだが、これがとても面白かった。基本的なスタンスがとてもユニークであり、またそこで語られる歴史は従来の地球観、生命観を覆すものだったからだ。

 まず番組は「母なる地球」を否定する。太陽からの絶妙の距離が生んだ大気と水と地表面を薄く覆う地殻。オゾンや電離層などによる紫外線や放射線の遮断。それらが存在した結果、太陽系の中で地球にだけ生命が存在を続けることが出来たという、奇跡的な環境としての生命圏の神秘。・・・そういった「生命を育んだ存在」という、母性的な地球のイメージは誤りだった、と番組は宣言する。
 地球の真実の姿。それは、過去幾度にわたり生命に過酷な試練を与え、私たち人類の祖先を何度も絶滅の危機に追い込んできた、厳しい存在、父性的な存在だったのだ。事実、生命は過去何度も大規模な絶滅を繰り返してきた。有名なのは恐竜の話だが、実はそんなものは比べ物にならない、私たちの想像レベルをはるかに超える大異変が大昔に生命を襲ったのだ。

 これには本当にぶっ飛んでしまった。

 40億年前。生命は海中に小さなバクテリア状の単細胞生物しか存在していなかった時代。地球も今よりだいぶ小さかった。そして、太陽系には今より多くの惑星があり太陽の周りを回っていた。そしてある時、そのなかの比較的小さな惑星が地球に引き寄せられ衝突した。それが生半可な大きさではない。何と直径400キロ!そしてそれが、時速70000キロで地球とぶつかったのだ!
 その結果何が起こったか。「地殻津波」が起こったのだ。現在、インド洋大津波で20万人に迫る犠牲者が出ているなかで書くのは少しはばかられる気はするが、この「地殻津波」といったら!何と、高さ数百キロの津波が地球を襲うのだ!幅じゃないよ、高さだよ!エベレストの何十倍の高さの津波だよ!っていうか、正確には波といっても、水じゃなくて、海の底の地面がめくれあがって来るんだよ!想像できます?

 それが何とたったの一日で地球を覆うのだから逃げ場などあるわけない。日本列島がそのまんまめくれ上がって吹っ飛んじゃうんだから笑っちゃう。でもこれで驚いてちゃいけない。悲劇はそれで終わらないのだ。衝突の瞬間、そのエネルギーは同時に膨大な熱となって解放され、衝突地点の地表面は一瞬にして4000~6000度に上昇、隕石は「岩石蒸気」となっていく。そして2日で地球上空は数千度の熱ですっぽり覆われ、その状態が1年間続いたのだという。太陽の中に1年間放り込まれたのと同じだったというわけだ。海はたちまち蒸発、その後に残った塩も蒸発、陸はもちろん、海底だったところも2000度に達し、地表はどろどろに溶けて一個の巨大な溶鉱炉と化した。そして、地表が冷えて生命が住めるようになるまで1000年かかったというのだ。この世に地獄というものがあるとしたら、これこそ地獄そのものだったろう。エベレストよりはるかに高い津波の後、大気は数千度に。そして地表は2000度。それが1000年続く・・・。地球は間違いなく、過去「地獄」だったのだ。

 しかし、しかしである。僕らは現実に今ここにいる。そう、僕らの祖先はこの「地獄」を生き抜いたのだ!サバイバルしたのだ。唯一の生きる場所である海を一瞬のうちに奪われた生命はどこで生き延びたのか。何と地下1000メートルに潜り、そこに僅かに残っていた水を糧に、地表面が冷えて再び海が出来るのを1000年の間じっと待ったのだ。すごい。すごすぎる。これだけ極端かつ急激で長期間にわたる地球環境の激変に適応するとは・・・。これを何と表現すればいいのか。生命の神秘などという、陳腐な一言ではとても片付けることが出来ない気がする。

 地球はその後も次々と生命に試練を課していく。今度は逆に地球全体が凍りつく状態が数百万年も続いた「全球凍結」。これは過去何度かあったらしい。内部のマントルの活動が引き金となって起こった「スーパープルーム」。その他、酸素の減少や大陸の移動、森の誕生や森の消滅・・・。まさに「生命の母、地球」なんて真っ赤なウソだったのだ。なんでこれほどまでに、と思うくらい次々と地球はその姿を変え、そのたびに生命は大規模な絶滅を繰り返しながらもしぶとく生き延びてきた。これが地球と生命との本当の関係だったのである。
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by redhills | 2005-01-08 02:15
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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