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"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●生命とは抗うもの(下)


 激しく荒ぶる地球とその試練に耐え生き延びてきた生命。40億年前の「地殻津波」や「全海洋蒸発」を生き抜いたご先祖様のことを思うだけでチョー感動ものなのだが、やはり、考えてしまう。こんなひどい仕打ちを何度もされて、いい加減、死に絶えてしまっても何の不思議もなかっただろうに、その度に創意と工夫(!?)によって生き延びてきた生命。踏みつけられてもそのたびごとに立ち上がってくる生命。

 いったい「生命って何なんだ」

 当然ながら、地球上は生命同士の生き残りをかけた競争の場でもあった。今でこそ生命の頂点に君臨する人類も、その祖先は常に弱者であり、地球の片隅で細々と生きている存在でしかなかった。40億年の間、地球上では数え切れないほどの種が誕生しては消えていった。あるときは他の生命との競争に敗れ、あるときは地球環境の激変に適応出来ずに死に絶えていった。そう、まさに生命の歴史とは、生き残るか絶滅するかの二者択一の歴史なのであった。そして40億年の時を経て、数十万年前、ついに人類は地球の主となることを許されたのであった。弱っちく、小さな存在だったご先祖様。よくぞ生き延びてくださった。感謝であります。

 では、その弱っちいご先祖様がなぜ生き延びることが出来たのか。実は「弱者だから生き延びることができた」のだ。逆に言うと強者は強者ゆえに絶滅したのだ。つまり、その時代にもっとも繁栄していた生命(例えば恐竜)は、当時の地球環境にもっとも適合していたからこそ、他の生命種との競争に打ち勝ち、勢力を増やすことが出来たわけであり、そしてまた同じ理由から、環境の変化の影響を最も大きく受け、絶滅した。この事実は、ローマに敗れたカルタゴについて塩野七生が言った「強者のもつ強みがある時突然、最大の弱点になる」という言葉を連想させる。まさに「おごれるもの久しからず」という感じがする。

 もちろん、弱者にとっても環境の変化は試練であることに変わりはない。だが、それは同時にチャンスでもあったわけだ。そして、そこで生命に起こったこと、それこそが「進化」であった。弱者であるばあるほど、大胆に進化を成し遂げ、次の時代へのチャレンジを果敢に行っていった。いち早く変化に適合することで強いものを出し抜き、いつか最適合者となろうとしたのだ。その、生命に宿る飽くなきチャレンジスピリットとでもいうようなエネルギーこそが、生命が複雑化し、骨を持ち、手足を得、立ち上がり、ついには言葉を話すことになった原因なのであった。じゃあ、そのエネルギーって何なんだ?

 ちょっと話は飛ぶようだけども、「エントロピー増大の法則」というものがあります。これは、「この世は常に秩序から無秩序へと向かっており、決してそれが逆転することはない」というものです。これは、コップに入れた水の中にインクを一滴たらした場合を考えるとわかりやすいです。インクはあっという間に水全体にひろがってしまい、再び一滴のインクに戻ることはありません。同様に、この世のすべてはやがて形(秩序)を失い、最後はただの熱エネルギーになってしまうだろう、と言われています。放っておけば世の中はどんどんバラバラになっていくというのです。部屋は汚れ、家は朽ち、山は崩れ、星は壊れ、すべては無へと帰る。まるで水が低きに流れるかのように・・・。

 しかし、生命だけは例外なのです!
 生命だけが、自律的に無秩序から秩序を作り出していく存在なのです!

 小さな精子と卵子が結合し、みるみるうちに分裂を始め爆発的に成長してゆく生命。個体レベルだけでなく、種としても常に進化し発展していこうとする存在である生命。自らだけでなく、まわりの環境さえも手を加え作り変えていこうとする生命。その底知れないエネルギーは、地球の繰り出す様々な試練をも乗り越え、それどころか、試練を糧にして進化を遂げ、新たな力を次々と手にしてきた。つくづく思う。生命とは抗う存在なのだと。抗うことこそが生命の本質なのだと。生命にとって、生きることに意味などない。生きること、ただそれだけが生命の本質なのだと。

 ただ、だからって「よし、俺も」などと気張らないのがなんとも締りがないのだが。


 余談ながら、「地球大進化」が2月15日~17日にハイビジョンで再放送される。見てない人はぜひ見るべし!
by redhills | 2005-01-08 04:09
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。

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