人気ブログランキング | 話題のタグを見る

"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●真実はどこに? (その1)

 さて、久しぶりに(?)生臭い話題が面白そうなので、長くなるけれどもコメントしてみようと思う。そう、例の朝日新聞が火をつけた、安倍、中川両氏によるNHKへの番組内容の改変圧力があったのかという話である。これが初めの報道からして生臭く、その後の経緯もなかなかドラマチックで非常に興味深く、またその背景なども奥が深いのだ。

 まずは朝日の記事。「NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」幹部呼び指摘

 そしてそれに対する各紙の社説。大雑把に言えば、朝日と毎日は肯定的で、読売と産経は否定的。ま、予想通りですな。

 朝日社説
 毎日社説
 読売社説
 産経社説


 さて、簡単な経緯から。ご存知のように、朝日報道の後、まずは事実関係が問題になり、ただちに安倍、中川両氏が反論、NHKも事実に反するという声明を出す。すると今度は、記事では匿名であった、当事者であるNHKのプロデューサーが涙の記者会見で真実を訴えたからさあ、大変!本来は表に出てくることの無い人が堂々とカメラの前で訴えたものだから、一気に論争はヒートアップ!週末のテレビでは、これまた新聞と同様、テレビ朝日とTBSは政治家のメディアへの圧力を糾弾する論調、フジテレビと日テレは朝日新聞と告発者の主張の怪しさを突く、といった具合にガチンコ状態に突入!そして今度は逆にNHK、そして安倍氏が朝日新聞と告発者に謝罪を求めるという事態に発展!どっちが勝つのか?どっちが本当のことを言っているのか?それに加えて、なぜ4年前のことが今急に出てきたのか、という疑問から様々な疑惑(?)が噴出してきた!あー、おもしろい(不謹慎)。

 ポイントをまとめてみよう。

①まず、最大のポイントは、事実関係がどうであったか、という点ですね。果たして朝日の報道にあるとおり、安倍、中川両氏は「放送前に」NHK関係者を「呼びつけ」、「番組内容を変えろ(あるいは放送を中止せよ)と迫った」のでしょうか。
 この点について、安倍氏は、自分が会ったのは「放送の前日」であり、しかも自分が呼びつけたのではなく、「NHKの方から予算の説明に来た」のであり、番組についても、向こうのほうから聞いてきたので「公平公正に報道してくれといっただけ」であると主張しています。中川氏に至っては、会ったのは放送後の2月2日であると主張。そしてNHKは、番組内容の改変は番組制作者として当然有する編集権の行使であり、また、改変の動きは1月半ばから始まっており、政治的圧力では決して無く、自主的なものであったと主張しています。
 これは、近いうちに明らかになるのではないかと思われます。当然のことながら、事実と異なった主張をしたほうが非を認め、謝罪するべきでしょう。

②しかし問題はそんなに単純ではないのである!報道と政治との関係は過去幾多の争いを生んできた。「ペンは剣より強し」という言葉は伊達ではない。そこにはジャーナリズムの真髄が凝縮されている(はず)。またもちろん、憲法の基本的人権でも最も重要であるとされる、「表現の自由」「思想・良心の自由」に直結する問題でもあり、事実に基づく報道が政治の介入によって曲げられるようなことは、決してあってはならないのだ。もし、安倍、中川両氏の政治介入が現実にあったとすれば、彼らは世論につるし上げられることでしょう。
 ですが逆に、現代社会において、マスコミは第4の権力として大きな力を持っており、数多くの過ちを犯してきたこともまた認めなければならないのです(松本サリン事件を想起してください)。不用意な、時には悪意ある報道は、本来守るべきものである人権を傷つけることにもなる両刃の剣です。当然ながら、権利と義務は表裏一体。報道の自由という特権を持つメディアは報道の責務も負っているのです。事実に基づかない報道はもはや報道ではなく暴力であり、厳しく問われるべきです。部数急減や視聴率急落、ことによると、放送免許が取り消される事態だってありえるのです。現にアメリカでは、去年のアメリカ大統領選でブッシュの軍歴を捏造放送したCBSの花形キャスター、ダン・ラザーは責任を取って解雇されています。
 
 つまりこの問題は当事者たちにとって、謝れば済むというものではないのです。政治生命やメディアの信頼性を賭けた争いにならざるを得ない。引くに引けないのです。(続く)
by redhills | 2005-01-18 08:12 | ニュース
<< ●真実はどこに? (その2) ●キム・ギドク。映画監督 >>



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。

by redhills
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31