"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●NEW MADE IN JAPAN!

 土曜日(6月4日)は久しぶりのマラソンだった(ちなみに「マラソン」とは、新文芸坐で通常時間の映画を2本観てからそのままオールナイトに突入し、朝まで映画漬けになることを言う)。

 まずは岡本喜八特集。仕事が意外と早く終わったので6時過ぎからの「座頭市と用心棒」が余裕で観れた。残念ながら、喜八らしさが余り感じられなかった。座頭市と用心棒が出てきたんじゃ制約が多すぎるわな。それに用心棒、さすがに三十郎とはいかず、四十郎でもキツそう。殺陣が遅くてスローモーションみたいだし、いちいち一人斬るごとに見得切らなくっていいの! 芝居がかってて黒澤の本家との違いに唖然。
 喜八特集、もう一本は「侍」。こちらも三船主演。橋本脚本は久しぶりなので期待する。さすがにきっちりとした筋運びだったけど、筋が読めちゃったし、一点だけ疑問が残る。でもそれよりも、雪の桜田門のセットが素晴らしくって画面に観入る。八千草薫をみながら、これはちょっと前だったら香川京子だろうな、と思う。

 10時15分に上映終了していったんロビーに出る。オールナイトの開場は10時30分。ロビーはもう人でごった返している。何となくいつもと客層が違う。女性がほとんどいない。それもそのはず、今晩のお題は「今、注目のアニメ作家たち」。少年時代、「マジンガーZ」や「宇宙戦艦ヤマト」に洗脳された私は秘かにアニメも嫌いじゃないのだ。お目当ては新海誠監督。前から観たいなぁ、と思っていたアニメ界の注目株なのだが、その衝撃的なデビュー作である「ほしのこえ」と、初めての長編作「雲の向こう、約束の場所」をやるというので前売り券を買った。それに映画上映前にはトークショーがある。新海監督はいないが楽しみではある。

 予約番号32というのが効いてベスポジをゲット。満席で通路にパイプ椅子まで置かれて場内は凄い熱気。シナリオ講座のI君と二人で見る。彼も新海監督が観たかったという。話が合う人と映画を観るのは楽しい。

 上映したのは新海監督の2作のほかは、湯浅政明監督の「マインド・ゲーム」「ノイズマン(これは作画監督)」、今敏監督の「東京ゴッドファーザーズ」の計5本。

 全部話してると長すぎるので結論から言うと、新海監督は期待ほどではなかった。確かに絵は美しい。とても美しい。構図もいい。才能溢れてる。でも叙情性が強すぎるんだよなぁ。大林宣彦級。自分にはくどい。それにホンが悪い。全然だめ。深夜のテレビで量産されるダメなアニメのダメなところがマンマ出ちゃってる。才能は感じさせるのに惜しいなぁ。あとヒロインの声が下手すぎ。

 「東京ゴッドファーザーズ」は、ポスターから予想できたけど、絵、中でも人物があまり好きじゃない。リアリティーのあるキャラクターデザインなんだけれども、あれなら何故実写でやらないの? と思ってしまう。クオリティーの高さは凄いし、ストーリーも悪くは無いんだけどね。好みの問題。

 で、で、そんなことは置いといて! もうチョー良かった!! 何がって、期待してなかった「マインド・ゲーム」!!!
 これ、すごいです! ブットンデマス!! 湯浅監督、天才です。これが初監督作品というのはすごい。とにかく、トークショーで本人を前に今監督が言ってましたけど、エネルギーが溢れてて画面からはみ出しそう! っていうか、とっくにはみ出して、飛び出して、それどころか、観てる僕らにパンチや飛び蹴りやらネックブリーカーやらモンゴリアンチョップやら(古い)かましてくる。

 ちょっとまじめに話すと、アニメって、本来自由なものなんです。実写では出来ない表現が難なくできちゃう、素敵なものなんです。そこが魅力でしょ。それを最近はジャパニメーションとかいってトップブランドに祭り上げられちゃったからかどうかしらないけど、やたらリアルな映像にこだわったり、観ててもチンプンカンプンなフカーイ哲学的な意味をこめたりして、つまらなくなってきた。その一方で純粋な子供向けのものを除けば、低予算で作るものの多くは、性的妄想を絵にしたようなオタク向けの特殊な作品ばかりでマトモな鑑賞の対象足りえない。加えて、アニメーターの待遇改善は進まず、人件費カットの必要から韓国や中国への外注に頼り、それが国内の人材育成をますます困難にしているという悪循環。宮崎アニメに浮かれている場合ではないのである。日本のアニメは今相当に危機的な状況にある。

 「マインド・ゲーム」は、そういった、僕の思っている日本アニメへのいろんな心配や懸念をスコーンと蹴飛ばして、アニメの向かう方向性を「こっちだ!!」とズバッと指差した。そして何よりアニメの楽しさ、自由さを謳歌していた。そしてそして、僕が一番感動したのはどこだったのかというと、実は最後の最後、本編が終わってからのスタッフロールだった。
 こんな素晴らしいアニメを作ったのは一体どんな人たちだろうかと最初から最後までじっと見ていた。何十人(いや100人以上だったかも知れない)というアニメーターたちの名がスクリーンを下から上へゆっくりと昇っていったが、何と外国人の名前は1つもなかった。この傑作を描いた人たちは全員日本人だった。しかも、通常は2列に書かれているのが、4列縦隊でズラーッと名前が並んでいく。実に壮観だった。僕はここに、「日本のアニメここにあり!」という、監督やプロデューサーの気概を感じたのだった。

 新文芸坐を出るともう朝の6時前。12時間近く映画を観ていたことになる。I君と池袋駅まで歩く。昨日降っていた雨は上がっている。さわやかな朝の日が日本アニメの未来を明るく照らしているような、そんな気がする実に気持ちのいい朝だった。
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by redhills | 2005-06-06 19:12 | 映画
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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