"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●小泉劇場「仁義無き戦い」

解散から1週間が経ちましたが、みなさんの目には現在興業中の小泉劇場はどのように見えているのでしょうか。いちおう、僕の所感を以下に述べたいと思います。

今回の解散はここまではほぼ完全に小泉のシナリオ通りに来ていると思います。

法案を否決する瞬間まで小泉内閣は総辞職すると思いこんで票集めに奔走していた亀井ら反対派のアホぶりは噴飯ものですが、では野党民主党はといえばこちらも似たようなもので、執行部が大変な作戦ミスを犯しました。

どういうことかというと、郵政民営化問題を軽視していた。小泉の出してきた法案の余りの筋の悪さに、まさかこれをそのまま通すとは思わなかったし、与党内でなんだかんだ揉めていても最後には妥協して法案は可決するだろう、と思っていた。世論調査でも郵政民営化は優先順位の低い政策課題であり、景気対策や年金問題が世間で関心のあるイシューであるはずだった。

ところが、衆議院で5票差という僅差での可決となり反対派が勢いを増してくるに従って、参議院での与党内の賛否がクローズアップされてきた。いつしか政策が政局になり小泉自身何度と無く「法案の否決は内閣不信任とみなす」と発言して解散を匂わせたが、民主党執行部は1ヶ月以上の間何の手も打たなかった。

そう、何の手も打たなかった。

今、民主党批判としてしきりに言われているのが「対案を出していない」というものだが、これは世間の誤解であると同時に、何より民主党執行部の怠慢の結果なのだ。

民主党は2年前の前回衆院総選挙の時から、郵貯・簡保資金を縮小することを主張していた。おそらくそれは正しい。政府案よりもはるかに実のある効果があるだろう。しかし、執行部はこれを世間に告知する努力を全く怠った。

それはなぜかといえば、前述したようにこの問題を軽視していたから。
執行部には、「このまま来年か再来年に小泉の次の総理との間で選挙となる。今の流れで行けば自民党に勝てる。うまくいけば単独過半数も夢じゃない」といった緩んだ空気があった。これは自分だけの意見ではない。とにかく、どうしようもなく弛緩した空気が党内にあった。寝ておれば政権が転がり込んで来る、そういった暗黙の雰囲気があったに違いなかった。

それが、想定外の真夏の解散劇で備えも無く泡を食ったのだ。いや、実はそうではない。解散直後ですら、もう勝ったつもりでいた幹部がいた。千載一遇のチャンスだと浮かれていたということからも執行部の空気が読める。役者は小泉の方が何枚も上だった。

今の状況は、初回に7点の大量リードを奪われたといってよい。民主党候補は行く先々で「民主はなんで郵政民営化に反対なんだ」「対案をなぜ出さないんだ」という非難を浴びている。それも、民主党支持者からなので衝撃は2倍なのだ。

小泉総理は確かにその就任時より郵政民営化を政策の柱として主張してきた。しかもそれは総理になる時からではない。郵政大臣だった時に言いかけて大問題になったこともあり、その思いには嘘は無い。しかし、政治家のコトバはそう単純なものではないのだ。今回の解散劇には、改革への熱意だけではない、彼の中に澱のように積もり積もった怨念、派閥に煮え湯を飲まされてきた30年の意趣返しが濃厚に込められている。信念と打算、情熱と怨嗟、それが高度にミックスされたのが、今回の小泉劇場なのだ。

まったく、上手いもんだ。マスコミは自民党内の抗争ばかりを取り上げる。世間は「純ちゃん、負けるな」とエールを送り支持率はうなぎ登り、反対派はすっかり悪役になっている。それにいつの間にやら民主党を始めとする野党は選挙の蚊帳の外に置かれている。37人の反対派に対する37人の刺客がひとり、またひとりと、ヴェールを脱いでゆく。その度にマスコミは報道する。おそらく、亀井の対抗馬は告示ギリギリまで隠されるだろう。小出しにするのだ。選挙戦に入る直前まで、出来るだけ長く、この話題で引っ張る、これが小泉劇場のキモだ。しかも、「有権者に郵政民営化賛成の選択肢を与えるためだ」という、立派な理屈もあるから、天下御免の仁義無き戦いなのだ。日本中を巻き込んで、役者冥利に尽きるとはこのことだろう。総理も、刺客たちも。

ただし。僕の感覚では熱も少しずつ冷め始めている気配がする。まずこの話だけで選挙に突入することはないと思われる。頃合いを見計らって、ようやく民主党も反撃に転じつつある。郵政で出鼻に奪われた大量リードを郵政で同点に持ち込むのは難しくとも、押し返してから別の争点で点を取り返せばよいのだ。

小泉劇場は主役の思惑通りに幕は開いた。しかし、これからの動きはまだまだわからない。僕は、有権者は格別賢いとも思わないが、またそれ程愚かだとも思わないのだ。
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by redhills | 2005-08-16 00:35
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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