"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●備えあれば奇跡が起きる-2

<たちまち追い込まれたアメリカ>

だがそれでも、韓国が勝つ確率は低かったと思う。ではなぜ勝てたか。

それには様々な要因が絡んでいるが、最初に目に見える形で現れたのは投手の出来だった。
とにかく、アメリカの先発投手の出来が悪過ぎた。これが序盤のゲームの流れを決めてしまった。去年の最多勝らしいがまったく捕手の構えたところに球が行かない。若いために経験が不足しており、投球術の引き出しが少なく、修正が利かない。
一方、韓国の先発投手は経験豊富で、力に頼らず制球力で打たせて取るタイプのピッチャーだった。気持ちで逃げるのでなく、意識した上で、いきり立ってくるアメリカの打者をいなす手に出た。これがまた、当たる。出だしこそ球が上ずったものの、すぐに落ち着いて実力を発揮した。

ここでさらに説明が必要かもしれない。
野球というスポーツは圧倒的に投手に有利に出来ている。
なぜなら、プレーが始まるとき、球を握っているのは常に投手だからだ。
打者は常に受身の立場に立たされる。だから、10回に3回打てれば上出来なのだ。
それが、対戦したことのない投手ばかりのWBCのような国際試合では、ますます投手が優位になる。だから、余程の実力差が無い限り、投手が実力を出せば、必然的にロースコアゲームが多くなるのだ。
この、理の必然を突き詰めて戦術を立て、実行したのが日本であり、韓国だった。

そこで、アメリカの先発投手なのだが、たったの3回で降板してしまった。すべての回で先頭打者を塁に出している。しかも四球でだ。これではチームにリズムが出るはずがない。その上点の取られ方が悪い。1回はダブルプレーでピンチを逃れホッとしたところで次打者に直球に大ヤマを張られ、まんまと初球を狙い打たれホームランで先制を許し、混乱してその次の打者にまた四球。ヒットでつながれ追加点を奪われる。味方が1点を返してくれた直後の3回裏にまたもや四球から1点を失う。とにかく、良い所が全く無い。

ベンチはやむなく4回から2番手投手を出さねばならなくなる。これが投手起用プランに狂いを生じさせる。出てくる投手も早すぎる登板の上に、予定なら1回で済むはずなのが、2回投げる必要が出てくる。
で、この2番手がまたピリッとしない。4回に敬遠してランナーを溜めて、挙句の果てに、打撃不振でスタメンから外された代打に、大好きな(というよりそれしか打てない)直球で勝負して3ランホームランを食らう。4回を終わって6-1。完全に後手に回ってしまう。

僕のような素人でさえ、ホームランを打った2人以外はパワーピッチで押せば良いとわかるのに、どういうわけかその2人にスピードボールをホームランされ、それ以外の打者に変化球で勝負して合わせられ、追加点を取られる。とにかく、ベンチの指示が頓珍漢で笑ってしまう。


<すべてが悪い方へ回りだし…>

スーパースター軍団に、焦りが焦りを生む悪循環が始まる。大差が付いているために、ご自慢の抑え投手陣の出番が無い。リズムの悪い投球が守備にも悪影響を及ぼす。イージーな落球や悪送球が続出し、それが失点に結びつく。ついには、唯一普段どおりのプレーをしていたジーターまでもが悪送球をするなど、信じられない、見たくないプレーが出てしまった。

打つ方もちぐはぐさが目立つ。ヒットや四球で塁上は賑わすもののホームラン以外で点が取れない。絶好球を見逃し、いい当たりが攻守に阻まれる。募る焦りを見透かしたかのように、アンダースローや左の変則投法の投手を次々と繰り出して目先を狂わそうとする韓国ベンチ。これがことごとく的中し、チャンスを逃し続けるアメリカ。特に酷かったのが、4番のAロッドと5番のチッパージョーンズ。Aロッドは5打数無安打2三振。分かっているのに、外角の逃げていくスライダーにクルクルとバットが良く回る。これで年俸20億円は高い!それにチッパー。信じられないプレーを見た。ランナー1塁でゴロを打った時だったが、捕球したショートが足を滑らして転んだ。「あ、1塁セーフだ」と思ったが、チッパーは全力で走っていなかったため、悠々ダブルプレーが成立してしまったのだ。あのガッツあふれるチッパーの手の抜いたプレーに僕は衝撃を受けた。
その後アメリカは9回に2点返したものの、すべてがもう遅すぎた。

一言で言って、今大会のアメリカチームは勝利に値しないチームであったと思う。

全力で勝利を勝ち取ろう、という姿勢が感じられなかった。打つ方で繋ぎに徹し、ヒット3本を重ねたジーターと、追撃の1発を放ち、その後も2安打1四球で塁に出たケングリフィーJrだけが孤立していた。
ベンチもまったくと言っていいほど対策を打たず、例えば、1番を当っているヤングに代えるとか、リーを使うとか、なぜ手を打たないのか、不思議だった。
ベンチでゲームを見守るクレメンスの寂しげな表情が切なかった。
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by redhills | 2006-03-14 23:43 | 野球
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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