"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●名作誕生-2

<キーワード>

キーワードは、「アンチテーゼは力を持つ」
そしてその掲げたアンチテーゼが、強い信念と、誠意と、愛情に裏打ちされているってこと。

ではテーゼって?
それを語るには、今のアニメの置かれている状況についての説明が少し必要となります。

赤坂日記を読まれている方がどれほどご存知なのかわかりませんが、今、日本ではテレビ、劇場用合わせて年間100作もの新作アニメが作られています。まさに空前絶後、鉄腕アトムの時代からすると隔世の感があります。
ですが、その内情を見ると、アニメの現状はかなりの問題を含んでいます。
何と言っても、現場の労働環境の劣悪さから若手アニメーターが育たず、アニメ制作を韓国や中国への下請けに頼る構造は、アニメ産業の将来を不安定にしています。
ま、それでもアニメがビジネスになる、だから沢山の作品が生まれているのですが、問題はその中身です。

今作られているアニメのかなりは深夜放送されているものです(もちろん、「ノエイン」もそうです)。つまり、昔のように、小学生や中学生などの子どもではなく、20代、30代のコアなアニメファン(オタク君など)がアニメを見るようになり、深夜に多くアニメが放送されるようになったのです。深夜なら視聴率2、3%でもオーケーですし。

深夜アニメの制作費は当然、ゴールデンタイムに比べて厳しくなります。でも、見るのは目の肥えた人たちだから、クオリティーは落とせない。ではどうするかというと、スポンサーのお金でペイすることはあきらめて、コンテンツの2次利用(DVD)や、キャラクターグッズなどの派生商品で儲けよう、という仕組みが出来上がった。そう、アキバに群生するオタク君たちの出番です。

その結果、深夜アニメはどうなったか。
非常に歪んだものになってしまった。
アニメが、とてもニッチな、一部の人たちだけのものになってしまった。
「萌え」に代表されるオタクの嗜好に合わせた、極端にデフォルメされ、記号化(類型化)されたキャラクターのデザインや性格設定(「巨乳」「制服」「猫耳」とか「ツンデレ」とかいったもの)の焼き直し、まさに同工異曲、粗製濫造アニメが溢れることになったのです。

主役は制服を着た女の子で、元気で明るく勝気だけど実は秘密があって、好きな子の前では素直になれなくて、とかなんとか…。すると「萌え~~~」ってことでフィギュアなんかが目が飛び出るような値段で売れるわけです。それでアニメスタジオは食っている。コアなアニメファンに受けないといけない、そう思いながら作っているうちに発想が尽きて、非常に特殊で似たようなものばかりになってしまった。これが今のアニメの「テーゼ」です。

ところが、「ノエイン」はそれに敢然と「NO!」と言った。
「ノエイン」はまず何より、「アンチ萌え」なのです。
徹底してオタク受けする要素を排除して作ってるんです。
これはすごい冒険です。

登場する小学6年生は見たところ、みんな普通の12才だし、大人たちは普通に大人だし、実に自然でいかにもそこにいそうな人たちばかり(もちろん、SFですからそれらしい設定はありますが)。「萌え」を刺激するイヤラシサなど、これっぽっちもないのです。

これは、赤根和樹監督自ら意識してやっていることです。なぜ主役を12才にしたかについて、監督は「性を扱いたくなかった」と述べていることから、それは明らかです。男女が性を意識することなく、普通に友達でいられるギリギリの境界、それが小学6年生じゃないか、というわけです。
もちろん、好き、という気持ちはあります。そうでないとラブストーリーにならない。でも、そこにセックスが入ると見ているほうもそちらに注意がいってしまう。それを避けつつリアルに人間を描きたい。そういう意図があります。
時代の流れにおもねらないんだ、という強い信念が感じられます。そして「ノエイン」は、それがとてもうまくいっているのです。詳しくはこちらの監督インタビューにあります。
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by redhills | 2006-03-22 19:37
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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