"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●バルサの冒険・その3 「トラウマ」~vsミラン(4)

<進め、パリへ>
 1週間後の4月26日のカンプ・ノウは、試合前から、自分たちをCL決勝戦の地・パリへ連れて行ってくれることを信じる10万人の大歓声に包まれていた。スタンドを埋め尽くしたブラウグラーナ(青とえんじ)のチームカラーが映える。思いはひとつ。我がイレブンを後押しすることだけだ。

 メンバーの大きな変更はない。バルサはオレゲルの代わりにベレッチが先発右サイド。ラーションは復帰したが、あのスーパーゴールが認められたのか、ジュリが先発。そして、出場停止が解けたデコが入った結果、イニエスタとの夢のコンビが実現する。ミランも第1戦と違うのはただ1点、ジラルディーノに代わってインザーギが復帰してシェバと2トップを組んだこと。ほぼベストメンバーと言ってよい。

<攻め合い>
 開始早々、いきなり見せてくれる。中盤でロニーが出したパスを読んでカットしたピルロが攻撃に転じようとしたとき、素早くデコが彼を追った。逃げるピルロ。と、その先にいたイニエスタがボールを奪いカウンターを仕掛ける。いち早く反応したエトオに、イニエスタからミランのゴール前へ必殺のスルーパスが突き刺さる。シュートはジダのファインセーブに阻まれたが、この試合の支配者が誰なのかをしっかりと示したシーンだった。

 先週戦って手の内は読めていることもあってか、どうも延長戦を見ているような錯覚に陥る。プジョルvsシェバ、カカvsエジミウソン、ピルロvsイニエスタ、ロニーvsスタム、ジュリvsセルジーニョ、そしてデコvsセードルフの戦いが繰り広げられる。より一層マンマーク色が濃くなり、エジミウソンはカカを、スタムはロニーを追い回す。
 ミランの攻め手は第1戦同様、右サイドの空いたロニーの穴を突くスタムの突破。再三上がって、ガットゥーゾと2人でチャンスを作る。だが、逆にスタムが上がったところをバルサもカウンターで狙う、スリリングな展開。
 左サイドは、セードルフがデコに押さえられ、セルジーニョもジュリのサイド攻撃に手を焼いて上がることができない。中央はピルロがイニエスタにマークされ、まともにボールに触ることすらできない。思うように試合をコントロールできないピルロはイライラし、守備でも後手に回りファウルが目立つ。前半はバルサ押し気味のうちに0-0で終わった。

<読み合い>
 後半。このままだと負けるのはミランの方だから、ミランは対策を講じる必要があったが、目立った変化は見られない。しかし厳しいプレッシャーを間一髪で潜り抜けて、49分、カカ→ピルロ→シェバ→セードルフとボールが渡り、最後にシェバがヘディングシュートを放つもキーパーの正面を突く。53分にはバルサの速攻。ロニーからの糸を引くようなスルーパスが右サイドへ。走りこんだジュリが深くえぐってゴール前にボールを送る。そこに待っていたのはベレッチ。ボールに触ればゴール、という場面だったが何と空振り!!お互いに点が取れない。ただ、敵地で勝利を収めているバルサは決して攻めに人数をかけず、インザーギらの動きに対する注意は怠らない。

 ピルロのイライラは解消されてはいないものの、ボールを受けるポジションを上げたり下げたりしてマークをかいくぐるに従ってミランの時間帯がやってくる。ここでアンチェロッティが動く。コスタクルタを下げてカフーを入れる。へばってきたスタムをセンターバックにして、新鮮なカフーに右サイドを走りまわらせようという魂胆だ。おそらく始めからこの交代は予定されていたのだろう。だが、ライカールトもそれはお見通し。エトオを左サイドに置いてカフーをマークさせるという作戦に出た。加えて攻守にわたって右サイドを走りまくって疲れの出たジュリをラーションに代えることで、セルジーニョを抑える手に出た。一方、アンチェロッティはガットゥーゾを下げてルイ・コスタを投入する。
 ああ、ルイ・コスタ。大好きな選手。もう古いタイプとなってしまった、典型的な技巧派パッサー。フィーゴと並ぶ、ポルトガル黄金世代の中心。カカにポジションを奪われた今、背番号10が悲しい。応援したくなるが、ここは勝負。どうも、カフーと2人で右サイドを崩せ、ということらしいが、ジオがピッタリとついて彼のパスを封じてしまう。

 ミランの打つ手はすべてバルサに読まれており、効果を生まない。逆に、ますますバルサのボール支配率は上昇していき、中盤で好きにボールをまわすようになる。ロニーとイニエスタがメインでパスを交換し、デコが絡む。ミランはまったくボールを奪えない。あせりと疲労の色が濃くなっていく。カカがまったく消えてしまっている。シェバの幻のゴールや、エトオからのドンピシャクロスにラーションが飛び込む!という場面も出たが、バルサ優勢のまま、スコアレスでのタイムアップとなった。2戦合計スコア1-0で、バルサのCL決勝進出が決定した。

 最大の勝因は、「ミランの攻め手を封じる」という、ややバルサらしくない戦術、用兵であり、それは即ち、かつてはミランの一員であり、その体にセリエA的な戦い方が染み込んでいる、ライカールトの存在、ということになるだろう。

<時は来れり>
 そのときはやってきた。12年の時を超え、ヨーロッパの頂点に挑戦するときがついにやってきたのだ。抱き合って喜ぶ選手たち。まるで優勝したかのような騒ぎようだ。カンプ・ノウに凄まじい大歓声が渦巻く。それは、ミランというトラウマを乗り越えることで、決戦の地、パリでの勝利を予感したバルセロニスタ達の喜びの歌であった。
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by redhills | 2006-06-08 10:12 | サッカー
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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