●先進国と後進国(W杯4日目)
後進国という言葉は差別的だということで使われなくなったが、あえてそう言いたい。
日本の戦いぶりを見て、そしてその直後に、チェコ対アメリカ、イタリア対ガーナの試合を見て、この言葉が頭に浮かんだ。それくらいに悪い負け方だった。 多くの人は、ジーコ監督の用兵(特に柳沢→小野の交代)に疑問を投げかけていたけれど、自分は、最大の問題はオフェンス、特に2人のフォワードの積極性と決定力の欠如、そしてサイド攻撃におけるクロスの精度にあったと思う。守るためには攻めが利いていなければ駄目なのだ。 1点を取りに来たオーストラリアの裏を突いて、何度決定的チャンスがあったことか。「撃て!」という場面で、ことごとくドリブルやパスという消極的な選択をし、相手につめられてからの弱々しいシュートしか放てないフォワード。何度と無くサイド深くでフリーになりながら、見当違いのところにボールを蹴り上げてしまうウインガー。後半あれだけチャンスがありながら、惜しいシュートが1本も無かったとは信じがたい。2点目をしっかり奪っておけば、負けることはなかった。1点取られても同点にされることは無かったろう(小野でなく、遠藤もしくは稲本を投入していれば、だが)。日本はまだまだサッカーにおける勝ち方を知らないのだ。 ではサッカーを知っている国はどういう戦いをするのか。その答えを僕はすぐ見せてもらった。チェコ。FIFAランキング2位の強国。とにかく、チームの熟成度が段違いの、大人のチーム。名将ブルックナーの意思が隅々にまで浸透している。開始5分のコラーによる得点は、中盤でボールを奪ってからの右サイドへの1本のパス、そして正確なクロスが生み出した。そして、前半終わり近くでの、トップ下のロシツキーによる絵に描いたようなミドルシュートによる中押し、そして後半、攻勢に出た相手の裏を突いたダメ押しの3点目。 アメリカもFIFAランキング5位の強国。ブルース監督の戦術を完璧に体現しており、決して弱いチームではないのだが、結果は0-3の敗戦だった。では何がこの結果をもたらしたのか。一言で言ってしまえば、チェコは一人ひとりの選手がその状況状況に応じて何をするべきかを知っており、それを高度なレベルで実践できる、ということに尽きる。これは、口で教えてできることではない。彼らは肌でサッカーを知っているのだ。いや本当にチェコは強い。見ていて楽しい。ぜひ勝ち進んで欲しい。 続いてのイタリアの戦いぶりは、なお一層、そのサッカーの質の、次元の違いを印象付けた。アフリカ最強の呼び声高いガーナ相手に、役者の違いを見せつけたのだ。とにかく、チームの戦術が徹底している。ピルロのパスから、トッティ、トニ、ジラルディーノの3人でシンプルにゴールへ迫る。ガーナの強力な攻撃は中盤の早めのチェックでつぶし、それでも進入してきた場合は、ネスタ、カンナバーロの2人が体を張って防ぐ。とにかくこの2人のディフェンス力は尋常ではない。フィジカルやスピードでは負けていても、飛び込むタイミングや体の寄せ方などのテクニックが素晴らしい。本物のディフェンスが見れた。 特に、前半終了5分前に1点先制してからの試合内容が抜群。しっかり守って、相手が攻め手を増やせば、すばやく封じ手を打ってくる。途中で2度、3度とフォーメーションを変更しても、選手がそれを理解して、相手の攻撃を防いでしまう。そして、中盤の圧力から相手ディフェンダーのミスを誘い、後半38分に決定的な2点目を奪う。 ゲームの流れに応じた戦術の理解とプレー選択、正確なクロスボール、枠に飛ぶミドルシュート、決定的な仕事をするフォワード…。そのうちの1つでも日本にあったら…。 すみません。今はクロアチア戦に向けてどうすればいいかは考え付きません。とにかく、まだ終わったわけじゃない、とだけしか言えません。
by redhills
| 2006-06-13 16:28
| サッカー
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