"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●24本のパス(W杯8日目)

 いやあ、もうとにかく、凄かった…。

 アルゼンチン。今日は他の2試合については簡単に触れる程度にして、この、6-0という滅多に見られないスコアがなぜ生まれたのか考えてみよう。な~んて、かっこいいこといっているけど、要は、アルゼンチン、素晴らしいサッカーをありがとう!あなたたちは今や優勝候補筆頭です!ということなんだけど。

 まず、セルビア・モンテネグロは怪我人が続出し、ヨーロッパ予選10試合を1失点に抑えた時とディフェンスラインの顔ぶれもポジションも違っていた、ということは忘れてはならないだろう(彼らへの名誉を守るということからも)。ただし、仮にベストメンバーだったとしても、結果に大差は無かったかもしれない。それくらいにアルゼンチンは強かった。

 同じ南米の強豪でも、アルゼンチンとブラジルはそのサッカーの基本となる考え方がまったく違うと思う。ブラジルサッカーの根底にあるのは、とにかく攻めること。いかに華麗に美しく、見ているものを魅了しながら試合を支配し、スーパーゴールを決めて勝つことを至上としている。だから、勝ってもシュートチャンスが少なかったり、守る時間が長かったりすると全然評価されない。

 一方、アルゼンチンサッカーの基本はハードな守備である。かの国のサッカーを一言で表現すると、「ストロングフットボール」。激しい肉体のぶつかり合いを厭わない、タフな守備でリズムをつかんで、テクニシャンぞろいの攻撃で着実に点を奪う。これは、優秀なフォワードを生み出し続ける永遠のライバル、ブラジルに対抗するために培われたものなのかもしれない。だから伝統的にアルゼンチンは優秀なディフェンダーを多数排出している。今大会のアジャラ、エインセのセンターバックもイタリアの2人と並んで世界最高だろう。それは、コートジボワール戦でも証明されている。

 今大会のアルゼンチンはペケルマン監督がユース世代に指導した子供たちが中心である点も重要だ。サムエル、サネッティ、ベロンといったタレントを代表から外したことには批判もあったが、彼らは見事にピッチ上でそういった外野の声を黙らせた。普段から一緒に練習しているクラブと違い、ナショナルチームは寄せ集めのようなもので、チーム戦術や連携を養うことが難しい。この問題を克服できず、ビッグネームが名を連ねていながら大会を去っていったチームはいくつもあった。その点、このペケルマンのチームは監督の意図が浸透しており、チームに強い一体感が感じられる。実はこれこそが、ワールドカップを勝ち抜く上でもっとも大事なことであったりする。

 で、肝心の試合だが、実質的には前半31分の2点目で決まってしまった。2点はまだ追いつける点差だが、その2点の取り方が最高に素晴らしく、到底付け入る隙があるように見えなかった。超攻撃的な左サイドバック、ソリンの攻撃参加が相手のラインを押し下げる。マスチェラーノのワンボランチが隠し味で効いている。サヴィオラが前線を走り回る。クレスポはゴール付近でシュートのこぼれ球を狙っている。
 常にボール付近でトライアングルを形成し、複数のパスコースを維持、決してボールを持ちすぎて囲まれるということがない。相手の早い寄せでボールを奪われても、すぐ近くにいる選手が潰しに行く。ゲームメーカーのリケルメでさえ、滅多にドリブルをしない。パスもただ繋ぐのではなく、一旦下がっても、別のルートをたどって、必ず前にボールが供給されてくる。

 その、素晴らしい機能性、有機性のあるパスワークが結実したのが2点目のゴールだった。自陣左サイドでボールを奪ってからゴールまで、なんと24本ものパスが連続で通されている。しかも、その間ドリブルはゼロ。リケルメでさえ、3タッチしかしていない。最初のパスから57秒後、クレスポからのヒールでの折り返しを受けたカンビアッソの左足から放たれたシュートがゴールネットを揺らした瞬間の、セルビア・モンテネグロの選手たちの絶望感はいかばかりだったろう!見ている自分も溜息しか出なかった。文句無く、今大会のベストゴール。誰彼がすごい、というのではなく、あれだけの長い攻撃を見事にゴールへと結びつけたチーム力の、次元の違いに圧倒された。守備が整備された結果、流れの中での得点が減り、セットプレーの重要性が増している現代サッカーにあって、6点すべてが流れからのゴールだったということは事件といっても過言ではないだろう。

 そして、困ったことにこのチームの強さは、控えが出てもまったく落ちない。交代で入ったテベスやメッシがすぐさま結果を出した。ていうか、彼らが控えにいるって、どういうこと?このチーム力の高さはセレソンを凌いでいると思う(彼らのオプションはロナウドとロビーニョしかない)。それに、怪我人がおらず、全員コンディションが良好であるのも非常に重要(唯一心配だったメッシも、たった15分でアシストとゴールまで決めてしまった)。それに、グループリーグ敗退という前回大会の教訓から、油断も見られない。今のところ、死角はないように見える。

 まだ気が早いが、1958年のスウェーデン大会におけるブラジル以来の、南米チームによるヨーロッパ開催大会での優勝が現実味を帯びてきたように思う。あの時、ブラジルのペレという少年が世界を驚かせた。そして今のアルゼンチンには、リオネル・メッシがいる

 どうでもいいけど、応援してるマラドーナ、もうすっかりネタだなあ。

●今日の結果

 セルビア・モンテネグロ(2敗) 0-6 アルゼンチン(2勝)

 オランダ(2勝) 2-1 コートジボワール(2敗)

 どう考えても、試合内容ではコートジボワールが勝っていた。「死のグループ」といわれたC組だったが、あっさりとアルゼンチンとオランダの勝ち抜けが決まってしまったのは予想外。でも、本当にコートジボワールはもっと見ていたいチームだった。オランダはチームの機能不全が改善されていない。早く修正しないとベスト8も厳しいだろう。

 アンゴラ(1分1敗) 0-0 メキシコ(1勝1分)

 アンゴラのユニフォームがかっこいい。黒人て、ホントに原色が似合うよね。プーマのデザインもグッド。試合は、アンゴラがメキシコの攻勢を凌いで史上初の勝ち点をゲット!おめでとう。
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by redhills | 2006-06-17 20:57 | サッカー
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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