"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●黄昏、涙(W杯14日目)

  ピッチに倒れこんだ中田英寿はしばらく立ち上がることはなかった。

  その表情をカメラがアップで捉える。

  目が充血し、潤んでいた。

  しきりと唇が動いている。体が小刻みに震えている。

  常にクールであり、今までは勝っても負けてもいち早く次戦へと頭を切り替えていた男が
  初めてピッチで見せた涙。

  それは明白に、何かが終わったことを物語っていた。


日本 1-4 ブラジル

 ジーコ・ジャパンの集大成は、彼の母国であり世界最強のサッカー超大国である、ブラジルとの一戦となった。就任後初めて先発メンバーを明かさなかったジーコの送り出した2トップは、巻と玉田の2人。キャプテンを中田でなく中澤にしたのは、ディフェンス陣の奮起を促すためか。一方のブラジルは両サイドバックと両ボランチを入れ替えてきた。ベテランを休ませ、控えの若い選手を慣れさせるためだろう。試合前は、中田がロナウド、カカと談笑するなど、和やかな雰囲気。イタリア語での会話だろうか。

 序盤、おそるおそる、という感じでボールをまわす日本。ブラジルもグループリーグ突破を決めているからか、攻撃に本来のリズムはまだない。何本かあった鋭いシュートも川口がセーブ。だが、静かに始まった試合が一本のシュートで目を覚ました。34分、サントスからのスルーパスに反応した玉田が放ったボレーシュートがブラジルゴールに突き刺さる。ジダも一歩も動けなかった、驚きの先制。そして今大会初めてのフォワードの得点。選手起用も当たって勢いを得た日本は中盤の動きも良くなりブラジルに対抗するが、一つのミスが試合を暗転させる。

 前半ロスタイム。ロナウジーニョにボールが渡る。3人がマークに行きかけたところで、広く空いた右サイドに駆け込んだシシーニョへパス。サントスが付くところを、ダイレクトでヘディングで折り返す。このとき、日本は8人が守備に帰ってきていたが、全員の目がロナウジーニョのパスの方向に行ってしまう。ボールは中澤と坪井の間に移動したロナウドへ向かっていく。彼に付いていた中澤が振り返ったときはもう手遅れだった。同点。日本がボールをリスタートさせた途端、笛がなって前半終了。中田が何事か大声で叫んだ

 結局、この1点が日本から勝機を奪った。後半、攻撃の質を高めたブラジルに、ほぼ防戦一方となった日本。自陣に人数を割いているくせに、突破されるのが怖くてチェックにいけず、ボールを持っている選手との間合いが2メートルくらいに広がってしまう。だから好き放題にパスをまわされ、振り回され、無駄に体力を消耗していく。ほぼフリーで撃たれた完璧なミドルシュートで早々にリードを許すと、あとはもう一方的だった。中村がまったくボールをキープできない。パスの精度が悪く、いとも簡単に攻撃が終わってしまう。失点をされたくない、という姿勢しか見られず、点を取りにいく気概がまったく無くなってしまった。

 グループリーグ敗退も残念だがしょうがない。ブラジルに勝てなかったのも良しとしよう。でも、後半の戦い振りには納得がいかない。何点差をつけられようと、負けは負けなのだ。ならばなぜ、最後の力を振り絞って点を取りに行かなかったのか。技術がどうのこうの、日程がどうのこうの言う前に、彼らのメンタルが悲しかった。攻めに出てカウンターを食らったのなら希望はあった。負け戦には負け戦の戦い方があるはずじゃないのか。「黄金世代」と呼ばれた一つの時代が区切りを迎えた。日本サッカーの父、クラマー氏の地元、ドルトムントで日本は惨めな敗北を喫した。

イタリア 2-0 チェコ

 サッカーは時にひどく残酷だ。チェコのグループリーグ敗退は、ネドヴェド、コラー、ポボルスキーら黄金世代が舞台を去るべきときが来た事を冷酷に告げた。

 イタリアに隙がなったわけではなかった。ネスタの負傷による交代は、序盤のチェコの攻撃の鋭さを物語っていた。攻撃に守備にと献身的に動き回ったネドヴェドの放った素晴らしいミドルシュートは、チェフとのキーパー対決に燃えるブッフォンに阻まれた。どうしても先制点が欲しい。だがそんな中、セットプレーからまさかの失点。それからはイタリアの試合だった。チェコの4-1-4-1システムに対抗するべくリッピが置いたトリプルボランチを前にボールを持たされ、手詰まり感だけが募る。そして前半終了間際、まったく危険でない地域での無意味なファウルによるポラックの退場で勝負は決した。カウンターで止めを刺す役目は、フィリッポ・インザーギがおおせつかった。最後までピッチを走り回るネドヴェドの姿が痛ましく、悲しかった。

その他の試合

 オーストラリア 2-2 クロアチア

 日本の負けに見る気を無くしているんだけど、反町氏の試合後の興奮した話しぶりからして、相当面白い試合だったらしいので、ぜひ見てみようと思います。主審も興奮の余り、1人の選手に3枚も警告を出したらしい(笑)。かわいそうですが、彼が今大会で笛を吹くことはもうないでしょう。それにしても、ヒディンクおそるべし、です。彼のサッカーは好きじゃないけど、その監督としての有能さは誰の目にも明らかです。

 ガーナ 2-1 アメリカ

 チェコの負けに萎えてしまいハイライトしか見てませんが、こちらも白熱したようです。追いつかれたところを突き放し、アメリカの猛攻を凌ぎ切ったガーナの強さは相当なものです(2点目のPKの判定は確かに?でしたが)。試合後の主力選手アッピアーの「僕らはアフリカの代表なんだ。負けるわけにはいかなかった」というコメントに、ちょっと羨ましいな、と思いました。初出場でのトーナメント進出、おめでとう!


 この結果、グループEではイタリアが1位、ガーナが2位、グループFではブラジルが1位、オーストラリアが2位となり、トーナメント1回戦は、イタリアvsオーストラリア、ブラジルvsガーナとなりました。ブラジルとガーナの激突は大注目です。アフリカサッカーの実力が計れることでしょう。
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by redhills | 2006-06-24 01:39 | サッカー
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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