"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●輝き、ふたたび(W杯19日目)

 決勝トーナメント1回戦の4日目。これでベスト8が出揃った。ブラジル対ガーナは、開始早々のロナウドのワールドカップ新記録となる通算15点目のゴールで優位に立ったブラジルがガーナの鋭い攻撃を抑え、3-0と快勝、ワールドカップでの連勝を11に伸ばすと共にベスト8へと駒を進めた。ヨーロッパ強豪同士であるフランス対スペインの一戦は、往年を思わせるジダンの活躍でフランスが逆転勝ちを収めた。この結果、準々決勝でブラジルとフランスの新旧王者が対決することとなった。

ブラジル 3-0 ガーナ

 雄々しく立ち向かった若き勇者だったが、鎧袖一触(がいしゅういっしょく)に終わった。

 注目の一戦。アフリカサッカーの中でも伸び盛りの有望株であるガーナが、王者ブラジルをどこまで追い詰めるのか。グループリーグからギアを入れ替えてくるであろうブラジルが、どんなパフォーマンスを見せるのか。今大会の優勝を占う上でも、サッカーの未来を考える上でも興味深い対決だった。例によってブラジルは1~11がズラリと並んだベストメンバー。ガーナはエッシェンが出場停止なのが残念だが、控えといえどもその潜在能力は侮れない。

 試合は当然、まずは挑戦者ガーナが押しまくるだろうと思っていたが、ブラジルの戦いぶりはしたたかだった。開始5分、最初の攻撃で、高く引いたガーナ最終ラインの裏に絶妙のタイミングでロナウドが飛び出してゴール。彼らの感情の昂ぶりを見透かしたかのような先制パンチだった。

 これで優位に立ったブラジルは、ガーナの怒涛の攻撃をガッチリ受け止める。守りを固める王者の姿にブーイングが起き、スタジアムにガーナコールが巻き起こる。その声援もバックに激しく攻め立てるブラックスターズ。ボールを支配し、繰り返し鋭いパスやドリブルでペナルティーエリアへと侵入する。だが、どうしてもゴールが奪えない。益々前がかりになるガーナ。まずいな、と思っていたら案の定、前半ロスタイムに絵に描いたような速攻を再度食らって2-0に。セレソンはいざとなれば、アズーリにもなれるのだということを見せられてしまう。

 後半。挑戦者の気持ちを胸に王者に立ち向かい続けたガーナだったが、61分にアドリアーノを下げてトリプルボランチを置き、中盤の守りを固めたブラジルの砦が陥落することはなかった。

 ガーナのサッカーを見ていて感じたことをいくつか。まず、中央突破にこだわりすぎ。早いパス交換でしきりにセンターバックの間を抜こうとしていたが、余りに見え見え。あれだけのスピードがあるのだから、サイド攻撃を絡めればはるかに効果的だったろう。特に後半、ブラジルが明らかに中央付近の守備を固めてきているのに一向に攻撃パターンを変えようとしなかったのは、戦術眼という点でも疑問が残った。自分たちの能力に自信を持つのは良いことだが、ゴールに到達するために、時には回り道も必要だということを学ぶ必要があるのではないか。

 プレー選択という点では、パスやセンタリングが有効という時に何度もミドルシュートを撃っていたのも気になった。あれはかなりブラジルを助けていたろう。それから、ゴールに近づいた時に顕著なのだが、詰めに際して無駄な手数が多い。決定力も低すぎる。そして、実は前からずっと気になっていたのが、プレーが荒いということ。汚いファウルが多い。今日もシミュレーションを取られていた。エッシェンに出場停止が多いのもラフプレーが多いから。この点は是非改めて欲しい。結論としては、ブラジルを始めとする強豪国と惜しい戦いはするが、あと一歩(その一歩がとてつもなく遠いのだが)手が届かないというアフリカサッカーの問題点はまだ克服されてはいなかった。

 逆にブラジルは、ゴールの取り方の無駄の無さ、正確さ、抜け目無さが際立った。勝負どころを見極めた時の、怒涛の攻め上がりと絶妙なパス、そして決定力はさすが。ただ、ブラジルの今日の戦い振りも、決して求めていたものではなかった。ロナウドのコンディションは着実に上がってきているものの、華麗なメロディーは今日も奏でられることは無かった。ロナウジーニョの復調こそが残されたピースだろう

スペイン 1-3 フランス

 いや、びっくりした。スイス戦の際に「もうジダンは終わった」と書いたのを後悔した。それくらい、今日のジダンは良かった。全盛期というわけにはいかないが、精力的に攻守に貢献し、最後まで集中力が落ちなかった。中8日という時間が肉体を回復させたと同時に、眠っていた勝利への飢餓感をも高めたのではないだろうか。

 前の試合でジダン無しに機能した布陣をどうするのか注目が集まったが、ドメネクの出した結論は、従来通りのアンリの1トップだった。スイス戦、韓国戦では、攻撃をスローダウンさせ、アンリのスピードを殺す原因となっていたジダンが、今日は見違えるようにスピーディーな動きとパス出しでリズムを作る。そしてそれに誘われるかのように、脇を固めるリベリーとマルーダが動き回り、ビエラが積極的に前線に飛び出して攻撃に絡んでゆく。予想外(?)のフランスの動きの良さに、スペインは自慢のパスがなかなか前線へと渡らない。中盤ではマケレレが利いている。トーレスはテュラムが仕事をさせない。フランス優勢で試合が進んでいく。

 ところが、ペナルティーエリアでテュラムがパブロを倒してしまい、PKで1点献上。スペインがリードを奪う。だが、今日のフランスはリードされてもまったくあわてるところが無くリズムの良い攻撃を繰り返す。何度も何度もアンリがラインの裏を取ろうと飛び出す。オフサイドにかかるものの、間一髪の駆け引きが続く。そしてついに、この一見無駄に思える動きが実を結ぶ。41分、アンリに気を取られたところを、2列目からリベリーがフリーで飛び出し、同点に。前半終了間際のこの一発はフランスを大いに元気付けた。

 後半になっても、フランスのライン裏を狙う攻撃は繰り返される。スペインはボール支配率では上回るものの、有効なパスを出すことが出来ず、手詰まりになってゆく。アラゴネスは、ホアキンやルイスガルシアを投入して突破を図る。スペインのリズムが変わりゴールに近づくものの、やはり最終ラインを突破できない。一方フランスもリベリーが再三右サイドを突破する。一進一退の攻防が続く。

 さすがにフランスの運動量も落ち、最終ラインの前のスペースが空きだした頃、ずっとラインの攻防を繰り返していたアンリとプジョルが競り合って倒れ、プジョルに警告が出される。スペイン陣内右45度でのフリーキック。ジダンの右足から放たれたボールはシャビ・アロンソにクリアされるも、そのままファーサイドにいたビエラのもとへ飛んでいく。そして、その頭から弾かれたボールは、カバーに入ったセルヒオラモスの膝に当ってコースが変わり、カシージャスの手をすり抜けてスペインゴールへと吸い込まれた。残り7分での逆転。喜びを爆発させるレ・ブルー。

 今や完全に一体となったレ・ブルーは、追い詰められたスペインの攻撃を全員守備で防いでゆく。そしてロスタイム。サッカーの神が彼にギフトをくれた。シャビ・アロンソのボールを自ら奪ったジダンが前に走り出す。そこへ、ボールが渡る。迫るプジョルを最後の力を振り絞っての切返しで振り切ってのシュートがゴールネットを揺らした。ジダンの輝きがフランスを勝利へと導いた。

 奇跡の復活でスペインを下したフランス。負けた瞬間にジダンの引退となる次の相手は王者ブラジル。舞台と相手に不足はない。スペインはフランスの強力な守備を最後まで崩すことが出来なかった。早いパス回しが封じられ、フィジカル勝負に持ち込まれてしまった。プジョル、シャビ、イニエスタはお疲れさまでした。
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by redhills | 2006-06-28 08:27 | サッカー
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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