"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●そして誰もいなくなった(W杯20日目)

 ワールドカップ準々決勝2試合が行われた。第1試合、ドイツ対アルゼンチンは、後半先制したアルゼンチンが逃げ切りに入るところをドイツが追い付いて1-1となりPK戦にもつれ込んだが、キーパーレーマンの活躍で開催国ドイツが勝利。4強1番乗りを果たし、優勝に向けて大きく前進した。第2試合、イタリア対ウクライナは、早い時間帯に先制したイタリアが持ち前の守備力を発揮し、シェフチェンコを擁するウクライナに完勝した。今大会無得点だったトニが2ゴールを挙げるなど攻撃陣も調子を上げてきており、4度目の優勝に向け、攻守のバランスが一層良くなってきた。

ドイツ 1-1(4PK2) アルゼンチン

 これがサッカー。そんな感じだった。優勝の行方を占うと思われた一戦は、実に見応えのあるゲームとなった。

 会場はベルリンのオリンピック・スタジアム。ここはサッカー専用ではないためにピッチとスタンドの間に距離がある。また、スタンドもピッチをグルッと囲んでいない(一部切れている)ため、音は外へ抜ける。ミュンヘンに比べてサポーターの声の圧力は低いのは、アウェイのアルゼンチンにとっては好材料だ。

 試合前の両チームの表情はいつになく硬い。特に、リケルメの表情が気になる。驚いたのはアルゼンチンのスタメン。フォワードにサヴィオラでなくテヴェスを、中盤ではカンビアッソでなくルイス・ゴンザレスを、そして右サイドバックにはコロッチーニを入れてきた。ドイツはほぼベストメンバー。

 試合は予想に反して静かに始まったが、その原因はドイツにあった。今までの勢いがなく、いつになくナーバス。アルゼンチンは人数をかけずに中盤で慎重にパスをまわしてゆく。ドイツはアルゼンチンの中盤と前線とを分断するため、バラックを下げ、フリングスとのダブルボランチを形成、ある程度ボールは持たせるもののリケルメを徹底マークし、決定的なパスを入れさせない作戦。ボールはアルゼンチンがキープするものの、有効なパスもほとんどなく、こう着状態で進んでゆく。スタメンに入った3人の動きを見てペケルマンの意図は読み取れた。それは守備力の向上。やはり今大会のドイツの勢いを脅威と感じた彼は、まずはそれを抑えることを優先したのだった。徐々にワンタッチ、ツータッチのパスが増えてアルゼンチンがペースを摑みかけてきたところで前半は終了した。

 後半に入っていきなり試合は動いた。49分、後半最初のアルゼンチンのコーナーキック。今までゴール寄り、ニアサイドへ蹴っていたリケルメが初めて外寄りに蹴った。そこにアジャラが飛び込んでヘディングでゴール。クローゼは競り負けた。今大会初めてリードを許したドイツが攻勢に出る。スタジアムはヒートアップし、ピッチ上でも一気に攻守の切り替えが激しくなった。ナイフを隠し持っての睨み合いから、ついに斬り合いが始まったのだった。

 約20分間、ドイツの攻勢は続いた。オドンコルを投入してサイド突破を仕掛けると共に、バラックもポジションを上げ、クローゼとのホットラインが動き出す。対するアルゼンチンは受けに回りながらも、カウンターでチャンスを作りつつ、強靭なフィジカルと精神力でドイツの圧力に対抗し、必死にゲームをコントロールしようとする。刺すか刺されるかの緊迫した攻防が続く。試合を大きく動かしたアクシデントが起きたのはそんな時だった。69分、アルゼンチンのキーパー、アボンダンシエリがわき腹を押さえてうずくまってしまう。5分前にコーナーキックをセーブしようと飛び出した際にクローゼと接触、膝蹴りを食らっていたのだ。安定したセービングに加え、おそらく世界一と思われる、前線への正確なフィードで「11人目のフィールドプレイヤー」として抜群の存在感を示していた彼の退場は、ペケルマンのゲームプランを大きく狂わせてしまう。トイツが勢いを増すのは明らかだった。

 ここで彼は決断を下す。不動の司令塔、リケルメを下げたのだ。確かにこの試合での彼の出来は悪かった。長くボールを持ちすぎるという悪い癖が出て、攻撃のリズムを失わせていた。特に、後半の苦しい時間帯に何度かあったカウンターのチャンスでの球離れが遅く、追加点の芽を潰していた。だから彼を下げたのは分かるが、問題は代わりに入ったのがアイマールでなくカンビアッソであったという事実だった。これはアルゼンチンが1点を守りきる「逃げ」の戦術へと明確に舵を切ったことを示していた。だが、試合はまだ20分も残っている。しかも相手は不屈の精神で向かってくるドイツ、おまけに開催国だ。この時間帯で、逆襲への武器を捨てて自陣に篭り続けるのは危険な賭けだった

 その不安は的中する。残り12分というところで、最後の交代枠を使ってクレスポを下げてまでして逃げ切り体制を固めた直後に、クローゼに同点にされてしまう。采配ミスは明らかだったが、もうアルゼンチンに打てる手は残ってはいなかった。メキシコ戦に続く延長戦。激しい消耗の中、後半の残り10分と延長戦の30分の間、ドイツの得点を許さなかったのは、紛れも無いアルゼンチンのプライドであり、勝利への執念だった。もしクレスポに代えてメッシを入れていたら、前線でのキープも出来たろうし、カウンターから十分得点のチャンスもあったろう。だが結局、予想外の負傷交代とペケルマンの弱気が試合を分けた。最後のピッチには、リケルメも、クレスポも、サヴィオラも、メッシもいなかったのだった。

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*(追記)この試合、世界で一番有名なサポーターであるマラドーナがテレビに映らないな、
 と思ってみていたら、なんと、入場を拒否されていたらしい(笑)。最後までネタを提供して
 くれたわれらがマラドーナ。ホント、憎めないんだよな。

イタリア 3-0 ウクライナ

 アルゼンチン敗戦の余りのショックに、ゲームは見ていたものの、正直、あまり身が入りませんでした。ですが、イタリアの試合巧者ぶりばかりが目立った試合でしたね。中盤の選手たちによるゲームコントロールが完璧で、2点目が決まるまでのウクライナのチャンスも、カンナバーロやザンブロッタ、ブッフォンの鉄壁の守備を一層引き立てるばかりでした。それにしても、トニのゴールは大きい。組み合わせに恵まれているのは間違いないですが、この感じは間違いなくイタリアに流れが来ていますね。試合後の各選手のコメントなどを聞いても、母国の現状が彼らを奮い立たせている様子が伝わってきます。ドイツが延長戦を戦い、バラックやクローゼが負傷していることを考えると、イタリアは優位に立ったと言えるでしょう。アルゼンチンの予想といい、やっぱり勝敗の予想は難しいです。
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by redhills | 2006-07-02 00:01 | サッカー
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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