●真夏の夜の悪夢①~その構図
いやはや、酷いものを見せられた。丸一日たつのに未だに気分が悪い。
何がって、昨晩行われたWBA世界ライトフライ級王座決定戦。 亀田三兄弟の長兄、「浪速の闘拳」亀田興毅の初めての世界タイトルへの挑戦だったんだけど、いくらなんでもあれはないぜ!八百長にも程がある!「亀田勝利」って判定聞いた瞬間にテレビ切ったよ。それでも腹の虫が収まらないのでネットで世間の反応を追っかけたら、どうやら自分は少数派ではないような気もして少し安心した。 ほんとにこんな薄汚れたチャンピオンを世に出してしまった日本が恥ずかしい。でもただ怒っても芸がないので、今回の悪夢の構図について考えてみよう。 <<表と裏のA級戦犯>> この薄汚い演目の主役は亀田でもなければ、親父でもない。彼らは利用されおだてられ持ち上げられて踊っただけだ。ではその舞台を回した奴らは誰か。A級戦犯は表と裏に1人ずつ。そして、彼らに阿(おもね)った太鼓持ちが1人見えてくる。 まず糾弾されるべきは間違いなくTBSだろう。亀田ファミリーにいち早く注目し、使えると見るや、感動の家族愛、いまどき珍しいハングリー精神、天才三兄弟とおだて上げることで、彼らを持ち上げ、視聴者を洗脳し、金のなる木に育て上げようと必死だ(うえ~、反吐が出る)。それにしてもこの放送局は最近不祥事が多すぎる。左派リベラリズムがジャーナリズムの良心なのかどうかは知らないが、おのが主張の押し付けがきつ過ぎて腐臭がする。 まあそれは置いておくとしても、今回のおかしなチャンピオン誕生が、低視聴率に喘ぐTBSの目論見通りの結末であることは明らかだ。期待通りの40%超えでお偉方はホクホクだろう。7時半に放送を開始しておいて、肝心の試合開始はなんと9時!1時間半も引っ張るいやらしい構成といい、こんな三流イカサマイベントで視聴率を稼げるのだから、さぞ笑いが止まらないことだろう。 だがTBSはまだまだ満足などしていない。今回のタイトル戦の数日前に亀田の初防衛戦を大晦日に行うことに決め、そのために、何とあの看板番組である「日本レコード大賞」の放送を1日繰り上げてしまった。しゃぶれるものはとことんまで。まさに厚顔無恥とはこのことだろう。まだ勝ってもいないうちから防衛戦をあてこむとは。亀田の勝利が約束されていたものであることをうかがわせる。我が家から歩いて数分のところにあるTBSなのだが、もはやかつての品格もモラルもこの局に求めることは無理なのだろう。電波の無駄使いです、ほんとに。視聴者をバカにするな! では裏の主役はだれかというと、それは何を隠そう、ヤクザさんです。これはおおっぴらには言われてないけれど、わが国のスポーツ興業が力道山の昔から影の勢力に動かされてきたのは隠然たる事実。もちろん今回もリングサイドにはこわーいオジサンたちがズラリ勢揃い。まるで山●組や住●会の大集会じゃないか、ってくらいだったらしい(笑)。ネット情報によるとその中でも重要なのが英五郎という人物らしい。大阪時代からの亀田の後援者らしいんだけど、注目すべきは彼の誕生日なんだよね。8月2日なんです。そう!昨日です。当然彼もVIP席で試合を見てました。つまりはこういうことです、驚く無かれ、世界タイトルマッチがヤクザさんの誕生日のイベントになっていたんですねえ。はは、びっくり! そうそう、ヤクザさんたちは、もちろん誕生日の見世物として亀田ファミリーをバックアップしているわけじゃありません。いくら彼らでもそんなに暇じゃない。彼を育てることで、莫大なマネーが彼らの懐に流れるわけですね。いわゆる、資金源という奴です。亀田が勝ち続けることで彼の商品価値は上がっていき、それに伴ってヤクザさんたちの懐も潤っていくっつーわけですな。こう考えると、ヤクザさんたちに睨まれてる中でジャッジをするのはさぞやヒヤヒヤもんだったことでしょう。亀田を負けにしたらどんなことになるか、考えただけでも首のあたりがスースーしてきます。まったく、納涼にはもってこいですね(笑)。 <<哀れな存在>> さて、表のTBSと裏のヤクザとの間で利害が一致して亀田チャンプが誕生したわけですが、その両者にくっ付いていい思いをしようと姑息に動き回った哀れな存在がいます。それは誰か。実に悲しいことですが、過去に幾多の輝かしい栄光を刻んできた、わが国のプロボクシング界こそがそうなのです。 今回の試合を観戦していた日本プロボクシング協会の原田政彦会長(ファイティング原田)は「何も言わないよ」とメディアを振り切るように小走りで会場を去ったそうです。おいおい、いくらなんでもノーコメントで逃げるってどういうことだよ!日本プロボクシング界の頂点にいるものとして、責任あるコメントを残すべきだろうが。 ファイティング原田といえば、日本が生んだ不世出のチャンピオンの1人。しかも彼は現役時代、三階級制覇がかかった世界フェザー級タイトルマッチで、敵地オーストラリアに乗り込んで3度ダウンを奪う圧倒的な試合をしたにもかかわらず、ありえない判定負けをした経験を持つ人だ。その彼が逃げるように会場を去った。そこに、わが国のプロボクシング界が置かれた厳しい状況がうかがえる。そしてそれがまた一層、哀れみを誘うのだ。 確かに同情の余地はある。豊かになると共にハングリー精神も失われ、カリスマを失って久しい日本のプロボクシング界にあって、亀田ファミリーは、辰吉丈一郎以来、久々に現れたビッグネーム(の卵)なのだ。だから、実力に疑問があっても、彼らへのプロモーションが、プロレス、そして格闘技に奪われてしまったボクシング人気を取り戻すための、たった一つの希望だった。正にワラにもすがる思いで、この「亀田チャンププロジェクト」に乗ったのであろうことはよく分かる。 だから、あまり悪く言いたくはない。彼らにどす黒い思いはないだろう。でもやはりこれだけは言わねばなるまい。今回の結果は、一時的には成功でもやがて必ず報いを受けるだろう。麻薬と同じで、人気低迷を逸回するために禁断の実に手をつけた代償は高くつくと思う。何より、スポーツマンシップを自ら道端に投げ捨てた代償は大きい。 そういえば話はちょっとわき道に逸れるけれど、これとよく似たことが最近あった。名人戦の主催社をめぐる騒動。僅かの金と人気取りのためにモラルを捨てた日本将棋連盟(と米倉会長)も同じ運命をたどることだろう。 さて、3人の悪役について書いたところでひとまず切って、肝心の亀田チャンプについては明日にしようと思う。 (つづく)
by redhills
| 2006-08-03 23:17
| スポーツ
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