"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●続・日本沈没考

あああぁぁぁぁぁ・・・・・。
大反省・・・・。

更新をサボっている間にとんでもないことが起きてしまいました。
丹波哲郎御大、大霊界へ旅立つ―――。
御大、すみません!!!!
確かに御大の代表作は「007」や「砂の器」、「Gメン」でしょう。
ですが、「日本沈没」での山本総理役の名演は私の心に残っています。
今回は、その総理役のことも含め、キャスティングについて論じてみます。

前回、リメイクの出来が良くなくてもショックはなかった、と書きましたが、あれは実はウソです。正確に言えばショックはあったのです。ただし、それは出来が悪かったからではなくて、「リメイクしちゃうのかぁ」、という思いだったのです。つまり、製作が決定した時点でショックを感じたわけです。
でもそれは、旧作が好きだからリメイクするな、という気持ちからではありません。それどころかむしろ自分はリメイクに大賛成だったのです。というのも、実は以前から自分の中で「今映画化したら受けるだろうな」と思っていた企画(というほどのものじゃないです)が2つあって、そのうちの1つがズバリ、「日本沈没リメイク」だったのですから。だから、製作が決まったと聞いて勝手に、「アイデア取られた!」みたいな気持ちになったわけです(笑)。ちなみに、もう1つの企画は「ワイルド7」(望月美起也原作)です。超国家的テロ組織を殲滅するべく秘密裡に組織された、曲者ぞろいの超法規的特務部隊による、バイクをメインにしたハードアクションは受けるのではないかと思います。監督はジョン・ウーを希望(でも彼じゃさすがにMI2の二番煎じととられちゃうか)。

おっと、話が逸れました。
東海大地震が叫ばれ、阪神、北越と震災が続く現代にあって、日本が沈没するという大災害はまったくの絵空事ではないでしょう。加えて、進歩した特撮や音響技術で新たなスペクタクルを見せると言うのも興味をそそります。リメイクばやりの昨今、これに手をつけない手はないと思っていました。
自分の中で何度となく、日本沈没リメイク、自分ならこうやる…と妄想してみたものです。しかしいつも決まって「やっぱり無理だなあ」という結論になってしまいました。それはなぜか?それは「小野寺を演る役者がいなかったから」です。

そうなんです。主役の小野寺を草なぎ剛がやると聞いた時は本当に驚きました。
まったくピンと来ませんでした。

簡単に説明しますと、小野寺は、深海調査艇「わだつみ」の腕利きパイロットであり、田所博士の調査にクルーとして加わったことから、日本近海で起きている異変に遭遇し、1年以内に日本が沈没するという、驚愕の事実をいち早く知ってしまう。操艇の腕を見込まれると同時に、秘密を知ってしまったことから、逃れようもなく日本政府の極秘プロジェクト「D計画」に関わっていくことになる一方で、外部の誰にも、家族にすら真実を話すことが出来ないつらさを味わう。最後のところで彼は海外へと逃れようとするが、結局は自分の愛する人1人も救えないという事態に陥り、大自然の力の前に己の無力さを感じつつ、悪戦苦闘する。

この小野寺役を、旧作では藤岡弘が演じている。
仮面ライダー(本郷猛)役が大当たりし、当時アクションスターとして人気を博していた彼が、本格俳優を目指して取り組んだのが、この「日本沈没」だった。天地がひっくり返るような大天災を前に、汗と泥まみれになって走り回る役どころは、彼のキャラクターにピタリとはまっていた(ただ欲を言えば、彼の暑苦しさエキスを残らず絞りきってなかったのが惜しい。それに成功していたらもっと良くなったと思うけど)。

では翻って今、この小野寺を演じられる俳優がいるだろうか?

今の日本は、肉体で語れる若手俳優がほとんどいない。ひ弱で淡白な役者ばかりだ。でなきゃ、元気だけは良くても、ガキっぽくて演技のエの字も分からんようなタレントしかいない。ちと毛色は違ってコミカル色がでるが、ダイ・ハードのブルース・ウィリスみたいな、悪戦苦闘型の肉体派俳優がいないのだ。みんなどこかスマートで汗臭さ泥臭さがないんだよね(余談だけど、今回共演してたミッチーなんか野性味を出そうってんで髭なんか生やしてたけど、あの程度じゃ単なるオシャレにしか見えん)。
確かに浅野忠信みたいに動きも演技もうまい役者はいるけど、どこかエキセントリックでストレートじゃない。日本的っちゃ日本的だけど、パニック映画には不向きなんだな。その点藤岡弘はハマリ役だった。
草なぎ君に恨みは無いけれど、はっきり言って、不満ありありなわけですよ。

次に、もう一人の主役と言っても良い田所博士のキャスティング。小林桂樹とトヨエツの対決なんだけど、これがまたエラく差がついた。
まあ、トヨエツも相手が悪すぎたよ。旧作での日本沈没のリアリティーの半分は名優、小林桂樹がもたらした、と言ってもいいくらい、彼の演じた田所は素晴らしかった。まず最初の日本海溝の潜航シーンからして、観る者をグイと引き込んでしまう。そしてそれからも彼の演技からは、誰よりも日本のことを深く知り、また深く愛していた偏屈者の苦悩が余すことなく表現されていた。
一方、新作の田所はただのエキセントリックなマッド・サイエンティストにしか見えない。とにかく一つ一つの動きにリアリティーがないんだよね。確かに脚本の駄目さはあるが、トヨエツってこんなに演技下手だったかなあ。いや、そもそも彼って演技うまかったっけ。そういえば、彼の代表作って何だろう。思いつかん(笑)。

続いては政治家たち。つまりは首相のキャスティング(丹波哲郎と石坂浩二)なんですが、こちらも旧作の圧勝です。
まずもって、政治家としての、置かれた状況の重みの表現が違いすぎる。そもそも、なんで石坂浩二が総理大臣なのか理解に苦しむ。ちょっとインテリな初老の男って感じで選んだのかね。影薄いし(これは脚本のせいだけど)。もっといい役者いるだろ。山崎努とか緒形拳とか。もう少し若いところなら、クサすぎて自分は気に入らないけど、役所とかね。

でも結局誰がやっても、旧作の丹波には及ばなかったろうな。
大派閥のボスでもなく、地盤が強固でもない一介の政治家が、図らずも日本沈没という未曾有の大事態に対処することを運命付けられてしまう。彼は、始めのうちは余りの重圧に逃げ出したくなる衝動に駆られるが、苦悶しつつも政治家としての使命に目覚め、段々と腹を決めていく。旧作では総理大臣の変わっていく様が良く演じられていた。中でも、渡老人との密談である事を聞かされて涙ぐむ場面は出色の出来で、ここは、田所が船の甲板で「日本が沈むんだ」とはっきり告げる場面と並ぶ名場面だ。
しかして新作はどうかというと・・・。なんと、あの丹波の一世一代の名演技の場面を出さずに、石坂の長セリフでの説明で済ませてしまうというお手軽さ!ああ、なんたることか!あんな使い方するならいっそのこと、あのセリフは切って欲しかった。

さて、残るは女性のキャスティングですが。
これが難しい。なんせ、ヒロインである阿部玲子のキャラが大きく変わっている。まあ、時代なんだろうけど。だからいしだあゆみと柴崎コウを比べることは出来ないと思う。でも・・・。いや、柴崎は演技は下手じゃない(ややワンパターンの感じはするけど)。「メゾン・ド・ヒミコ」とか良かった。でも本作では・・・。正直言って、彼女らしさが感じられなかった。誰が演じても同じだったんじゃないかとすら思う。でもこれってつまりは、演出と脚本がダメって事なのかな。
あとは大地真央が演じた文部科学大臣は旧作には登場しないので、これも比較できないけど、自分はピンと来なかった。思うに、この役こそ、いしだあゆみがやるべきだったと思う。

キャスティングについてはこれくらいにしとこう。
結論として、納得のいく配役は主なところ(旧作で共通するもの)ではありませんでした。

そういえば、今日は新しい総理大臣が誕生した日でしたね。今日本沈没となったらどうなることやら。

(つづく)
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by redhills | 2006-09-26 19:32 | 映画
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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