日経・7月20日 仮面 奔流
今日の記事は
・社説~「モノ言う株主」の仮面外された村上被告 (2面) ・投資行動に厳格さ迫る~村上前代表に実刑判決 (3面) の2本です。 先週のスティール・パートナーズを「濫用的買収者」と認定した東京高裁決定に続いて、投資ファンドに対する司法の厳しい裁定が下りました。ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑により証券取引法違反に問われていた村上ファンドの前代表、村上世彰被告に実刑判決が言い渡されました。 ポイントは2点で、1つはインサイダーの定義、もう1つはファンドのあり方でした。 インサイダーの定義について判決は、99年6月の最高裁判決の趣旨を踏まえたうえで更に踏み込み、インサイダー情報となる「重要事実」の認定基準を引き下げ、企業が内部で決定した計画や方針に「実現可能性が全くない場合は除かれるが、(可能性が)あれば足り、その高低は問題とならない」と判示、その範囲を拡大しました。 ファンドのあり方については、「ファンドマネジャーとアクティビスト(モノ言う株主)の活動を1人で行っていた運営体制がインサイダー取引を招いた」と断罪、村上ファンドに「組織上の構造的欠陥」があり、ニッポン放送株のインサイダー取引が「その欠陥に由来する必然的なもの」であるとしました。 表向きは株主全体の利益のために活動をしているように見せかけながら、裏ではこっそりと株を買い増し、一般投資家が乗ってきた頃合を見計らって高値で売り抜けるという、その二面性を厳しく罰したのです。大株主という特権の悪用が村上被告を実刑判決に追い込んだ核心だと記事は指摘しています。この点については、企業年金などの機関投資家から「厳しい判決だ」との声が出ています。現場には、判決は理想論に過ぎる、と写っているようです。 世界中で猛威を振るう「ファンド資本主義」の奔流が日本にも押し寄せたことから相次いでいるM&A絡みの訴訟は、今後も我が国の司法において、一定の判例が積み上がるまでは続くと思われます。今は創成期であるというわけですが、総じて司法の判断は買収側に厳しい様に思われます。 記事は「浮かび上がるのは『大株主は権利を持つ分、責任もある』という原則だ。世界的な潮流である『ファンド資本主義』を日本が活用できるかどうかの試練に直面している」と書いています。確かに、ファンドの経営改革を強いるパワーを活かさない手は無いと思われます。しかしまだ日本にはそれを受け入れる準備が十分整ってはいない、というのが正直なところのような気がします。 ただ今回の事件に関しては、村上被告自らが堀江貴文氏らにニッポン放送株の大量取得を持ちかけたという点で「被告人は自らインサイダー状況を作り出した。(内部)情報の被伝達者というよりも当事者性が強く、悪質」(判決)であり、それゆえ社説は、より重い証取法157条「不正の手段、計画、技巧」を禁じた包括規定を適用しても良かったのではないか、と述べています。
by redhills
| 2007-07-27 09:31
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