日経・7月29日 女性 偏り 原因
今日の記事は
・広がる女性外来、配慮細やか~来院促し早期治療 (11面) ・偏在解消、地域・行政一体で~前野哲博氏 (11面) ・妊産婦の脳出血・敗血症への対応~中核病院の2割が不安~厚労省 (38面) の3本です。 患者を女性に限定した女性外来が増えています。生物学的、社会学的要因に注目する「性差医療」の観点から始まった女性外来ですが、日本では01年から始まり、特定疾患の女性だけを専門的に扱う外来も出てきています。 男性の目が気になることに考慮してレディースデイを設けたところ患者が殺到し、終には週6日すべてを女性専用にしてしまった「松島ランドマーククリニック」(肛門科・横浜市)では、医師やスタッフすべてを女性にするなど、女性が来やすいようにという配慮が行き届いています。待合室に女性が多く居るのを見て安心したという声もあり、女性のみという特色が相乗効果でさらに多くの患者を呼んでいるようです。 その一方で、骨盤臓器脱(泌尿器科)など女性特有の病気については専門医が少なく、それが早期治療を妨げ治療の遅れに繋がっているところもあり、まだまだ医師が足りないという実情もあります。 また、特定の診療科に囚われずに女性特有の体の悩みについて総合的に診療しようとする動きも広がっています。富山市にある「女性クリニックWe! TOYAMA」は、乳腺外科や皮膚科、婦人科などがありますが、産科はありません。これは「産婦人科と一括りにされるけれども、不妊で悩む人は妊婦の姿を見るだけでもつらい思いをするから」(種部恭子院長)です。ここでは威圧感を失くすために医師や看護師は白衣を着ず、また予約電話の応対にも気を配ります。 女性外来のある病院はNPO「性差医療情報ネットワーク」のサイトなどで紹介されています。 最近ますます酷くなっている、医師の偏在の問題について、筑波大学病院総合臨床教育センター副部長の前野哲博氏が述べています。 氏によれば、現在の「医療崩壊」を起こした要因は2つ。 1つは研修先を自由に選べるようになった新しい臨床研修医制度で、これはすでに言われていることです。研修医は豊富な症例が経験でき、指導者が多くおり、また交代要員のいる一部の病院を希望するようになり、それが下の学年に伝わってますます助長されているというわけです。 2つ目は勤務医の激務です。当直明けに通常勤務を行っている医師が9割といわれる実情が、少しでも負担の軽い職場を求める動きに繋がっているのであり、氏によればそれは、もともとあった医療制度の歪みなのです。 これを解消するには方法は2つしかない。1つは従来研修医を全体のバランスを見ながら配分していた医局に代わるような仕組みを作ること、2つは魅力的な研修システムを地域が用意することであるとし、それは地域と行政が一致協力しなければ作れない、というのが氏の意見です。 少子高齢化の原因はいろいろ言われていますが、実は、産む所が無い、というのもその有力な原因の1つです。 リスクが高い妊娠・出産を引き受ける中核施設として全国に66ケ所設置されている、総合周産期母子医療センターの診療体制を厚労省研究班が調べたところ、回答した46施設のうち約2割が、脳出血など産科以外の妊産婦の急性疾患は「受け入れ不可能」とし、体制に不安があることが判明しました。周産期医療の最後の砦と位置づけられる総合センターの課題の克服には近くの大学病院などとの連携が必要なようですが、それだけでは十分ではなく、周産期医療のリスクを軽減する政府レベルでの取り組みが必要であると思われます。
by redhills
| 2007-08-07 18:00
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