日経・8月6日 黄金 快走 困惑
今日の記事は
・EUが黄金株検討~中ロファンドの買収警戒 (1面) ・「日本的」に背向け任天堂快走~普通の技術で楽しさ創造 (9面) ・村上判決、実務家戸惑う (16面) の3本です。 世界で猛威を振るうファンド資本主義がリベラリズムとぶつかる可能性が出てきました。 国の垣根を取り払い、資本や人の自由な移動を認める先進的な試みの成功例であったEUが、投資ファンドによる域内企業の買収に備え、EUや加盟国政府が保有する「黄金株」制度を導入する検討に入りました。中国やロシアなどの政府系ファンドが安全保障に関わる欧州企業を買収し、経営権を握ることを阻止するためです。ここのところ急激に盛り上がっている、ファンドの財務透明化の議論や税制見直し論などと相俟って、保護主義的色彩が資本市場で強まってくる可能性があり、日本の当局も、この動きを注意して見守っていると思われます。政府系ファンドとしては、シンガポール政府が所有する投資会社テマセクが有名ですが、今や国が先頭に立って財テク(古い!)に走るところまで、資本主義はいっているのです。 WiiとDSの大ヒットで快走する任天堂は、いわゆる「日本的」経営とは異なる発想で、今の独自の地位を築きました。創業者の世襲を拒絶して40代の中途入社組を社長に据え、ハードの内製化にまったくこだわらずにファブレス志向で日本得意の「カイゼン」にも関心無し。それでも、ゲームの「楽しみ」はなにか、という一点に集中して知恵を絞り、次々とヒット作を生み出しています。 ニッポン放送株のインサイダー取引事件で村上世彰氏に実刑判決を言い渡した先月19日の東京地裁判決が、市場関係者やM&A実務家に混乱を呼び起こしているようです。 問題は、インサイダー情報としての重要事実の決定にどの程度の実現可能性が求められるのかという点で、判決は「実現可能性がまったくない場合は除かれるが、可能性があれば足り、その皇帝は問題とならない」としました。判決に疑問を持つ側は、「ハッキリした基準が示されないと、経営側に最も安上がりな買収防衛策として利用されかねない」(早稲田大学・黒沼悦郎教授)、つまり、現在検討中の様々な経営情報を積極的に買収側に開示することで、相手をインサイダーに仕立て上げることも可能ではないか、と主張します。逆に判決を指示する側は、「基準を客観的に明示せずに個別判断に任せるようにしないと、脱法行為がまかり通ることになりかねない。現実的な対応だ」(岡山大学・上山名誉教授)と、その実務的な抑止効果に期待します。いずれの主張にも一理あるように思われますが、どちらが正しいにせよ、同事件の高裁判決への注目度は高まるばかりです。
by redhills
| 2007-08-15 18:39
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