"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

2004年 11月 30日 ( 1 )

●思い出の映画たち2 「ワイルドバンチ」

 ワイルドバンチ:THE WILD BUNCH(1969)

 監督 : サム・ペキンパー Sam Peckinpah
 製作 : フィル・フェルドマン Phil Feldman
 脚本 : サム・ペキンパー Sam Peckinpah
      ウォロン・グリーン Walon Green
 撮影 : ルシアン・バラード Lucien Ballard
 音楽 : ソニー・バーク Sonny Burke
 出演 : パイク ウィリアム・ホールデン William Holden
      ダッチ アーネスト・ボーグナイン Ernest Borgnine
      ソーントン ロバート・ライアン Robert Ryan
      ライル ウォーレン・オーツ Warren Oates
      テクター ベン・ジョンソン Ben Johnson
      サイクス エドモンド・オブライエン Edmond O'Brien
      コファー ストローザー・マーティン Strother Martin
      マパッチ エミリオ・フェルナンデス Emilio Fernandez


 思い出の映画たち第2弾は、映画史上一番かっこいいセリフが聞ける映画を。

 この作品の評価ははっきりと分かれる。特に女性からは「野蛮」「理解できない」という感想が聞けそうだ。でも僕に言わせれば、「んなこたぁ知ったこっちゃない」。女達が何と言おうとワイルドバンチは断然面白いし、そして何よりかっこいい。なにがどうかっこいいかって? まあ、あわてなさんな。

 ワイルドバンチを見たのはディレクターズカット版が公開された1997年。渋谷で女の子と見に行ったのだが、もう、最初から最後までペキンパーの強烈な一発にノックアウトされっぱなしだった。西部劇映画の金字塔だと聞いてはいたけれど、これほどまでにサイコーな映画だとは思っていなかった。ビデオを我慢して映画館で見て良かったと本当に思った。

 時代は西部開拓時代の末期。だんだんとその生き場所がなくなってきている、西部の荒くれ男たち(ワイルドバンチ)の、生き様、そして死に様をハードなアクションと破天荒な生活描写の中に深い共感をこめて描きこんだ傑作。
 これは一言で言えば、男が作った、男の映画である(といっても、あっち系の映画では、もちろん、ない)。21世紀、こんな男たちは、もう絶滅してしまった。何よりペキンパー自身が最後の西部に生きたアウトサイダーであり、ここに描かれた男たちは、そのすべてが彼自身の分身である。監督による自画像でもあるこの作品は全編冷徹なリアリズムに貫かれており、バイオレンスシーンも容赦なく、ましてやお涙頂戴な甘ったるい場面などひとつもない。余談だが、同じ年に公開された「明日に向かって撃て」も西部末期を生きるガンマンが主役なのだが、こちらはアメリカン・ニューシネマらしく、さわやかなタッチで水彩画の趣きである。同じ年に、同じ時代や背景の設定でこうも違う映画ができるというのも、また映画の楽しみだと思う(ちなみに、僕は「明日に~」も大好きである)。

 彼らは西部の荒野で法も秩序も受け入れずに好き放題に生きてきた無法者たち。まぁ、ぶっちゃけて言えば、「七人の侍」の野武士だね。でも彼らは卑怯者ではない。悪い奴らといっても彼らには誇りもプライドもあり、この無法地帯で生き延びてきた自負も自信もある。だが、彼らはもう若くはない。鉄道に象徴される新しい時代の波の訪れ、そして、もう自分たちが生きていける時代が終わりつつあることを感じ取っている。
 彼らはプロである。フロンティアというジャングルで生きる肉食獣であり、強いものが生き残り、弱いものは死んでゆくという、情け容赦のない掟の中に生きている。仲間同士の間でもいさかいや裏切りが絶えない。でも、そんななかで作り上げた信頼は本物であり、その、湿度のまったくない友情が、荒涼とした西部の風景に実に良くマッチする。

 公開時にこの映画が批判を浴びたのは、その残酷な殺戮シーンが問題とされたからだった。あの、映画史上有名なストップモーションを使ったラストの銃撃戦シーンだが、今見てもすごい迫力。まったくそのパワーは衰えていない。言っておくが、当時CGなどという、便利なものは無かった。あと、断言するが、ジョン・ウーの師匠は間違いなくペキンパーである。ウーのファンはペキンパーを敬うべし。

 さて、そんな彼らはそろそろ潮時だと思い銀行強盗を計画するのだが、敵もさるもの、わなを仕掛けており作戦は失敗。それではと列車強盗を企てるのだが、新たな横槍が入って計画が大きく狂いだし、大切な仲間たちが一人、二人とやられていく。動揺し仲間割れしそうになりながらも、ボスのパイク以下、残ったワイルドバンチ達は囚われの仲間を救うべく、死を覚悟して立ち向かっていく。
 はっきりいって、彼らはアホである。ボスのパイクと副官のダッチは知恵もあるが、そのほかのやつらは単細胞でイカレたやつばかりだ。でも、それがとてもいい。俺たちゃワイルドバンチだ! って感じで荒っぽいんだが、一たび打ち解けるとサイコーにいいやつだったりする。
 パイク役のウイリアムホールデンは渋くてかっこいい。そして、ダッチのアーネストボーグナイン、彼はハンサムじゃないがこれがまた、かっこいいんだね。脇役をやらせたら右に出るものはいない。こういった、忠実な副官なんかやらせるとほんとハマるね。このコンビでスタートレックやって欲しかったな。西部劇になっちゃうけど。

 話がそれた。
 自分たちを皆殺しにする罠だと知りながら、マパッチ将軍に囚われたエンジェルを救いに向かうワイルドバンチ。こちらはたったの4人。相手は数百人の私設軍隊。まず勝ち目は無い。それでもかれらは悠然と進んでゆく。仲間を助けることは彼らにとって当然のことなのだから。

 そして、映画史上最もかっこいいセリフがパイクの口から放たれる。

      Let's go (いこうぜ)

 ライルが応える

      Why not (いいとも)

 男同志に多くの言葉は要らない。これですべてが通じる。このやり取りは本当にかっこいい。男なら、こんなレッツゴー、死ぬまでに一度は言いたいもんだ

 砂漠に散ってゆく彼らの姿が僕にはアフリカのサバンナに君臨するライオンや象に見える。誇り高く、誰にも従わずに生きてきた彼らも今や保護なしには生きていけない。そんな世界にしたのは誰なのか。そしてペキンパーもまた、後にスティーブマックイーンという名優を得ることもあったが、徐々にハリウッドで居場所を無くしてゆく。それは時代の必然だったのだろうか。僕らはワイルドバンチの中に彼の気高いスピリットを感じるのだ。

 最後にオチをつけておくと、一緒に見に行った女の子とはそれきりだった。後で知ったのだが、彼女は筋金入りのジェンダー論者で当然、男尊女卑の極致のようなこの映画が御気に召すはずなどなかったわけである。皆さんもデートの際の映画のチョイスにはくれぐれも気を付けましょう
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by redhills | 2004-11-30 12:44 | 映画



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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