"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

2005年 02月 25日 ( 1 )

●パッチギ! その1

 映画『パッチギ!』を見た。日本映画の封切りものを見に行くことはほとんど無いんだけど、今回は終映後に井筒監督のトークショーがあるってんで行ってみようって気になったというわけ。盛んに他人の作品の批判をしている監督の話を聞いてみたいというのとミーハー気分と半々といった感じ。

 場所は渋谷のアミューズCQN。新しい映画館だ。駅から5分ほど歩いて到着。ビルも新しい。なぜだかよくわからんが、1階にエレベーターがない。エスカレーターで3階までいって、そこからエレベーターに乗る。最近少しずつだが新しい映画館が誕生している。映画ビジネスが上向きな兆しかもしれない。

 きっと混むだろうと思って45分前に行くと整理番号は68番。やっぱりけっこう入っている。上映15分前に入場。人だかりでごったがえしている。隣の人の整理番号をのぞくと98番。半分以上は埋まりそうだ。アミューズCQNはシアター1から3までの3つのスクリーンを持つシネコンだが、どれも小さくてミニシアターが3つ集まったようなイメージ。新しいので人は入りやすいと思う。こういった、ミニシアター系の映画を中心に上映する新しい映画館は応援したくなる。

 10人単位で番号順に入る。スクリーンが小さいので前から4列目をゲット。最前列は予想通り、紺のチョゴリを着た女子高生たちがにぎやかに陣取る。かなりにぎやか。前の席の高校生の兄ちゃんがデカくて頭がスクリーンから20センチくらい飛び出している。字幕が見れなくなる不安があったので一言お願いする。

 さて、映画自体については、出来はよかったです! 監督に言われたからじゃないですけどおすすめです!ので、ネタばれしない程度に紹介します。

 舞台は1968年の京都。70年安保に向けて学生運動が盛んであり、音楽ではグループサウンズが絶頂期を過ぎ、フォークが黎明期を迎えていた頃の、日本人と在日朝鮮人の高校生たちの青春を元気一杯に描いた作品。

 映画を見るうえで知っておくといいことは2つくらい。1つは「イムジン河」という歌の話。イムジン河とは南北朝鮮を流れる河で、この歌は、その流れに託していつの日か祖国が一つになる日がくることを願ったもの。もとは朝鮮語の歌だったのをフォーククルセダーズが日本語の歌詞をつけ発表しようとしたところ、当局により中止に追い込まれた。しかしライブでは歌い継がれた、幻の名曲。2つめは、「パッチギ」という言葉。朝鮮語で「突き破る、乗り越える」という意味。または「頭突き」のこと。朝鮮人のケンカでの定番。

 ま、小難しいことはさておき、見てみるのがいい。

 まず高校生役の演技がよい(特にアンソン役を演じた高岡蒼佑は注目)。朝鮮側も日本側もとても自然に演じられていると思う。クサさ、ぎこちなさ、わざとらしさが感じられなかった。これが実はとても難しい。撮影は2ヶ月ほど合宿状態で行ったそうだ。かなり絞られたと見る。その成果は出ている。

 そして、ケンカがいい。確かに日本人と朝鮮人のケンカの連続なんだけども、それが暗く陰湿でなくて、豪快で、カラリとしていて明るく、すがすがしさすら感じさせる。ギャグも満載で、鈴木清順の『けんかえれじい』(高橋英樹主演)を思い出した。井筒監督はやはり若者のケンカを描いた作品(「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」)で評価された。さすがに生き生きと描かれている。

 そしてそして、どうしても出てくる、在日の問題。監督はこれも重くならないように気を使いながら、でもキモのところではガツンと楔を打ち込んでいる。引きずらず、でも考えさせるように作っている。これも好感が持てる。

 全体として、青春映画の王道を迷いなく堂々と進み、たくさんの若い役者たちのエネルギーを確かな演出力でまとめあげた、質の高い作品です。こういう作品が好きな人はもちろん、そうでない人でも楽しめると思います。 (続く)
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by redhills | 2005-02-25 17:45 | 映画



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。