"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

2006年 03月 14日 ( 3 )

●備えあれば奇跡が起きる-3

<真の勝因は?>

と、アメリカ側から見れば酷い試合だったのだが、韓国側から見れば、これ以上はないというくらいの会心のゲームだった。
とにかく、打つ手打つ手がすべて、ズバズバ当ったのだ。
初回に先制して優位に立つ。抜擢した2番が3安打して繋ぐ。スタメンから外した4番を早くも3回で代打に出し、見事ホームランを打って突き放す。打者が慣れる前の早め早めの継投でピンチを切り抜ける。守備固めしたところに打球がいく。まさに、ベンチが描いた「対アメリカ必勝プラン」どおりにゲームは進んだろう。いや、プラン以上だったか。

ゲームを見る限り、韓国のベンチの勝利であった。

まず、人を得ている。
キム監督がまず素晴らしい。彼は試合中ほとんど表情を変えない。さすがに勝利が近付いた頃はそわそわしていたが、見事な采配だった。大した戦術家だと思った。
そしてもう1人、このチームの生命線である投手陣をまとめ上げた男を忘れるわけにはいかない。
そう、ソン・ドンヨルだ。彼がいたからこそ、韓国は勝てたと思う。

彼は韓国球界と日本球界のハイブリッドなのだ。
韓国球界の至宝、最高の投手と言われ、鳴り物入りで中日ドラゴンズに入団したものの、1年目は散々な成績に終わる。メンツはまるつぶれで大変な窮地に立たされる。普通ならば腐ってそのまま消えてしまうところなのだがしかし、ここからが彼が本当に傑出しているところだった。2年目は完璧なコンディションでキャンプに臨み、日本語を必死に学び、プライドを捨てて星野監督を始めとする首脳陣のアドバイスに謙虚に耳を傾けて投球ホームを修正した。そして見事に糸を引くような剛球と針の穴を通すようなコントロールを取り戻し、不動のクローザーとして君臨した。そして現役引退後も日本球界に学ぶという謙虚さを忘れず、日本にコーチ留学し、新人監督だった昨年いきなり優勝した、あのソン・ドンヨルが、韓国チームの投手コーチをしているのだ。
つまり、韓国投手陣には日本野球のエッセンスが注入されているのだ。
そしてどうやら、彼が投手起用の全てを任せられているようなのである。やはりキム監督、ただ者ではない。

日本野球のエッセンスといえば、今回の韓国チームの守備力に触れないわけにはいかない。
特に素晴らしいのは二遊間。まずエラーをしないし、守備範囲も広く、打者や投球に合わせて守備位置を細かく変えてヒットを何本も普通の内野ゴロにしていた。守備だけを見れば、西武黄金時代の石毛と辻をほうふつとさせるくらいである。
彼らだけではない。日本戦での勝敗を分けたライトのスーパーキャッチも印象的だが、注目すべきは、初めての球場での、二次リーグ2試合でチームエラーはゼロである点だ。本当に見事なチームを作り上げたと思う。

しかし、である。
いくらベンチが素晴らしい計画を立てても、選手が動いてくれなければ絵に描いた餅だ。
まあ、大概は思ったとおりに選手がやってくれるなんてことはあり得ない。むしろ、そういった、予定外の事態にいかに対応するかがベンチワークとも言えるのだが、信じられないことだが、韓国チームは全員が、本当に全員が、実力を出し切っていた。アメリカ戦を見ていても、ミスといえるものは8回の走塁くらいであった。

でも、これすら、偶然ではない。
まず、選手たちがトップコンディションで大会に入っている。3月初旬と言えば、例年ならば調整期間であるのに、韓国チームは実力を出せる状態にあった。これはアジアラウンドから言えたことで、入念な準備を重ねてきていなければ不可能なことだ。
ここに、スタッフ、ベンチ、選手など韓国球界の、今大会に賭ける決意が読み取れた。


<結論?それとも教訓?>

奇跡は偶然起きるものではない。
奇跡を起こすのは、入念な準備とそれをやり遂げる意志だろう。
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by redhills | 2006-03-14 23:44 | 野球

●備えあれば奇跡が起きる-2

<たちまち追い込まれたアメリカ>

だがそれでも、韓国が勝つ確率は低かったと思う。ではなぜ勝てたか。

それには様々な要因が絡んでいるが、最初に目に見える形で現れたのは投手の出来だった。
とにかく、アメリカの先発投手の出来が悪過ぎた。これが序盤のゲームの流れを決めてしまった。去年の最多勝らしいがまったく捕手の構えたところに球が行かない。若いために経験が不足しており、投球術の引き出しが少なく、修正が利かない。
一方、韓国の先発投手は経験豊富で、力に頼らず制球力で打たせて取るタイプのピッチャーだった。気持ちで逃げるのでなく、意識した上で、いきり立ってくるアメリカの打者をいなす手に出た。これがまた、当たる。出だしこそ球が上ずったものの、すぐに落ち着いて実力を発揮した。

ここでさらに説明が必要かもしれない。
野球というスポーツは圧倒的に投手に有利に出来ている。
なぜなら、プレーが始まるとき、球を握っているのは常に投手だからだ。
打者は常に受身の立場に立たされる。だから、10回に3回打てれば上出来なのだ。
それが、対戦したことのない投手ばかりのWBCのような国際試合では、ますます投手が優位になる。だから、余程の実力差が無い限り、投手が実力を出せば、必然的にロースコアゲームが多くなるのだ。
この、理の必然を突き詰めて戦術を立て、実行したのが日本であり、韓国だった。

そこで、アメリカの先発投手なのだが、たったの3回で降板してしまった。すべての回で先頭打者を塁に出している。しかも四球でだ。これではチームにリズムが出るはずがない。その上点の取られ方が悪い。1回はダブルプレーでピンチを逃れホッとしたところで次打者に直球に大ヤマを張られ、まんまと初球を狙い打たれホームランで先制を許し、混乱してその次の打者にまた四球。ヒットでつながれ追加点を奪われる。味方が1点を返してくれた直後の3回裏にまたもや四球から1点を失う。とにかく、良い所が全く無い。

ベンチはやむなく4回から2番手投手を出さねばならなくなる。これが投手起用プランに狂いを生じさせる。出てくる投手も早すぎる登板の上に、予定なら1回で済むはずなのが、2回投げる必要が出てくる。
で、この2番手がまたピリッとしない。4回に敬遠してランナーを溜めて、挙句の果てに、打撃不振でスタメンから外された代打に、大好きな(というよりそれしか打てない)直球で勝負して3ランホームランを食らう。4回を終わって6-1。完全に後手に回ってしまう。

僕のような素人でさえ、ホームランを打った2人以外はパワーピッチで押せば良いとわかるのに、どういうわけかその2人にスピードボールをホームランされ、それ以外の打者に変化球で勝負して合わせられ、追加点を取られる。とにかく、ベンチの指示が頓珍漢で笑ってしまう。


<すべてが悪い方へ回りだし…>

スーパースター軍団に、焦りが焦りを生む悪循環が始まる。大差が付いているために、ご自慢の抑え投手陣の出番が無い。リズムの悪い投球が守備にも悪影響を及ぼす。イージーな落球や悪送球が続出し、それが失点に結びつく。ついには、唯一普段どおりのプレーをしていたジーターまでもが悪送球をするなど、信じられない、見たくないプレーが出てしまった。

打つ方もちぐはぐさが目立つ。ヒットや四球で塁上は賑わすもののホームラン以外で点が取れない。絶好球を見逃し、いい当たりが攻守に阻まれる。募る焦りを見透かしたかのように、アンダースローや左の変則投法の投手を次々と繰り出して目先を狂わそうとする韓国ベンチ。これがことごとく的中し、チャンスを逃し続けるアメリカ。特に酷かったのが、4番のAロッドと5番のチッパージョーンズ。Aロッドは5打数無安打2三振。分かっているのに、外角の逃げていくスライダーにクルクルとバットが良く回る。これで年俸20億円は高い!それにチッパー。信じられないプレーを見た。ランナー1塁でゴロを打った時だったが、捕球したショートが足を滑らして転んだ。「あ、1塁セーフだ」と思ったが、チッパーは全力で走っていなかったため、悠々ダブルプレーが成立してしまったのだ。あのガッツあふれるチッパーの手の抜いたプレーに僕は衝撃を受けた。
その後アメリカは9回に2点返したものの、すべてがもう遅すぎた。

一言で言って、今大会のアメリカチームは勝利に値しないチームであったと思う。

全力で勝利を勝ち取ろう、という姿勢が感じられなかった。打つ方で繋ぎに徹し、ヒット3本を重ねたジーターと、追撃の1発を放ち、その後も2安打1四球で塁に出たケングリフィーJrだけが孤立していた。
ベンチもまったくと言っていいほど対策を打たず、例えば、1番を当っているヤングに代えるとか、リーを使うとか、なぜ手を打たないのか、不思議だった。
ベンチでゲームを見守るクレメンスの寂しげな表情が切なかった。
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by redhills | 2006-03-14 23:43 | 野球

●備えあれば奇跡が起きる-1

いや、驚いた。
大事件が起きた。
何がって、量的緩和解除じゃなくって
今やってるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の話。
と言っても、昨日の日米決戦(笑)の疑惑の判定(というか明確な誤審)のことじゃない。

大事件は、今日起きた。
アメリカが韓国に負けちゃったのだ。
それも3-7の完敗だった。
あの、総年俸100億円を超えるというスター軍団が、である。

僕はテレビ画面を見ながら、「今日こそはアメリカ打線が火を噴くだろう」「ピッチャーも前回登板の汚名返上で実力を出すだろう」「そろそろアメリカが逆転するだろう」と思っていたけれども、最後までそれらは現実にはならなかった。

逆に僕の中には「この大事件はある意味必然だった」という思いが段々と強くなっていった。
そう、韓国の勝利は偶然ではなく、十分ありえることだったのだ。
ただ、もちろんそれはイージーなことではなく、歴史的事件であることは揺るぎない。
以下、試合を見ながら感じたことを書いてみる。


<先発オーダーから見えたもの>

昨日のすっきりしない勝利の後だけに、アメリカは今日の試合は、野球の母国としての、メジャーリーグの本場としての誇りと威信を賭けて、「絶対に」勝たねばならなかった。
それも、ただ勝つだけでは足りない。
「圧倒的な力を見せ付けて」勝たねばならなかった。
日本戦とは違う先発オーダーに、その意図は明確に読み取れた。
守備力より攻撃力を重視した打線で点を取りに来ていた。

ところが、これは完全な戦術ミスであった。
まずは、ベンチワークでアメリカは出遅れた。

少し説明する。
今回の韓国チームは今までの韓国チームとまったく違う。
気迫を表に出して荒削りな力勝負を挑むようなところがなく、投手の粘り強い投球を中心に守りを固めて少ないチャンスを生かし、ロースコアゲームをしのぎ切る、繊細な野球をしている。
一言で言えば、日本に非常に良く似ている。機動力の無い日本、といったチームである。

その韓国に対してアメリカは力でねじ伏せにきた。
韓国ベンチは心の中でほくそ笑んだことだろう。

片や韓国は打撃不振の1番を9番に下げ、4番をスタメンから外し、2番に大会にほとんど出ていない選手を抜擢した。思い切った起用だったが、これがズバリ、当るのだ。選手の特性やコンディションを十分に把握していたのだろう。対戦相手のことよりも、自軍の選手の調子を優先してオーダーを決めたのだ。

ただ、アメリカからすれば、本当の力の差を見せるのであれば、対戦相手の意図など意に介さずに普段どおりのプレーをすれば、姑息な野球を蹴散らせると考えていたのかもしれない。堂々と渡り合って勝ってこそ、という思いもあったろう。それはそれで一つの理屈ではある。しかし、今回は相手が悪かった。見たところ、韓国は日本同様、非常に細かくアメリカの戦力分析が出来ていた。それに比べて、アメリカは余りに情報が乏しかった。
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by redhills | 2006-03-14 23:41 | 野球



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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