"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

カテゴリ:野球( 13 )

●美しい勝利

勝利は美しく、敗北はそうではないと言う。が、グッドルーザーという言葉もある。だからそれは必ずしも真実ではないのかもしれない。
どちらが正しいのかは分からない。でも、見ている側も心を洗われるような勝利の場面というのはやはりあるものだ。

10日の中日ドラゴンズの優勝と、昨日の北海道日本ハムファイターズの優勝には、どちらにもそういう場面があった。

巨人戦の延長12回。優勝をほぼ決定付ける4番ウッズの満塁ホームランが飛び出したとき、信じられないものを見た。ベンチで、あの落合監督がハンカチでまぶたを拭っていたのだ。確かに中日は5点をリードし、裏の巨人の攻撃には守護神岩瀬が控えている。誰もが勝利を確信したことだろう。でもまだ試合中である。それに選手やスタッフならともかく、よりにもよって、監督が、である。しかも、普段は試合中に何があっても表情1つ変えず、冷徹な采配をしてきた落合監督が、目を真っ赤にしている。目を疑う光景だった。

そして、優勝が決まり胴上げも終わったあとの優勝監督インタビューで、落合監督はまた泣いた。「キャンプから厳しい練習させてきて、どうしても優勝しなくちゃいけない、こいつらをどうしても優勝させてやらないといけない、そう考えて…ずっと…」そのあとは言葉にならなかった。でもそれ以上の言葉は要らなかっただろう。一段と高まったスタンドの歓声が彼の涙に応えていた。中日ファンでならずとも、グッとくる場面だった。

鬼の目にも涙、とはまさにこのことだろうな、と思った。いささか古い話だが、東京オリンピックの女子バレーボールで、東洋の魔女を金メダルへと導いた大松監督の話を思い出した。「鬼の大松」と言われたほど厳しく選手を鍛え上げた彼が、金メダルを取って大泣きに泣いたのだった。普段泣かないからこそ、流す涙に価値はある。大観衆の前で男泣きに暮れる落合監督を見て、「いい男だなあ」と思った。

一方の日本ハムの優勝の場面も、また違う味わいがあって感動的だった。

0-0の9回裏。稲葉の鋭い打球が二遊間を襲う。間一髪で追いついた二塁手がベースカバーに入ったショートにトス。きわどい判定がセーフとなる間に、セカンドランナーの森本が好判断でホームベースを陥れた。今期リーグで一番多くホームベースを踏んでいる1番が出塁し、リーグで最も多く送りバントを決めている2番バッターが送って、打点王を擁するクリーンアップで点を取る。1点を確実にものにする、今期のファイターズの攻撃を象徴するサヨナラの場面だった。

しかし、最も感動的だったのは、チームに25年ぶりの優勝をもたらしたのが、トレイ・ヒルマンだったということだろう。ヒルマン監督のインタビューは、落合監督のそれとはまた違って実にさわやかなものだったが、それが逆に感慨を深くさせた。

4年前、メジャーでのプレー経験が全く無く、キャリアといえば、マイナー球団の監督経験しかなかったアメリカ人の彼を連れてきた球団の決断もすばらしいが、アメリカでも最もアメリカ的なテキサス出身でありながら、一度も訪れたことの無い日本で監督としての挑戦を決意した彼の心意気はいかほどのものであったか。そしてそれからの苦労はどれほどのものであったか。

それは大変な苦労であったに違いない。しかしお立ち台の上の彼はいつもとさほど変わらず和やかで、そして、からりと陽気だった。「スタンドと、全国でテレビを見ているすべてのファイターズファンを1人ずつ胴上げしたいです」と言い、決めゼリフである「シンジラレナーイ!」は「1、2の3でみなさんご一緒に」と盛り上げる。そして、彼を暖かく見守る北海道のファンがまた素晴らしい。北の大地に来て3年。ファイターズはどこにも負けないファンを持つ球団となった。

ペナント授与とグラウンド一周が終わり、球場内での記者会見が終わり、祝勝会へと移動する合間のわずかな時間。グラウンドキーパーが土を慣らし、残るファンも僅かとなったグラウンドに再びヒルマンは現れた。彼は、作業をするグラウンドキーパー1人1人に話しかけて感謝の思いを伝え、肩を叩いてその労をねぎらった。そして、まだ残っているファンには、帽子を取って深々と頭を垂れたのだった。ファイターズの躍進の秘密が分かった気がした。

ドラゴンズ、ファイターズ、どちらの勝利もそれぞれに美しかった。
この両者がぶつかり合う日本シリーズは、必ずやすばらしいものとなることだろう。
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by redhills | 2006-10-13 15:22 | 野球

●ハッピーエンド-3

この時点でのチャンピオンは間違いなく韓国だった。しかし、実はこのとき、韓国チームに異変が起きていたのだ。日本戦が接戦となったために、韓国は大切な左腕投手であるクを長く投げさせすぎた。日本キラーとして実績十分の彼のロングリリーフがあったからこそ、日本打線を9回の1点に抑えることが出来たのだったが、その代償として連投のムリが出てしまい、準決勝での登板ができなくなってしまったのだった。そして、投球数制限という大会規定から、パクも準決勝では投げられなかった。

韓国は6戦全勝で二次リーグをトップで通過した。日本に連勝し、アメリカにも勝つという快挙も成し遂げた。ベスト4という目標も達成した。兵役免除のご褒美ももらえた。だがしかし、準決勝でクローザー(パク)とセットアッパー(ク)を欠く事態となってしまったのだ。

もし、二次リーグの日本戦でローテーションを守って別の投手を先発させ、クの負担を軽くし、パクを抑えに使っていたら、例え日本に負けても二次リーグは突破できたであろうし、準決勝で二人の活躍も見れ、試合はもっと接戦となったことだろう。負け試合なら、二人を使わずに休ませることだってできたかも知れない。だが、それは不可能となってしまった。

繰り返すが、韓国がそういった、ある意味無茶な投手起用をしたのは二次リーグの最終戦が日本戦だったからだが、その遠因はというと、東京での日韓戦になると思うのだ。

東京ラウンド第3戦。WBC2試合を終えた時点で両国はともに2勝しており、二次リーグへの進出を決めていた。つまり、勝敗を考えずに思い切り戦える状況にあった。緒戦の台湾戦に勝利し意気上がる韓国はチャレンジャーとしてぶつかってきた。片や日本は本番はアメリカに行ってから、という感じでまだ6、7割といった感じだった。そこでイ・スンヨプの逆転2ランで、韓国が「これしかない」という形での勝利を収める。「日本に勝った」という事実が韓国の大きな自信になるとともに、「負けられない」という思いに繫がったのではないか。「このチームは強い。日本にだって負けない。次も勝つ」という思い、欲というようなものが出てきた。それがパクとクを消し、福留の2ランに繫がったのではないか。そう思うのだ。

運命のいたずら、とはよく言う言葉だが、確かにそういうものはあるように思う。しかし、実力という点で、勝者はやはり日本だった。運も味方に付けた、という意味でも。

誰かがミスをしても他の誰かがカバーする。ミスした者が次に活躍して取り返す。そういう、チームとしてのまとまりや、ひたむきさといった点でも日本は王者に相応しかった。ハッピーエンドだった。
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by redhills | 2006-03-22 10:37 | 野球

●ハッピーエンド-2

以上が韓国が敗退した唯一、最大の理由なのだが、ではなぜクは故障したのか。実はそれにも理由がある。それは、二次リーグの最終戦が日本戦だったからだ。

二次リーグまでの韓国は破竹の勢いだった。東京で日本を破って勢いに乗り、アナハイムでもメキシコに2-1で目論見とおりに競り勝つと、2戦目で何とアメリカを破った。世界を驚かせた瞬間だった。

二次リーグで2試合を終えた時点で、韓国2勝、日本とアメリカ1勝1敗、メキシコが2敗だった。3試合目は日本-韓国、アメリカ-メキシコだった。

アメリカがメキシコに負けると予想する人はメキシコ人以外はいなかったと思う。何しろ練習を休んでディズニーランドに遊びに行っちゃったんだから(笑)。勝っても準決勝にいける可能性もほとんどなかったし。もちろん、事実は逆になるのだが、試合前まではそう考えるのが妥当だった。

ただ、アメリカが勝ってもメキシコが勝っても韓国は準決勝にいけたのだ。それどころか、日本に負けても準決勝に行けたのだ。例の失点率で考えても、日本、韓国、アメリカのなかで最も失点率が低いのが韓国、僅差で日本、離れてアメリカだった。僅差の敗戦なら何の問題もなかったのだ。

だがしかし。どんな勝負だろうと、相手が日本となると負けるわけには行かないのが韓国。東京での敗戦のリベンジを期してくる日本を返り討ちに、という世論が一気に盛り上がった。想像するに、キム監督にこだわりは余りなかったと思う。でも、国民感情がそれを許さなかった。選手たちも絶対に勝ちたかったのだと思う。

その結果、日本戦の先発は、あっと驚くパク・チャンホだった。WBCではクローザー役で完璧な仕事をしていた彼をこの大一番で先発させ、日本の攻撃を封じる作戦に出たのだ。

この作戦はズバリ当る。彼は期待通り責任を果たし、日本を0点に抑え込む。継投も成功し、韓国が日本のただ1度のミスから得た8回のワンチャンスをものにして再び日本を破ったのはご存知のとおり。まるで優勝したかのごとく大喜びする韓国ナインとファン。両チームの明暗はくっきりと分かれた。イチローは「人生最大の屈辱」とうめいた。この時点で日本は1勝2敗。メキシコが2点以上とってアメリカに勝たねば終わり、という崖っぷちに立たされた(しかも、アメリカの先発はあのロジャー・クレメンスだった)。
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by redhills | 2006-03-22 10:36 | 野球

●ハッピーエンド-1

いやあーー、春分の日、盛り上がりましたねえ!
王ジャパン、WBC初代王者ですよ!!
今朝、スポーツ紙全部買ってきました。保存版です(^o^)

もうゲップが出るくらいこのニュースは見聞きされているでしょうから、あれこれ書く気はないですが、一言、王ジャパンはいいチームでしたね。試合を重ねるごとにまとまっていったのが、見ていて分かった。それと、優勝までの軌跡が、まさに奇跡。スポコンマンガじゃないかと思うくらいの劇的さ! 脚本を学ぶ身ですが、こんなホン、とても書けません。ボブの衝撃に始まって、失点率0.01差での勝ち上がり、福留の一発、キューバ戦9回のイチローのタイムリーとか、凄過ぎ!!

そうそう、これだけは言っておかねば。
「メキシコよ、ありがとう!」mucha gracias!!
メキシコについてのちょっといい話はこちらを読んでね(特に最後の方)。

で、ひねくれ者のリトルが何を書くかって言うと、日本vs韓国の3試合についてです。
ここで言いたいのは、「準決勝で韓国は負けるべくして負けた」ということです。

あ、政治抜きですよ。感情的にならないで。まあ読んでください。

今回は時間を逆行してみようと思う。その方が分かりやすいと思うので。
準決勝の日韓戦。この試合は今まで2敗していた日本が6-0で圧勝したが、試合のポイントは誰が見ても2つ。1つは上原の快投。そしてもう1つは福留の代打2ランだった。

上原のピッチングは予想できた。僕が勝敗を分けたと思うのは福留の一打の方。打率1割と不振をかこっていた福留の一振りは正に起死回生、6回までチャンスを逃していたチームの重苦しい空気も同時に振り払った価値ある一発だった。

この場面で韓国は右下手投げのキム投手を続投させた。僕は「おや?」と思った。今までのソン・ドンヨルだったら、間違いなくク・デソンをコールしていたろう。決定的なミスだと思った。だが、韓国はそれが出来なかったのだ。なぜならクが故障していたからだ(この事実は隠されていた)。韓国投手にはあと1人しか左のリリーフがいない。延長戦の可能性もあるなか、そう簡単に最後のカードは切れなかったのだ。だが、その迷いが勝敗を分けた。継投に勝ち続けてきた韓国がたった一度のミスを犯した。そして、韓国はWBCから姿を消した。
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by redhills | 2006-03-22 10:35 | 野球

●備えあれば奇跡が起きる-3

<真の勝因は?>

と、アメリカ側から見れば酷い試合だったのだが、韓国側から見れば、これ以上はないというくらいの会心のゲームだった。
とにかく、打つ手打つ手がすべて、ズバズバ当ったのだ。
初回に先制して優位に立つ。抜擢した2番が3安打して繋ぐ。スタメンから外した4番を早くも3回で代打に出し、見事ホームランを打って突き放す。打者が慣れる前の早め早めの継投でピンチを切り抜ける。守備固めしたところに打球がいく。まさに、ベンチが描いた「対アメリカ必勝プラン」どおりにゲームは進んだろう。いや、プラン以上だったか。

ゲームを見る限り、韓国のベンチの勝利であった。

まず、人を得ている。
キム監督がまず素晴らしい。彼は試合中ほとんど表情を変えない。さすがに勝利が近付いた頃はそわそわしていたが、見事な采配だった。大した戦術家だと思った。
そしてもう1人、このチームの生命線である投手陣をまとめ上げた男を忘れるわけにはいかない。
そう、ソン・ドンヨルだ。彼がいたからこそ、韓国は勝てたと思う。

彼は韓国球界と日本球界のハイブリッドなのだ。
韓国球界の至宝、最高の投手と言われ、鳴り物入りで中日ドラゴンズに入団したものの、1年目は散々な成績に終わる。メンツはまるつぶれで大変な窮地に立たされる。普通ならば腐ってそのまま消えてしまうところなのだがしかし、ここからが彼が本当に傑出しているところだった。2年目は完璧なコンディションでキャンプに臨み、日本語を必死に学び、プライドを捨てて星野監督を始めとする首脳陣のアドバイスに謙虚に耳を傾けて投球ホームを修正した。そして見事に糸を引くような剛球と針の穴を通すようなコントロールを取り戻し、不動のクローザーとして君臨した。そして現役引退後も日本球界に学ぶという謙虚さを忘れず、日本にコーチ留学し、新人監督だった昨年いきなり優勝した、あのソン・ドンヨルが、韓国チームの投手コーチをしているのだ。
つまり、韓国投手陣には日本野球のエッセンスが注入されているのだ。
そしてどうやら、彼が投手起用の全てを任せられているようなのである。やはりキム監督、ただ者ではない。

日本野球のエッセンスといえば、今回の韓国チームの守備力に触れないわけにはいかない。
特に素晴らしいのは二遊間。まずエラーをしないし、守備範囲も広く、打者や投球に合わせて守備位置を細かく変えてヒットを何本も普通の内野ゴロにしていた。守備だけを見れば、西武黄金時代の石毛と辻をほうふつとさせるくらいである。
彼らだけではない。日本戦での勝敗を分けたライトのスーパーキャッチも印象的だが、注目すべきは、初めての球場での、二次リーグ2試合でチームエラーはゼロである点だ。本当に見事なチームを作り上げたと思う。

しかし、である。
いくらベンチが素晴らしい計画を立てても、選手が動いてくれなければ絵に描いた餅だ。
まあ、大概は思ったとおりに選手がやってくれるなんてことはあり得ない。むしろ、そういった、予定外の事態にいかに対応するかがベンチワークとも言えるのだが、信じられないことだが、韓国チームは全員が、本当に全員が、実力を出し切っていた。アメリカ戦を見ていても、ミスといえるものは8回の走塁くらいであった。

でも、これすら、偶然ではない。
まず、選手たちがトップコンディションで大会に入っている。3月初旬と言えば、例年ならば調整期間であるのに、韓国チームは実力を出せる状態にあった。これはアジアラウンドから言えたことで、入念な準備を重ねてきていなければ不可能なことだ。
ここに、スタッフ、ベンチ、選手など韓国球界の、今大会に賭ける決意が読み取れた。


<結論?それとも教訓?>

奇跡は偶然起きるものではない。
奇跡を起こすのは、入念な準備とそれをやり遂げる意志だろう。
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by redhills | 2006-03-14 23:44 | 野球

●備えあれば奇跡が起きる-2

<たちまち追い込まれたアメリカ>

だがそれでも、韓国が勝つ確率は低かったと思う。ではなぜ勝てたか。

それには様々な要因が絡んでいるが、最初に目に見える形で現れたのは投手の出来だった。
とにかく、アメリカの先発投手の出来が悪過ぎた。これが序盤のゲームの流れを決めてしまった。去年の最多勝らしいがまったく捕手の構えたところに球が行かない。若いために経験が不足しており、投球術の引き出しが少なく、修正が利かない。
一方、韓国の先発投手は経験豊富で、力に頼らず制球力で打たせて取るタイプのピッチャーだった。気持ちで逃げるのでなく、意識した上で、いきり立ってくるアメリカの打者をいなす手に出た。これがまた、当たる。出だしこそ球が上ずったものの、すぐに落ち着いて実力を発揮した。

ここでさらに説明が必要かもしれない。
野球というスポーツは圧倒的に投手に有利に出来ている。
なぜなら、プレーが始まるとき、球を握っているのは常に投手だからだ。
打者は常に受身の立場に立たされる。だから、10回に3回打てれば上出来なのだ。
それが、対戦したことのない投手ばかりのWBCのような国際試合では、ますます投手が優位になる。だから、余程の実力差が無い限り、投手が実力を出せば、必然的にロースコアゲームが多くなるのだ。
この、理の必然を突き詰めて戦術を立て、実行したのが日本であり、韓国だった。

そこで、アメリカの先発投手なのだが、たったの3回で降板してしまった。すべての回で先頭打者を塁に出している。しかも四球でだ。これではチームにリズムが出るはずがない。その上点の取られ方が悪い。1回はダブルプレーでピンチを逃れホッとしたところで次打者に直球に大ヤマを張られ、まんまと初球を狙い打たれホームランで先制を許し、混乱してその次の打者にまた四球。ヒットでつながれ追加点を奪われる。味方が1点を返してくれた直後の3回裏にまたもや四球から1点を失う。とにかく、良い所が全く無い。

ベンチはやむなく4回から2番手投手を出さねばならなくなる。これが投手起用プランに狂いを生じさせる。出てくる投手も早すぎる登板の上に、予定なら1回で済むはずなのが、2回投げる必要が出てくる。
で、この2番手がまたピリッとしない。4回に敬遠してランナーを溜めて、挙句の果てに、打撃不振でスタメンから外された代打に、大好きな(というよりそれしか打てない)直球で勝負して3ランホームランを食らう。4回を終わって6-1。完全に後手に回ってしまう。

僕のような素人でさえ、ホームランを打った2人以外はパワーピッチで押せば良いとわかるのに、どういうわけかその2人にスピードボールをホームランされ、それ以外の打者に変化球で勝負して合わせられ、追加点を取られる。とにかく、ベンチの指示が頓珍漢で笑ってしまう。


<すべてが悪い方へ回りだし…>

スーパースター軍団に、焦りが焦りを生む悪循環が始まる。大差が付いているために、ご自慢の抑え投手陣の出番が無い。リズムの悪い投球が守備にも悪影響を及ぼす。イージーな落球や悪送球が続出し、それが失点に結びつく。ついには、唯一普段どおりのプレーをしていたジーターまでもが悪送球をするなど、信じられない、見たくないプレーが出てしまった。

打つ方もちぐはぐさが目立つ。ヒットや四球で塁上は賑わすもののホームラン以外で点が取れない。絶好球を見逃し、いい当たりが攻守に阻まれる。募る焦りを見透かしたかのように、アンダースローや左の変則投法の投手を次々と繰り出して目先を狂わそうとする韓国ベンチ。これがことごとく的中し、チャンスを逃し続けるアメリカ。特に酷かったのが、4番のAロッドと5番のチッパージョーンズ。Aロッドは5打数無安打2三振。分かっているのに、外角の逃げていくスライダーにクルクルとバットが良く回る。これで年俸20億円は高い!それにチッパー。信じられないプレーを見た。ランナー1塁でゴロを打った時だったが、捕球したショートが足を滑らして転んだ。「あ、1塁セーフだ」と思ったが、チッパーは全力で走っていなかったため、悠々ダブルプレーが成立してしまったのだ。あのガッツあふれるチッパーの手の抜いたプレーに僕は衝撃を受けた。
その後アメリカは9回に2点返したものの、すべてがもう遅すぎた。

一言で言って、今大会のアメリカチームは勝利に値しないチームであったと思う。

全力で勝利を勝ち取ろう、という姿勢が感じられなかった。打つ方で繋ぎに徹し、ヒット3本を重ねたジーターと、追撃の1発を放ち、その後も2安打1四球で塁に出たケングリフィーJrだけが孤立していた。
ベンチもまったくと言っていいほど対策を打たず、例えば、1番を当っているヤングに代えるとか、リーを使うとか、なぜ手を打たないのか、不思議だった。
ベンチでゲームを見守るクレメンスの寂しげな表情が切なかった。
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by redhills | 2006-03-14 23:43 | 野球

●備えあれば奇跡が起きる-1

いや、驚いた。
大事件が起きた。
何がって、量的緩和解除じゃなくって
今やってるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の話。
と言っても、昨日の日米決戦(笑)の疑惑の判定(というか明確な誤審)のことじゃない。

大事件は、今日起きた。
アメリカが韓国に負けちゃったのだ。
それも3-7の完敗だった。
あの、総年俸100億円を超えるというスター軍団が、である。

僕はテレビ画面を見ながら、「今日こそはアメリカ打線が火を噴くだろう」「ピッチャーも前回登板の汚名返上で実力を出すだろう」「そろそろアメリカが逆転するだろう」と思っていたけれども、最後までそれらは現実にはならなかった。

逆に僕の中には「この大事件はある意味必然だった」という思いが段々と強くなっていった。
そう、韓国の勝利は偶然ではなく、十分ありえることだったのだ。
ただ、もちろんそれはイージーなことではなく、歴史的事件であることは揺るぎない。
以下、試合を見ながら感じたことを書いてみる。


<先発オーダーから見えたもの>

昨日のすっきりしない勝利の後だけに、アメリカは今日の試合は、野球の母国としての、メジャーリーグの本場としての誇りと威信を賭けて、「絶対に」勝たねばならなかった。
それも、ただ勝つだけでは足りない。
「圧倒的な力を見せ付けて」勝たねばならなかった。
日本戦とは違う先発オーダーに、その意図は明確に読み取れた。
守備力より攻撃力を重視した打線で点を取りに来ていた。

ところが、これは完全な戦術ミスであった。
まずは、ベンチワークでアメリカは出遅れた。

少し説明する。
今回の韓国チームは今までの韓国チームとまったく違う。
気迫を表に出して荒削りな力勝負を挑むようなところがなく、投手の粘り強い投球を中心に守りを固めて少ないチャンスを生かし、ロースコアゲームをしのぎ切る、繊細な野球をしている。
一言で言えば、日本に非常に良く似ている。機動力の無い日本、といったチームである。

その韓国に対してアメリカは力でねじ伏せにきた。
韓国ベンチは心の中でほくそ笑んだことだろう。

片や韓国は打撃不振の1番を9番に下げ、4番をスタメンから外し、2番に大会にほとんど出ていない選手を抜擢した。思い切った起用だったが、これがズバリ、当るのだ。選手の特性やコンディションを十分に把握していたのだろう。対戦相手のことよりも、自軍の選手の調子を優先してオーダーを決めたのだ。

ただ、アメリカからすれば、本当の力の差を見せるのであれば、対戦相手の意図など意に介さずに普段どおりのプレーをすれば、姑息な野球を蹴散らせると考えていたのかもしれない。堂々と渡り合って勝ってこそ、という思いもあったろう。それはそれで一つの理屈ではある。しかし、今回は相手が悪かった。見たところ、韓国は日本同様、非常に細かくアメリカの戦力分析が出来ていた。それに比べて、アメリカは余りに情報が乏しかった。
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by redhills | 2006-03-14 23:41 | 野球

●な~るほど

某○ちゃんねるにあった書き込み

 『日本人のアメリカ人に対する最大の誤解は、アメリカ人が個人主義だと思ってる事。
 アメリカはチームワークの国。チームワークが強力すぎて、何もしないと個人なんか気にかけてもらえない。いわゆる「アメリカの個人主義」ってのはそういう社会への予防策みたいなもの。
 つまり、チーム最優先なんだけど、ちゃんとどこにいるのか分かる奴、ってのが一番好かれる。アメリカの就職面接のテクニックには必ず「個性的なチームプレーヤーである事を印象付けましょう。」と書いてあるよ。

 日本人はチームワークには問題無い場合が多いので、あとは集団の中で個性的でいられるかどうかの問題。これは実は意外と簡単だったりする。野茂、イチロー、松井は皆こんな感じでしょ。個人の経験から言って、日本とアメリカの会社は、実はそんなに違わない。むしろ、ヨーロッパやアジアの会社の方のが、適応するのが大変だったりする。

 日本人メジャーリーガーが成功しているのは、俺にはあまり不思議ではないのだ。』
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by redhills | 2005-03-22 22:02 | 野球

●美しき天才打者

 春が来ると野球が見たくなる。毎日報道されるキャンプでのひいきの選手の動静が気になったりする。これは昔っからの感覚で日本人男性ならそう珍しくないことだと思うが、大学に入った頃からは英語に慣れるためと称して「Sports Illustrated」などを眺める(読む、ではない)ようになったこともあり、メジャーリーグがより身近になった。今年も例年同様、日米のキャンプ情報を楽しんでいるのだが、今年は特にある選手のことが気になるのだ。それはイチローでも野茂でもダブル松井でもない。シンシナティ・レッズの天才スラッガー、ケン・グリフィーJr.である。

 グリフィーって誰?という人は多いだろうと思うので間単に紹介をしておこう。彼は、70年代に「ビッグレッドマシン」といわれたシンシナティ・レッズの黄金時代を支えた名外野手であるケン・グリフィーの息子であり(ちなみにバリー・ボンズもボビー・ボンズの息子)、その才能は早くからずば抜けていた。高卒にもかかわらず全米のトップでドラフト指名されてマリナーズ入り。19歳でメジャーデビューしたその初打席でヒットを放ち、翌年のオールスターに史上2番目の若さで5番センターとして先発出場、20歳にして155試合に出場し、打率.300、22HR、80打点という驚異的な数字を残す。また、守備能力も素晴らしくゴールドグラブ賞も受賞。

 やがてホームランを量産するようになり長距離砲としての才能が開花、ストライキのあった95年をのぞいて7年連続40本塁打以上を達成。8試合連続本塁打のメジャー記録も持つ。ゴールドグラブも10年連続受賞。まさに「野球をするために生まれてきた」という言葉は彼のためにあるといってもいい、万能選手である。

 どうです? まあ輝ける人生というのは彼の人生のようなものを言うのでしょう。顔もアヒルみたいで(!?)愛嬌があるし、人柄も明るく、また父親を非常に尊敬していて、トレードを志願してかつて父がプレイしたレッズにいったというのも好感が持てる。
 では僕が彼のどこに惚れたのかというと、それは彼のこの上なく美しい打撃フォームに、なのです。肩とほぼ平行に左ひじを上げ、バットを前方45度に寝かし、体全体で小刻みにリズムを取る。ボールがホームベースを通過する直前までほとんど力が入っておらず、まったく自然に立っているのだが、次の瞬間、バットは空を切り弾かれたボールは軽々とフェンスを越えてゆく・・・。

 決してソーサやマグワイヤのようにマッチョではない。構えも彼らのようにバットをまるで爪楊枝のようにブリブリ振り回すような、力のみなぎった構えでもない。そして、インパクトの瞬間ですら、はた目にはまったく力が入っていないように見えるのだ。スーッとかる~く振っているように見える。まったく無駄が無い、完璧な動き。それが実に美しい。確かにバッティングフォームは千差万別だ。かっこいいフォーム、力強いフォーム、面白いフォーム、いろいろある。しかし、僕が見た中で最も美しい打撃フォームは彼のものだ。
 でも僕が彼のバッティングに感動したのは見た目の美しさに対してだけではないのだ。その静と動の鮮やかな対比や力に頼らないスイングは、何やら剣道や柔道に通じるものを感じさせた。彼の打撃は剣豪の居合いの一撃と同じなのだ。僕はそこに、精神的なもの、日本的な美すら感じたのだ。美しさと強さの理想的な融合。彼のバッティングは素晴らしかった。

 しかし、天才にも試練のときがやってくる。90年代半ばまで、ハンク・アーロンの本塁打記録を塗り替えるのはグリフィーだろうというのが常識だった(ボンズよりもずっと本塁打も量産していた)のだが、シアトルを出てゆかりの地であるシンシナティに移籍してからというもの、度重なる怪我が彼を悩ませる。これは若い時に才能に頼りすぎて基礎的なトレーニングを怠った影響であるといわれている。そして昨年8月には腱断裂という大怪我をしたために手術に踏み切り、シーズン後半を棒に振った。だがいよいよ明日、長いリハビリを乗り越え、今期の復帰を賭けてオープン戦に出場するという。

 彼は今35歳。通産本塁打は501本。アレックス・ロドリゲスやアルバート・プホルスなどの若い大砲も出てきた。もうグリフィーは終わったという人もいる。だが僕はそうは思わない。まだまだやれるはずだ。僕は、あのまるで鶴が舞うような美しいバッティングフォームが復活することを心から願っている。

 グリフィーの復活に期待する方は・・・「ブログランキングをプチッとな!!
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by redhills | 2005-03-10 18:34 | 野球

●MVP (11月15日)

 メジャーリーグのMVPがいよいよ明日、あさってと発表される。
 17日に発表されるアメリカンリーグのMVPは、やはりイチローが選出されるだろうと思う人は多いと思う。ジョージシスラーの作った、257本という「アンタッチャブルな」年間最多安打記録を84年ぶりに塗り替えたイチロー。余りに古すぎて、アメリカ人ですらその記録の存在を忘れかけていた大記録を21世紀の現代に蘇らせ、鮮やかに抜き去った偉業は誰しもが認めるところだ。

 しかし僕は、イチローはMVPを取れないのではないかと、実は思っているのだ。

 1998年、全米は、マーク・マグワイアとサミー・ソーサのホームラン王争いを固唾を呑んで見守っていた。それまでの年間本塁打の世界記録は、1961年にニューヨークヤンキースのロジャー・マリスの記録した61本だったが、二人は驚異的ペースで本塁打を打ち続けた。全米を熱狂の渦に巻き込んだ史上まれにみる争いは結局、マグワイアが70本のホームランを放ち、記録を塗り替えるとともに勝者となった。一方のソーサはマリスの記録を超える66本のホームランを打ったものの、本塁打王のタイトルは取れなかった。だが、その年のMVPはソーサだった。

 メジャー記録、それもベースボール最大の華である本塁打記録を更新したマグワイアが、なぜMVPにふさわしくなかったのか。理由は明快だった。ソーサの所属するカブスはこの年、ナショナルリーグの地区優勝を果たし、プレーオフに進出した。片やマグワイアのいたカージナルスは3位に終わっている。チームの勝利にいかに貢献したか。それが『価値のある』プレーヤーの大きな要素なのである。僕はこの結果に唸ってしまった。

 確かに野球はチームスポーツであり、勝利こそが(そしてワールドチャンピオンこそが)究極の目標であることはわかる。しかし、マグワイアの成し遂げたことは歴史に残る偉業である。極端に言えば、優勝するチームは毎年メジャーで6チームあるが、彼の記録は世界でたった一人だけのものである。しかし、それでもMVPはソーサのものだった。

 今年、マリナーズは一度も優勝争いに加わることなくアメリカンリーグ西地区の最下位に終わった。果たしてイチローはMVPを取るのか。その答えはもうすぐ出る。
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by redhills | 2004-11-16 00:45 | 野球



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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