"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

カテゴリ:ニュース( 53 )

雷鳴(続)・敗因

 今回の与党惨敗の原因は、マスコミ各社が一致してあげているように、消えた年金、政治とカネ、閣僚の失言、の3つだ。でも私が考えるところ、この中で真犯人は1人だ。ではそれは誰か。

 ここ数十年にわたる問題である年金はともかく、あとの2つは、政治とカネ(佐田前行革相、松岡前農相、赤城農相)、失言(久間前防衛相)、ともに安倍総理の任命責任が絡む問題だ。政権成立後1年もたたないうちにこれだけの閣僚が問題を起こすという事態は、その政権運営能力や人心掌握が問われるべきものであり、総理は少なからず責めを負うべきものであった。だが私は、これらは選挙戦の流れを後押ししたに過ぎなかったと見る。勝敗を決した原因は年金問題、これに尽きる。

 年金記録の問題が民主党の長妻昭議員によって衆議院決算行政監視委員会で取り上げられたのは、実は昨年の12月6日のことであり、同議員がこの問題で安倍総理と対峙し激しい応酬を繰り広げたのは、今年の2月14日のことであった。年金記録の調査をあくまでも突っぱねる政府側の態度には明らかに、ことを大きくしたくないという思いと同時に、これは安倍政権以前から続く問題であり、事務所費や失言に比べれば政権への影響は大きくないと考えていた節がある。そしてそれが初期対応を遅らせてしまう。

 だがここから事態は急展開を見せる。社会保険庁の年金データの呆れた管理実態が明らかになり、噂でしかなかった「消えた年金」が現実であることが報じられるや、この問題は飛躍的に世間の注目度を増していく。こうなったときのマスコミは実に恐ろしい。おいしいネタに一度食いついたら、決して放さない。各社は競うように、年金と社会保険庁の実態を暴いていった。急激に高まる批判に政府与党は慌てて対策を練り、総理を先頭に大々的にアピールをしたが、時すでに遅し。「年金不信→政権不信」という激流はもう誰にも止められなくなっていた。

 これぞまさに「蟻の一穴(いっけつ)」。半年前に開いた小さな穴の向こうに広がっていた、年金記録のブラックホールに気付いてすぐにフタをしておけば、たとえそれがバンドエイドでしかなかったとしても、有権者はこれほどまでには怒らなかっただろう。だが、安倍総理やその取り巻きにはそれが見えなかった。そして対応を誤った。

 加えて、問題が年金だったというのが致命的だった。

 「9年ごとのジンクス」というのがある。これは、参院選では9年ごとに与党が大敗すると言うもので、9年前の1998年には橋本政権が、18年前の1989年には宇野政権が同様な惨敗を喫し、辞任へと追い込まれている。今回の安倍政権の命運については後述するとして、図らずも選挙結果はジンクス通りとなったわけだが、言いたいことはそこではない。橋本政権を葬ったのも、宇野政権を倒したのも税問題だったということなのだ。

 宇野政権は消費税施行(3%)で、橋本政権は消費税率アップ(3→5%)による景気失速で、惨敗した。昔から税制は最大の政治マターと言われ、権力者が避けたがるのはこのためだが、これは少し考えれば至極当然な話だ。

 国民は国の予算がどれだけ増えようが、借金がどれだけ増えようが、実はそれほど気にはしない。実感がないからだ。でも彼らは増税には敏感だ。それはイヤでも実感することになるからだ。だからこそ、自民党は赤字国債を何百兆円発行しても増税は避けたいのだ。もちろん、赤字のツケはいつか国民に巡ってくる。しかし、頭ではわかっていても、それを思い知るのは、実際に手取りが減ったりお釣りが減ったりしたときなのだ。

 もうおわかりだろう。年金とは、選挙においては税と同じ効果(破壊力)を持っているのだ。出(税)と入り(年金)との違いはあれ、人間誰しも自分のお金のことにはうるさいに決まっている。それが、信用して預けていたお金がいつのまにか消えてなくなっていたなんてことになったらどうだろう?これが銀行だったらたちまち取り付け騒ぎで破産だろう。そんなとんでもないことを国がやっていたというのだから、有権者が怒るのも当然なわけだ。しかも預けていたのはただのお金じゃない。なけなしの稼ぎの中から、老後の備えにと積み上げてきた大切なお金なのだ。

 若干補足すれば、年金問題は数年前からくすぶっていた問題だったというのもある。今までも何度となく争点とされながらも、選挙の行方を左右することにはならなかったのが今回は、その溜まりに溜まったガスに引火して大爆発を起こしたともいえる訳なのだが、ではなぜ今回爆発したのか。実はこれにも理由があるのだ。けっして結果論ではなく、今まではガスに引火する可能性が低かったのが、今回はそれが急激に高まったと断言できるのだ。

 それは、同じ年金問題でも今までと今回とでは、まるでコインの表と裏のように全く正反対の性格を持っていたからだ。

 どういうことかというと、従来の年金問題は年金負担の増加の問題、つまり家計の支出の問題であり、主に若年世代に影響を及ぼす問題であったのに対し、今回は年金の給付の問題、つまり、高齢世代の家計収入を直撃するものであったということだ。

 年金は世代格差が問題であるがゆえに、今までは世代が高くなればなるほど問題意識は低くならざるを得なかった。それも当然の話で、もうもらっている(もしくはもうすぐもらえる)人たちから見れば、年金負担が上がるといっても正直、他人事でしかないのだ。だから、負担を強いられる若年層の政治意識の低さも相俟って、従来の年金問題は大きく選挙を動かすことは無かったわけだ。
 それが今回はもらえるはずの年金がもらえないとなったから、安心していた人たちがものすごく深刻な危機感と憤りを感じた。しかも高齢者世代は本来、年金の恩恵を受ける人たちであり、支持をコロコロ変えたりしない保守層の大切(忠実)な票田だったのだ。その人たちが雪崩をうって民主党に投票した。これが地方で自民が票を失った原因だ。おそらく安倍政権は、この「消えた年金問題」の持つ、従来の年金問題との本質的な違いにも気付かなかったと思われる。

 年金は、日本では有権者のほぼ100%が利害関係を持つ幅広さという意味でも、お金の問題であり生活に直結するという奥深さの点でも、税と並んで最もデリケートに扱うべき問題であったのだ。それを安倍政権は軽視した。自分の責任ではないと判断し、問題の本質を見誤り、対応が後手に回った。これこそが今回の惨敗の本質だと、私は思う。

 ある意味今回の参院選は、「日本の歴史上初めて」、有権者が年金制度の持つリスクを「実感した」その頂点で行われた選挙であった。与党の負けは必定であったというのは、言い過ぎだろうか。

 続いて、では有権者は果たして安倍政権を否定したのか、について考えてみたい。(つづく)
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by redhills | 2007-08-01 08:56 | ニュース

雷鳴

轟く雷鳴は、天の怒りの声だったか。

そんな思いのよぎる結果だった。

 安倍政権になって初めての国政選挙(補選はのぞく)となった第21回参議院選挙は、与党の歴史的惨敗に終わった。

 自民党は改選議席から27議席減の37議席、公明党は同3議席減の9議席に終わり、そのマイナス分をほぼそっくり奪った民主党が28議席増の60議席を獲得する大躍進をとげた。この結果、民主党が非改選議席とあわせて109議席を占め、自民党に替わって院内最大勢力となることが確定した。またこれにより、自公合わせた与党勢力は105議席にとどまり、過半数(122)を割ることとなった。

 まずは数字の分析をしてみよう。

 今回、これだけはっきりと勝敗がついたのは、自民党の牙城とされていた、全国29の1人区の多くで与党候補が落選したことが最大の原因だ。小沢党首の地元である岩手はともかく、片山参院幹事長が敗れた岡山や、18年ぶりに自民現職がすべて落選した四国など、自民6勝に対して民主は17勝と、トリプルスコアに近い地すべり的圧勝となった。

 1人区の怖いところは、負けた方には何も残らないゼロサムゲームである、ということだ。つまり、奪われたらそれは2倍になって跳ね返ってくるのだ。これは6年前の結果と比べてみるとハッキリと分かる。6年前、つまり今回の改選議員が前回戦った参院選の1人区の勝敗は、自民25勝、民主2勝だったのだ。つまり、この両方の差し引きだけで、なんと40議席も逆転したことになってしまうのだ。

 逆風の影響を受けたのは自民党だけではなかった。創価学会の堅固な組織票と徹底した選挙運動で、常に目標どおりの議席を確保してきた公明党がまさかの敗北を喫したのだ。
 地方の1人区や2人区では単独で議席を確保できない公明党の戦略ははっきりしている。それは、地方の票を自民党に与えることで恩を売り、代わりに都市部で複数擁立を見送ってもらって確実に議席を押さえるというものだ。しかし今回はそれが目論みどおりに行かなかった。東京はなんとか滑り込んだものの、神奈川、愛知、埼玉など、自民と共存してきた3人区でことごとく民主に2議席を奪われてしまったのだ。

 比例代表では以前から民主党は得票数で自民党を上回っていたが、今回はさらに差が広がり、票数の差は700万票、議席数で20対14となった。

 まとめれば、自民は地方の1人区で負け、公明は都市部の3人区で負けた一方で、地方、都市で万遍なく民主が勝った、ということになる。また、従来自民系といわれる無所属等についても、今回は秋田、富山、愛媛などは明らかな民主系であり、島根は国民新党で沖縄は地元政党の出身である。自民の候補者一本化の失敗による敗北ではないのである。なので、それらの無所属等は野党勢力であり、与党の敗北は一層色濃くなるのである。

 では次に、いったいこのワンサイドゲームを生んだ原因は何だったのか、考えてみよう。(つづく)
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by redhills | 2007-07-31 17:55 | ニュース

日経・7月24日 上から 分割? タダ

今日の記事は

・立地条件別に数値目標~公立病院改革 (5面)
・グッドウィル介護事業、分割売却の公算大 (13面)
・ホームヘルパー養成講座、受講無料に~ヒューマン (15面)

の3本です。

 先日お伝えした、公立病院改革に関する動向です。公立病院の経営健全化に向けた指針を議論する有識者懇談会「公立病院改革懇談会」の初会合が開かれ、病院の人件費や利用状況に関する数値基準などを検討し、秋をメドに指針案をまとめる方針を確認しました。これを受けて総務省が年内に指針をまとめ、来年度に各自治体に、公立病院の経営改革計画の策定を義務付けます。税(交付金)をエサにした従来型の「上からの」改革です。

 一向に進展しないグッドウィルグループの介護事業の売却ですが、話題となっている一括売却は難しそうです。同社はまだ一括譲渡は断念していないと言っていますが、厚労省を始めとして、政府や与党、自治体の多くが分割が望ましいという立場に立っており、すでに同社は自分で方針を決めることが出来なくなっている模様です。売却先選定の主導権は依然不明確なままです。

 人材派遣のヒューマンホールディングスは、修了後最低1年間、訪問介護や介護施設などで同社の派遣スタッフとして働くことを条件に、ホームヘルパー養成講座の受講料(9万5千円)を無料にします。景気拡大でより労働条件の良い業種に人が流れ、人手不足が深刻になっているためです。
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by redhills | 2007-07-31 16:37 | ニュース

日経・7月23日 人材難 開発

今日の記事は

・介護職員「40万人増員必要」~厚労省推計 (3面)
・ペットも高齢化、犬用サプリ開発~金子いづるさん (19面)

の2本です。

 厚労省は、団塊世代の高齢化に伴う介護ニーズを賄うには、14年までに介護職員などを40~60万人増やす必要があるとの推計をまとめました。現状に比べ4~6割増となる計算ですが、これを実現するのは容易ではありません。それは介護業界の厳しい労働状況に起因します。
 介護職員は離職率が04年度で20.2%と、全産業平均(17.5%)に比べて高く、また給与水準も、福祉施設で働く男性介護員で平均年収が約315万円、女性ホームヘルパーで262万円と、全労働者平均(約452万円)を大きく下回っており、現時点で人材難が深刻です。給与水準を引き上げるには財源が必要で政府も苦慮しており、それに加えて04年度以降の景気回復による雇用情勢の好転が助長しています。外国人労働者の受け入れ拡大も含む抜本策が必要との指摘も出ています。

 サプリメントで実績のあるファンケルが犬用サプリ「グッドペットシリーズ」を発売したのは03年ですが、発案者の金子さんが「犬の生活も人間と同じ。生活習慣病やストレス対策にサプリが必要」と思い立ったのは、その5年前でした。犬好き5人で開発チームを組んだものの、犬に有効な成分は何かから始まって、その消化吸収や代謝の仕組みの研究から原材料選び、そしてチーム内の飼い犬による試食まで、犬ならではの苦労もあったといいます。ネット通販で注目されていますが、要望の多い猫用については、犬以上に好き嫌いが激しいこともあるのでもう少し時間がかかりそうです。
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by redhills | 2007-07-30 19:02 | ニュース

日経・7月22日 生存率

今日の記事は

・「がん診療連携拠点病院」調査3~院内がん登録編 (11面)

の1本です。

 院内がん登録とは、医療機関ががん患者の診断、治療、予後(患者の生死)などの情報を集めて整理すること。登録はがん1つにつき1件で、がん診療連携拠点病院は、約80ある「標準項目」に沿って登録することが推奨されています。これは、報告義務のある死亡診断書によって信頼性の高いがんによる死亡者数に比べ、がんの患者数や生存率は推計値しかなく、がん登録の制度が上がるとこれらの数値が正確になり、がん対策の基礎資料として利用できるからです。

 以上のように重要な意味を持つ院内がん登録は、拠点病院指定の際の要件の1つとなっていますが、調査に回答した213施設のうち、96.7%にあたる206施設が「実施」と回答し、うち79.1%が専任スタッフを置いていました。導入体制はほぼ整ったと思われますが、登録を始めた時期を見ると、06年が30.6%、07年が15.5%と、指定に合わせて始めたケースが半数近くを占めており、データの本格的な活用はまだまだこれからというのが実情です。
 また、情報公開に関しては、56.8%がデータ自体を非公開としているなど低調でした。最も公開が進んでいた「部位別患者数」で4割弱、「生存率」を公開している病院は23.3%にとどまっています。

 「院内がん登録を充実させるために必要なもの」を聞いたところ、83.1%と最も多かったのが「予後調査を円滑に進める体制」でした。つまり、がん患者の性の確認のために、自治体などに住民票などの照会をする必要が生じるわけですが、個人情報保護法などの影響からなかなか円滑に情報収集が進まない実態があるのです。制度の運用にはまだまだ改善点があるように思われます。
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by redhills | 2007-07-30 19:00 | ニュース

日経・7月21日 独立 新基準 参入

今日の記事は

・監査役に監査法人選任権~法務省が改正案~来年提出めざす (1面)
・入院時の診療報酬、看護の必要低ければ下げ~厚労省、来年度改定で (1面)
・ヤマダ電機、電子カルテ販売に参入~医療VBと提携、開業医向け (12面)

の3本です。

 法務省は、企業の不正会計を防止するための会社法改正案を国会に提出する方針を固めました。監査法人を選任したり報酬額を決定する権限を、取締役などの経営陣から監査役に移すことが柱です。企業と監査法人との馴れ合い体質が粉飾事件を招いたとの反省から、企業監査の独立性を強化する必要があるとの判断です。08年度春にも法制審議会に諮り、早ければ同年の臨時国会に改正案を提出する方針です。

 厚労省は、患者が入院した場合に病院に支払う診療報酬を見直す方針です。現行制度の入院基本料(一般病棟)は看護師数を基準に設定されており、看護師1人あたりの患者数が少ないほうが診療報酬がアップする仕組みとなっています。そのため、患者の病状に関わらず看護師を増やし、高い診療報酬を得ようとする病院が急増し、医療費の増加や、看護師不足につながっているという批判がありました。
 今回の改訂で、患者の看護の必要度を数値化した「要看護度」という基準を新たに導入することにしており、中央社会保険医療協議会(中医協)で審議した上で来年4月から実施する考えです。手術費や診療費を含む入院費は、年間の医療費32兆円強(04年)の37%を締めます。医療費抑制には、入院費の適正化が必要との判断に加え、看護師の偏在の是正にもつなげたい意向です。

 医療のIT化に家電界の最大手が参入です。家電量販店最大手のヤマダ電機が医療関連ベンチャーのオーダーメイド創薬(港区)に1億円を出資して提携し、電子カルテ販売に乗り出します。オ社の開発した電子カルテソフトと、日本医師会の診療報酬明細書電子化ソフト「オルカ」を組み合わせ、子会社のKOUZIRO(山口県柳井市)が作るパソコンに搭載します。基本価格は340万円。販売ルートとして、現在医療機関向けにテレビやパソコンを販売している法人営業部門を活用し、ベッドを持たない診療所へ個別営業する他、主要24店舗でも展示販売する予定です。初年度は30億円の売上を目指します。
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by redhills | 2007-07-30 18:57 | ニュース

日経・7月20日 仮面 奔流

今日の記事は

・社説~「モノ言う株主」の仮面外された村上被告 (2面)
・投資行動に厳格さ迫る~村上前代表に実刑判決 (3面)

の2本です。

 先週のスティール・パートナーズを「濫用的買収者」と認定した東京高裁決定に続いて、投資ファンドに対する司法の厳しい裁定が下りました。ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑により証券取引法違反に問われていた村上ファンドの前代表、村上世彰被告に実刑判決が言い渡されました。

 ポイントは2点で、1つはインサイダーの定義、もう1つはファンドのあり方でした。
 インサイダーの定義について判決は、99年6月の最高裁判決の趣旨を踏まえたうえで更に踏み込み、インサイダー情報となる「重要事実」の認定基準を引き下げ、企業が内部で決定した計画や方針に「実現可能性が全くない場合は除かれるが、(可能性が)あれば足り、その高低は問題とならない」と判示、その範囲を拡大しました。

 ファンドのあり方については、「ファンドマネジャーとアクティビスト(モノ言う株主)の活動を1人で行っていた運営体制がインサイダー取引を招いた」と断罪、村上ファンドに「組織上の構造的欠陥」があり、ニッポン放送株のインサイダー取引が「その欠陥に由来する必然的なもの」であるとしました。
 表向きは株主全体の利益のために活動をしているように見せかけながら、裏ではこっそりと株を買い増し、一般投資家が乗ってきた頃合を見計らって高値で売り抜けるという、その二面性を厳しく罰したのです。大株主という特権の悪用が村上被告を実刑判決に追い込んだ核心だと記事は指摘しています。この点については、企業年金などの機関投資家から「厳しい判決だ」との声が出ています。現場には、判決は理想論に過ぎる、と写っているようです。

 世界中で猛威を振るう「ファンド資本主義」の奔流が日本にも押し寄せたことから相次いでいるM&A絡みの訴訟は、今後も我が国の司法において、一定の判例が積み上がるまでは続くと思われます。今は創成期であるというわけですが、総じて司法の判断は買収側に厳しい様に思われます。
 記事は「浮かび上がるのは『大株主は権利を持つ分、責任もある』という原則だ。世界的な潮流である『ファンド資本主義』を日本が活用できるかどうかの試練に直面している」と書いています。確かに、ファンドの経営改革を強いるパワーを活かさない手は無いと思われます。しかしまだ日本にはそれを受け入れる準備が十分整ってはいない、というのが正直なところのような気がします。

 ただ今回の事件に関しては、村上被告自らが堀江貴文氏らにニッポン放送株の大量取得を持ちかけたという点で「被告人は自らインサイダー状況を作り出した。(内部)情報の被伝達者というよりも当事者性が強く、悪質」(判決)であり、それゆえ社説は、より重い証取法157条「不正の手段、計画、技巧」を禁じた包括規定を適用しても良かったのではないか、と述べています。
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by redhills | 2007-07-27 09:31 | ニュース

日経・7月19日 62万円 1000円 2人

今日の記事は

・医療IT化費用、1病床年間62万円~中医協分科会調べ (5面)
・どう使うPFI・先進地欧州に学ぶ(下)~透明性と競争性明確に (35面)
・医師数、7カ国で日本最低~OECD統計~1000人当たり2人 (38面)

の3本です。

 中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会が、医療のIT化のコストに関するアンケート調査をまとめました。それによると、電子カルテや業務支援システムを導入した場合、1年間にかかる費用は平均で1病床あたり62万円程度に上り、医業収入の3.9%に相当するとのことです。
IT化の効果については、診療報酬請求事務が効率化したと答えた病院が62%に達した一方で、残業が減って人件費が減ったかどうかについては、「そう思わない」(28%)が「そう思う」(22%)を上回りました。調査は全国2000の病院を無作為抽出して実施し、約1割の回答を得ました。

 PFI先進国であるイギリスではありますが、問題が無いわけではありません。1863年開通という世界最古の歴史を持つロンドンの地下鉄は、PFI導入から5年が経つというのにサービスは一向に改善せず、それどころか、初乗り運賃はこの2年で倍の4ポンド(1000円!)へと跳ね上がりました。原因は労働組合の反発で、サービス向上にはあと10年はかかると言われています。また、事業の公示から契約まで平均34ヶ月もかかるという準備期間の長さも問題となっています。事業の精査に時間がかかるためですが、入札費用だけで総事業費の1割強になるというのは、本末転倒のような気もします。

 経済協力開発機構(OECD)が公表した医療に関する統計「ヘルスデータ」2007年版によると、人口1000人当たりの医師数は日本は2人と、主要7カ国で最低でした。調査は05年(日本は04年)のデータを基に加盟30カ国を比較したものですが、日本の数値は全体でも下から4番目でした。
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by redhills | 2007-07-26 15:28 | ニュース

日経・7月18日 争奪 圧倒的

今日の記事は

・食料争奪・激変する畜産地図(上)~食肉調達、新興国が台頭 (13面)
・幻冬舎社長・見城徹氏~努力の異端児、数字で補強 (15面)

の2本です。

 旧ソ連の崩壊によって起こった東西冷戦の終焉は当初、政治問題でした。米ソのパワーバランスが失われることで、両国が軍事力で押さえ込んでいたリージョナル・パワーが活動を始めた結果、中東で湾岸戦争が起き、旧ユーゴで民族紛争が起きました。これらの地域紛争を抑え込むべく、多国籍軍が編成されたりPKOが各地で行われるなど、国連と、世界唯一の超大国となったアメリカの力が問われました。

 ところがやがて90年代も後半になると、冷戦終結がもたらしたのは世界経済の膨張であることが分かってきました。全世界を資本主義の一色で塗りつぶす「グローバリズム」が、その姿を現したのです。人件費の安い東欧やアジアが世界分業体制に組み込まれて大企業の生産基地となり、BRICsに代表される新興国が高度成長を始めました。工業化により成長を続ける国が急増した結果、世界中で、工業生産やインフラ整備に欠かせない1次資源である石油や鉱物の需給が逼迫し、00年頃から資源価格が急騰しました。そしてそれは全世界規模でのマネーの流動化と過剰化を生み、それがさらに資源価格や株式市場を高騰させるという状況を生んでいます。

 そしていま、世界争奪戦は食料に及んできました。新興国の食事が肉食化し、そのなかの一部富裕層などが高級食材を求め始めたのです。食料需給の逼迫の結果、欧米人が従来あまり目を向けなかった魚介類の価格までが高騰してきています。先日のヨーロッパ産ウナギの稚魚に関する措置にもあるように、今や海産物、農産物、そして畜産物などすべての食料は、家畜の飼料となるトウモロコシから、高級食肉である和牛に至るまで、グローバリズムにおける争奪戦(と投機)の対象なのです。そしてごく近い将来、これに「水」が加わることでしょう。

 世界人口の半分が豊かになろうと走り出した結果、モノの値段は上がりっぱなしです。これは日本の農林水産業復活のチャンスでもありますが、消費者の立場からは注意すべきトレンドであると思われます。10年前に「地球白書」でレスターブラウンが予言したとおりに、世界の食糧事情はなってきています。

 今日本の経営者で、エルピーダの坂本幸雄氏と並んで注目を浴びている人かもしれません。古い慣習と老舗が支配し、ネット時代にも乗り遅れた完全な縮小マーケットである出版界でヒットを連発し、あえて総合出版社への道を驀進する幻冬舎。その設立者であり心臓である見城徹氏は、掟破りの話題づくりや売り出し方ばかりが話題となりますが、実はPOSデータを毎朝欠かさず分析するという、きめ細かな営業スタイルを持っています。それに加えて、今も300人以上の作家を担当するなど、まさに24時間すべてを仕事に捧げているという言葉にウソはないと思わせる「圧倒的な努力(見城氏談)」によって、大手の10分の1のマンパワーで半分の利益を挙げています。
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by redhills | 2007-07-25 12:44 | ニュース

日経・7月17日 税金 スタンス

今日の記事は

・公立病院再編、交付税で支援~「基幹病院」に機能集約~総務省検討 (1面)
・消費者保護へ行政動く~省庁連携が課題 (11面)

の2本です。

 昨日、イギリスのPFIについての記事をご紹介しましたが、政府はどうやら、公立病院の再編を税金で賄うつもりのようです。
 現在全国の病院総数の約1割(982病院)は公立病院ですが、その約3分の2にあたる626病院は赤字になっており、地方自治体の財政に負担となっています。総務省は、これは各自治体がバラバラに中規模の病院を運営し、それぞれが病床数に応じた医師を配置していることから、地域に適正な医師配置がなされていないことによると見ています。
 そこで、今般総務省で病院配置のガイドラインを作成し、高度医療を手掛け地域医療の中核となる「基幹病院」を指定して医師を重点的に配置し、周辺の病院は規模を縮小して医師が少なくてすむ診療所などに転換することで、効率的な運営を目指すことにしたものです。
 総務省では、再編を進めた自治体には、エサ(失礼!)として地方交付税で支援することを検討しています。月内に公認会計士ら有識者による「公立病院改革懇談会」を立ち上げて具体策をつめたうえで年内にもガイドラインを作成し、来年度からの導入を目指しています。

 政府がモノやサービスの契約・取引について、相次いで消費者保護策を打ち出しています。経産省は先月、英会話教室のNOVAが特定商取引法に違反したとして一部業務停止という異例の行政処分に踏み切りましたが、この裏には国民生活センターの存在がありました。
 70年創立の内閣府の独立行政法人であり、全国の消費者情報を蓄積したデータベースを持つ同センターに寄せられた英会話教室に関する相談・苦情件数は、06年度までの5年間で1万8千件でしたが、そのうちNOVAだけで5700件を占めていました。昨年夏、同センターはNOVA利用者の苦情記録を経産省に送りました。経産省はその情報を元に被害者に接触し、NOVAの契約慣行を悪質と断定するのに十分な証拠を得ることが出来たのです。
 ですが、もともと同センターは経産省を「業者寄り」とみなし、両者は「犬猿の仲」であったのです。それがどうしてこのような共同作業が可能となったのか。それは経産省のスタンスが業者保護から消費者保護へと移りつつあるからです。同省の特定商取引法に基づく行政処分はこの6年に20倍以上に増加しています。事前規制から事後規制へと転換を図っているのです。それを感じたからこそ今回初めて、同センターは経産省と連携したというわけです。
 ただ、経産省の取り組みにはまだまだ力不足の面もあります。違法行為の調査などにあたる担当者は本省でおよそ40人に過ぎず、また、アメリカでは連邦取引委員会(FTC)に消費者行政がほぼ一元化されているのに比べ、日本では経産省のほか、内閣府、公正取引委員会などにまたがっているために、省庁連携の難しさがあります。ラルフ・ネーダー氏に代表されるように、消費者運動についてもアメリカは先進国ですが、日本の消費者行政はやっと動き出した感があります。
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by redhills | 2007-07-24 16:26 | ニュース



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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