"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

カテゴリ:映画( 35 )

●「デビルマン」体験記(2)-シレーヌ・ジンメン登場-

 ―――やはりどれだけ笑えるかという気持ちで臨むべきなのか。デビルマン誕生シーンの衝撃の中、ぼんやりと考えていた。

 怒りや絶望に打ちのめされている私の心のどこかで、抑えがたいもう一人の自分が息つく間もなく展開されるトンデモセリフ&演出&演技に嬉々としてツッコミを入れていることは隠せないことであった。怒りと笑いが同時に存在しせめぎあっていた。まるで私の中の天使と悪魔が左右の耳元で同時に囁いているかのようであり、私は今にも2つに張り裂けてしまいそうであった。今にして思えば、これこそが映画「デビルマン」の意図するところだったのではないかとすら思える。見るものを、悲しみと喜び、怒りと笑いとでアンビバレントな心理状態へと追い込む。そしてそれこそが神と悪魔というデビルマンのテーマを観る者に体験させるためにうってつけだと、ひょっとすると那須監督&カミサンは考えたのか・・・。いやいや、そんなことはあるまい。まさかそんな。あり得ない。

 しかし、しかしだ。スクリーンを見ながら必死に私は考えた。このままでは私は映画公開日に出た犠牲者たちと同じ運命をたどってしまう。私はこの映画について多くのことを知った上であえて危険を承知の上で観に来たのではなかったか。であるならば、やはり私はこの映画から怒りや笑いをきっちりといただくべきじゃないのか。

 もちろん、こういったことは少しずつ頭の中でまとまっていったことであり、スパッと切り替えられたわけではない。しかし大体こんな感じで、崩れかかった私は持ち直した。

 映画へと戻ろう。再び牧村家のおままごと&学園ドラマ(略)。そして、いよいよ来ました、シレーヌ登場です! 富永愛、どんなシレーヌを見せてくれるのかな? と思ったら、何かショボイ!! レオタードに羽毛で胸とか隠して背中に羽根つけた、みたいな。おまけにカツラの下から黒い髪が出ちゃってます。またまた学芸会!? 演技はもう期待してません。なんせ撮影日数たったの2日ですから! やがて両者CGとなりバトル。このCG、なかなかなのだが(特にデビルマンは)、声が同じなんでやっぱりダメダメ。セリフ棒読みで、うおおおっ、とか叫んでもCGと全くミスマッチ。プロの声優使えよ!! って言ってもそんなことわかってりゃこんな映画作らんわな、そもそも。

 不動と飛鳥が店で話している。ここでまた原作ファンの神経を逆なでする会話が。飛鳥によると、デーモンは弱い存在なので相手と合体するのだそうだ。おいおい、違うだろ。デーモンは究極の弱肉強食の世界に生きる凶暴そのものの生命体で、その結果、相手の能力を奪い取るために合体する超能力を身につけたんだろ! 正反対じゃんか!
 そして不動もこんなたわごとを。おれ、美樹を守るためにデビルマンになったんだ。エエエエェェェェ!! ウソだろ!! お前、デビルマンになる気なんてぜんぜんなかったじゃん! いきなり金色の精子に食いつかれてとたんにデビルマンになったじゃん! しかも自分がデビルマンだってわかってなかったじゃん!!(「おれ、デーモンになっちゃったよ」参照)。それに美樹はまだ襲われてすらいないし。この大ウソツキめ、地獄に落ちろーーっ!!

 ショッピングモール。街灯が突然テレビになる。あれ、ニュース読んでるのボブ・サップだ。CNN風番組で英語でニュース読んでる。字幕も無いのにフンフンと聞き入っている買い物客たち。そこへおかしなおっさん登場。よく見るとパンクラスの船木だ。「食いてぇ、食いてぇ」とかうわ言のように言うと、ホンとに食っちゃう。ただし食ったのは生きたカメ。こりゃ驚くわな、みんな。おいしいですか、船木さん。

 もちろん、予想はつくわけです。デーモンの合体の話からカメを食っちゃうおっさん。そう、ジンメン登場ですね。シレーヌの次はジンメン。わかりやすいです。不動、仲良しになった友達の叫び声を聞いて海に飛び込んで探す。しかし見つからない。森の中でジンメンと対決します。あっさりやられるジンメンですが、往生際の悪いことにまたまた我々を傷つける一言が!「おまえ、デーモンのくせにデーモンを殺しやがって、デーモン同士は殺しあわねぇはずじゃねぇかぁぁ」・・・あのね、デーモンは殺しあって進化してきたの! 暴力と殺戮の権化なの! だから人類の記憶の中に「悪魔」としてインプットされたの!! 平和主義のデーモンなんて、ク○ープを入れないコーヒーみたいだ(古い)!!

 再び学園ドラマ。こんどはミーコの登場だ(詳細は略)。続いてススム君も登場。ミーコ&ススムでエピソードを作るらしい。これはこれでいいと思うが実はこれが予想外の大問題を引き起こす。ミーコ&ススムの演技が上手いのだ(正確にはマトモなのだ)。だから逆に浮いてしまってすんごく妙。ちょいと君たち、こんなところで何やってんの?って感じになっちゃうのだ。

 再びボブ・サップニュース。相変わらず英語でまくし立てるボブ。どうもこの映画では彼が語り部の役目のようだ。っていうか、ボブのしゃべりだけでドンドン話が進んでいく。アメリカにデーモンが襲来したらしい。と、不動と飛鳥の住む町でもデーモンが暴れだす。とっとと片付けるデビルマン。再びボブニュース。日本ではデーモン狩りが始まったらしい。ふふ、そーなんだ。何か唐突だなぁ。デーモンなんて名乗ってもいないのにね。とにかく、デーモン特捜隊のお話に行くらしい。こりゃ原作読んでない人は余りの話の無茶苦茶さに完全に置いてけぼりをくらうだろうな。ま、いいけどね。もうそんなことどうでもいいや、はは。
(続く)
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by redhills | 2005-05-23 13:14 | 映画

●またダルデンヌ兄弟か!

 ちょっとここで速報が入ったもので。

 カンヌのパルムドールが発表されました。ベルギーのダルデンヌ兄弟の「ザ・チャイルド」だそうです。

 ダルデンヌ兄弟といえば、1999年の「ロゼッタ」でパルムドール&主演女優賞。2002年の「息子のまなざし」で主演男優賞。そして今年2005年のパルムドールと、立て続けにカンヌの主要賞をかっさらってます。何でそこまで受けるのかな。「息子のまなざし」は僕の去年見たベストフィルム2本のうちの1本なので、彼らの作る映画の素晴らしさはもちろん十分分かっているつもりだけれども(その紹介記事はこちら)、余りに偏りすぎてないかなぁ、なんて思ってしまう。

 でも早く見てみたいな、という思いは抑えがたいんですけどね。
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by redhills | 2005-05-22 22:21 | 映画

●「デビルマン」体験記(1)-驚愕の誕生シーン-

 いよいよ本編が始まった。

 小さな子が二人で絵本を読んでいる。おそらく不動と飛鳥の幼年時であろう。二人は幼馴染だということを伝えるためのシーンらしい。ところが、ここですでに妙なお面が登場。あれ? おい、それって高校生になった時に飛鳥の親父さんが発掘して持ち帰ってきたんじゃねーの? 不吉なスタート。

 高校生の不動と飛鳥が登場。グラウンドを走っている。同じ高校らしい。それにしても二人の余りのモヤシっ子ぶりに目を見張る。ガリガリ君だ。マラソン選手ならわかるが、走りっぷりがヘタレでまったくそう見えない。不動などちょー不自然な動きでコケてトラックにうずくまる。おまえら、ほんとにこの映画のために1年間体鍛えたんか?うそだろ?早くも怒りにも似た感情が。

 ヒロイン美樹登場。不動とラブラブらしい。不動のださいニヤケっぷりが癪に障る。飛鳥は無口でクールらしく、やたらにガン飛ばしている。

 牧村家のシーン。不動の声で下手なナレーションが入り、自分の境遇を全て説明してくれる。はなから映像で説明するとか言う事は考えていないようだ。ここでクソシーン一発。美樹が朝からケーキを作っている。不動がそれをいぶかると、牧村父が君のために作っているんだという。すると美樹がせっかくサプライズパーティーやろうと思ってたのにパパなんで言っちゃうのー、とか言ってる。お前馬鹿か? 家の台所でなぜかコックのコスプレ(あの細長い帽子までかぶって!)までしてケーキ作ってたら誰だって何だと思うだろ? バレバレじゃんか! これからこんなおままごとを見せられるのかと思うとうんざりする。

 おままごとが終わると安っぽい学園ドラマに突入。不動と飛鳥、美樹がそれぞれ学園内のいじめっ子らとなんかぐちゃぐちゃやる。馬鹿らしいので省略。

 不動を車で連れ出す飛鳥。ここは原作どおり。と、なんかヘンなヘルメットを被る不動。どうもこれが、あの仮面の代わりらしい。ダサすぎ。神秘性やマガマガしさがちっとも出ない。飛鳥の父が映像で出てきて語りだすのだが、そのストーリーがまた噴飯モノ。北極だか南極だかでデーモンを発見しちゃって研究所の人たちが全員乗っ取られてしまいましたとさ。おいおい、「遊星からの物体X」のパクリかよ! それにそんな大事件、世界中で大騒ぎだろーが! だってさ、その研究所ってスタッフが「何千人」もいたんだぜ。それが全部デーモンになっちゃったって、一人くらいSOS出さなかったのかよ! それにデーモンの存在がバレバレジャン! 原作のデーモンたちはもっと賢いぞ。ひっそりと人間社会に入っていってまずその特徴を掴もうとするのだ。随分間抜けなデーモンだな、ええ、飛鳥さんよ!

 そうこうするうちに飛鳥の家に到着。何と奥の部屋一杯に巨大化したヘドロみたいな怪物がいる。飛鳥があくまでクールに「デーモンに合体された父だ」と紹介する。不動、意味不明の叫びを上げる。どうも驚いたらしい。不思議な演技だ。ハイッ、ここで飛鳥君に質問。このおっきなお父さん、どうしてお家まで帰ってきたの? しかも誰にも見つからずに。とーっても気になるんだけどね。

 でもそんな私の質問などに答えてくれるはずもない飛鳥君、ここでさらに驚くべき告白!俺もデーモンに合体されたんだ!

 え!? 飛鳥合体されたの? それじゃ原作の設定がぜーんぶブチ壊しじゃん! 混乱する私。と、間髪を置かずにここでデーモン合体シーンが! おっきなお父さんから黄金に輝く精子が飛び出してきて不動のお腹にぶっささる! これがデーモン? なんじゃ? なんか「エイリアン」のパクリぽいが。ぜんっぜん面白くない。怖くもなんとも無い。なんともあっさりと合体しちゃう。おまけにとたんに不動がデビルマンに変身。あらら簡単だこと!! ってこんなんでいーわけないだろ!

 おい! いいかげんにしろ! サバトはどうした? あの、緊迫したデーモンとの合体にいたるプロセスと二人の葛藤や恐怖や苦悩はどうした? そして、デーモンとの最初のサバイバルはどうした? こんな簡単にデビルマンになっていいのか? 不動がデビルマンになる必然性も決意もな~んもないじゃんか! 何か知らん間にデビルマンになってましたって・・・おい那須とそのカミサン(監督&脚本)! お前ら原作なめとんのか? これが「実録風」だと? 念願の映画化だと? 原作の持つテーマを万分の1も理解してねーじゃんか!

 デビルマンになった不動、何と飛鳥のおとうさまを速攻でぶっ殺してしまう。おいおい、いいのかよ? 飛鳥が見てる前で?
 と、驚くのはまだ早い。いつの間にかサタンに変身している飛鳥。ありゃ、いきなり正体晒して・・・。あぁ、もうめちゃくちゃだ・・・。怒りを通り越して絶望感が襲う中、那須&カミサンはなおも私を責めたてる! 映画史上に残るとんでもない会話が不動と飛鳥の間で交わされるのだ!

 不動「(変身した飛鳥を見て)お前、きれいだな」 「あはー、おれデーモンになっちゃったよ」
 飛鳥「違うよ、デビルマンだよ」 「ハッピーバースデー、デビルマン」

 おれ、デーモンになっちゃったよ?? ハッピーバースデー、デビルマン??

 すみません。理解できない俺の方がおかしいんでしょうか。忘年会で変装したんじゃないんだけど。人間でなくなったことの悲しみや怒りや嘆きがカケラもないんですけど。こんな人間いないだろ? どういう人物造形してんの? 演技もそうだがホンも学芸会レベルだぜ!

 今考えても本当に恐ろしい。これが、これが、映画「デビルマン」の、デビルマン誕生シーンだった。ちなみに映画が始まって15分くらい。今思えばもうこの時点で、すでに私は那須&カミサンの精神攻撃の前に崩壊してしまっていたのかも知れなかった。
(続く)
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by redhills | 2005-05-20 17:25 | 映画

●「デビルマン」体験記(0)-幕が上がるまで-


 その日、私は10時過ぎには新宿駅にいた。上映は午後2時30分からなのになぜか。それには深い訳があった。私は足早に駅を出ると一直線に靖国通りを越え、コマ劇場を目指した。念には念を、である。いちおう、上映館の下見をしておきたかったのだ。MOVIEシアターアプルのはずだが。うむ、確かに「デビルマン」が上映される。間違っても入り口が同じ新宿コマ東宝に入ってはいけない。こちらは話題の新作、「ローレライ」である。若いカップルがチラホラとのぞいていく。実は内心、「デビルマン」はたった3日間の上映なのだからひょっとしたらもう並んでいるかもしれない、と思っていたのだがまったく人影も無い。チケット売りのおばちゃんがあくびをしている。念のためだ。ここで当日券3枚を購入。

 さて、上映までまだ大分時間がある。しかし無駄な時間は無い。計画通り次の行動に移る。私はコマ劇場に向かう途中に見つけておいたマンガ喫茶に向かった。そう、マンガ「デビルマン」を今一度復習するためだ。昨日までに終えるはずであったが予定が押してしまっていた。時間が惜しい。席に着くや読み始める。・・・すごい、すごすぎる!ああ、美樹ちゃんが、美樹ちゃんが!!○○ちょんぱだぁぁぁ・・・。カタルシスに酔っていてふと見るともう12時を回っている。いけない、次の行動に移らねば。私は急いでマンガ喫茶を出た。もういちどコマ劇場へ。念のためだ。人の集まり具合を確認する。やはりあまり変わり映えは無い。

 よし、では次。私は新宿駅へと向かった。東口を通り過ぎる。このあたりだったはずだが。・・・うむ、あった。「談話室滝沢」新宿中央口店。今月末で閉店してしまう前に絶対一度行っておきたかったのだ(「談話室滝沢」についてはこちらをご参照)。地下へと階段を下る。そうそう、この懐かしい抹茶色の絨毯だ。以前自分が行ったのは池袋店であったが、新宿店は思ったより広い。品のあるお姉さんに禁煙席へ案内される。1100円のケーキセットを注文。チーズケーキを選択する。さて12時30分だから1時間ほどいられそうだ。思った通り店内は混雑している。私が来て程なく満席となってしまったようで、後から来たお客が何組も残念そうに帰ってゆく。それにしても独特な店内。川が流れ、鯉が泳いでいる。少し感慨にふけりつつ、ジャック・プレヴェールによる、「天井桟敷の人々」の素晴らしい台詞回しに酔う。

 そうこうするうち、あっという間に1時半となり、名残惜しいが「滝沢」を出る。「謝恩券」なるものをいただく。「永年にわたりご愛顧を賜りまして、有難く厚く御礼申し上げます」とある。ごくろうさまと心の中でつぶやきコマ劇場へ急ぐ。

 歩きながら姉に電話するともう到着している。思っていたより早い。行ってみると、おお、列が出来ている!割と先頭の方で姉貴とダンナが手を振っている。並ぶ人の横を歩く。何となく彼らに親近感が湧いた。だが残念ながらその喜びも束の間であった。私は見逃しはしなかった。彼らの手に握られているチケットの大半は私の買った当日券ではなく、招待券であった。

 気を取り直して入場する。中は思ったよりずっと大きい。真ん中あたりのいい席をゲット。結構年配(50代以上)の客が多い。もちろん、招待券組である。映画が始まるまでまだ30分ほどある。姉貴夫婦と話していて意外な事実を知る。ダンナは原作を読んだことが無いというのだ。どうも年齢的に「ハレンチ学園」世代だったらしい。昔は少年漫画は少年のもので、大きくなってもジャンプやマガジンを読み続けるなどということは無かった。うーむ。どのような反応が得られるのか、興味が湧く。

 いよいよだな、と思ったりして緊張感が高まる。トイレなどに行ったり話したりしているうちにブザーがなる。果たしてこれが地獄への案内ベルとなるのか。場内が暗くなり、恐怖の2時間のツアーがいよいよ始まる。私は心を落ち着かせると、シートに深く身を沈め、対ショック体勢を取った。しかしこれもはかない抵抗であることを、私は数分後に思い知ることとなったのだった。
(続く)
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by redhills | 2005-05-20 12:59 | 映画

●「デビルマン」体験記(序)-マンガ「デビルマン」-

 3月21日。ついに私は決心をし「デビルマン」体験ツアーを決行した(事情が分からないかたはこちらをご参照)。迷っていた私にとっての心強い同志であるツアー同行者は2人。「最悪の2時間」を金を払ってまで一緒に過ごそうというその奇特な輩とは私の姉貴とそのダンナ。ちなみに、高校と中学の甥っ子どもは棄権を申し入れてきた。うむ。やむを得まい。何しろ相手は「デビルマン」だ。ハンパな気持ちで見て彼らのトラウマになってはいけない。耐性の無い場合、下手をすると人間でいられなくなるおそれもある非常に危険なツアーなのだ。3人寄れば文殊の知恵ともいう。ここはオトナ3人で臨むのが妥当であろう。

 おっと! ここですぐに私の体験した驚異と驚愕と悲嘆と憤怒と虚無感の入り混じった2時間について述べてもよいのだが、その前にやはり、その私の思いをよりリアルに感じていただくために、原作であるマンガ「デビルマン」について述べておくべきだと思う。というか、単に書きたいんで書く。

 マンガ「デビルマン」は、週刊少年マガジンに1972年6月11日号から翌1973年6月24日号まで、約1年間にわたって連載された。作者の永井豪氏は当時「ハレンチ学園」の大ヒットにより、日本で最もPTAに睨まれると同時に最も次回作に期待のかかるマンガ家であったが、「デビルマン」は、学園ギャグマンガで人気の頂点にあった氏が初めて挑戦したストーリーマンガであった。講談社をはじめとする周りの期待も大変なもので、テレビアニメ化が企画段階から決定していた(というよりこちらが先だったようだ)。マンガとテレビアニメが同時に進行するということで宣伝効果も抜群であり、連載開始前から大変な注目を集めていた。

 マンガ家として一気にブレイクした永井氏が、あえて未体験のジャンルへと挑戦した「デビルマン」は当然気合の入った作品であったが、それは連載を重ねていくとともに、読者やスタッフ、そしておそらくは永井氏本人の予想をも超えた展開を見せ、日本マンガ史に燦然と輝く傑作となった。

 なにしろ、コミックは全5巻なのだが、なんと、1巻の終わりまででたったの1日しか時間が経過していないのだ! まるまる1巻使って、デビルマン誕生までが語られるこの1巻だけでも永井氏の驚異的なストーリーテリングが十分に堪能できる。簡単にそのすごさを考えてみる。

 「デビルマン」の最も素晴らしいのは、その基本設定、テーマであろう。神とは何か、悪魔とは何か、そして、人間とは何か。もちろんこれは普遍的テーマなのだが、氏にかかると、神と悪魔の固定観念が揺らぐのである。

 こういった作品はどうしても話が荒唐無稽にならざるを得ない。だから普通の話よりも余計に「なぜ」そうなってしまったのか? という必然性の部分がしっかりしていないと読者がついていけなくなるのだが、この点についても「デビルマン」は素晴らしい。第1巻のほとんどを使って、なぜ不動明(主人公の高校生)がデビルマンにならざるを得なかったのかが語られるのだが、これが最高にシビレル!

 彼は親友の飛鳥了(歌手ではない)から、悪魔とは想像上の存在ではなく実在しており、今や彼らは永い冬眠から覚め、かつて自らが支配していた地球を人間たちから取り返すために戦いを挑んでくるという衝撃の事実を知らされる。絶望する不動に飛鳥は、驚異的な能力を有する彼らデーモン族と戦うには人間は弱すぎるが、たった一つだけ、戦う術があると言う。そこで不動は飛鳥の命がけの頼みを受入れ、彼と共に、そのたった一つの方法、デーモンと合体し、人間でありながら悪魔でもある存在、デビルマンとなることを決意する。しかしそれは簡単なことではなかった。デーモンと合体するためには理性を捨てなければならないのだが、同時に強い良心を持つ者でなければ心を乗っ取られてしまうのだ。デビルマンになるためには、理性を捨てつつ、良心を失ってはならないのである。そんなことが果たして可能なのか。何の確信もないまま、彼らはサバトといわれる狂乱パーティーで踊り狂いながら麻薬入りの酒をあおる。理性を捨てるために! 悪魔と合体するために!

 ここで不動はふと疑問に思う。ひょっとして、デーモンが憑依するのは俺たちだけではないんじゃないかと。飛鳥はニヤリと笑いながら言う。そう、その通りだ。ここで踊っている彼らもデーモンと合体するだろう。そして彼らは間違いなく乗っ取られる。つまりはデーモンとなるのだ。驚く不動。え!?じゃあ・・・。飛鳥は言う。そう、俺たちは万が一デビルマンになれたとしても、まず初めにここにいるだろうデーモンたちを殺さなければ生き残れないのだ! ということは了、敵だらけの中なのか、俺たちは! ひるむ不動に飛鳥は畳み掛けるように言う。不動、俺たちは人類を、地球を守るためにデビルマンになるんだろう? だったらこれくらいのことが出来なくてどうするんだ!

 何と言うシチュエーションだろう!不動も飛鳥もただの高校生であり、もちろん、人一人殺したことなどない。それが、いきなり人間であることを捨てて悪魔と合体する必要に迫られる。しかもである。デーモンと合体できるのか、同時に人間の心を失わずにいられるのか、それさえも定かでないのに、運よくデビルマンになれたとしても、まず、いの一番にまわりの何十人と言う人間たち(を乗っ取ったデーモン)を殺戮しないと生き残れない、つまり決死の行動が無意味となってしまう・・・。こんな異常なシチュエーション、もちろん非現実的なのだが、読んでいてもまったく違和感は感じない。永井氏の筆の力がすべてをねじ伏せてしまう。この、二人の置かれた究極の状況設定は奇跡としか言いようがない。

 そして、不動はデビルマンとなり、デーモンと戦うことになる。ここまでが1巻。たったの1日のお話である。しかし読者には強烈な体験をする。

 2巻以降、デーモン達との死闘が続いていくのであるが、なぜかデビルマンにもならずに生き残った飛鳥了を語り部としつつ、物語は少しづつテーマ性を深め、人間の真実の姿を暴いていく。驚くべきことに、この驚異的なエネルギーを持った連載マンガは何と1回も休載していない。永井氏の筆はもう自由自在であり(実際のところ、途中からは自動筆記のような感覚で執筆していたらしい)、その凄まじい描写は今見ても鳥肌が立つ。人間を守るために人間であることを捨てたデビルマンが人間に裏切られていくさま、絶望の中で彼が気付いた、たった一つの守るべきものが人間たちによって虫けらのように蹂躙される戦慄の場面、そして、その○○を抱いて鬼の形相で去っていくデビルマン。まさに阿鼻叫喚、人間の負の側面を描き尽して余すところが無い。そして、ハルマゲドンから感動と驚愕のラストへ。チョーかたるしす!!

 まったく。これが30年以上前に小学生が読むマンガとして連載されたということが奇跡だ。まだ読んでいないという方がいたら、是非読んで欲しい。ただし、豪華愛蔵版や文庫新版は後から永井氏が加筆訂正してしまっている。まぁ、最初の太古の地球の場面とか、新デビルマンとか、どうでもいいものばかり付け足されているので、そこを無視して読めばいいのだが、できればオリジナル版が良い。

 改めて思う。ああ、僕だったら、デビルマン誕生までで1本の映画にして、とにかく、今ここに書いたシチュエーションの凄さ、不動と飛鳥の究極の人間ドラマを中心にする。続いて、娯楽性を重視し、アクション全開でシレーヌやジンメンとの戦いを中心とする死闘編。そして、深いテーマ性を持ち、自滅する人類とハルマゲドンを描く完結編。なんだ、完全なトリロジーじゃないか!どう考えてもこれがベストなのに! なのにどうして映画「デビルマン」は!!!


 ということで、3月21日の新宿駅から話は始まる。
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by redhills | 2005-05-18 05:50 | 映画

●映画リスト

 「文芸坐」で映画に出会ってから9年余りが経つ。その間何度かのブランクはあるものの映画を観続けてきた。集中力もなく飽きっぽい自分が映画だけは飽きることもなく、また2時間余りの時間を楽しめている。

 今、過去に見た映画のリストを作っている。プログラムやチラシを手がかりに書き出していき、資料が残っているものについては大体洗い出せた。355本。年平均で40本弱。意外と少ない。自分の感覚としては500本以上はいっていると思っていたのだが。

 考えられる理由は3つ。1つは「文芸坐」が閉館になってから「新文芸坐」となって復活するまでの間は他の映画館で映画を観ていたものの、はるかにペースは落ちたということ。これは1997年3月7日から2000年の12月12日までの間に当たる。2つめの理由は仕事の都合で映画が見れなかった期間があること。1998年の11月から2000年の9月までは東京にいなかった上に超多忙で土日も含めて休日が全くなく、映画は全く見れなかった。3つめは資料がなく抜け落ちている期間がところどころあること。2001年から2003年の7月あたりまではまったく資料がない。ポツリポツリと「あれも観たな」と思い出せればラッキーだが、記憶の彼方に飛んでいってしまっている映画がかなりある。「文芸坐」の過去のプログラムがわかればそれだけで数十本の映画がリストに加わるんだが。

 さて、こういったブランク期間等を合計すると5年近くになる。ということは実質的には5年ほどで観ていることになるわけで、それであれば体感的に納得感がある。

 リストのトップは1996年2月6日の「七人の侍」。そしてその次が11日の「東京物語」。以下「浮雲」「雨月物語」「おとうと」・・・と、すばらしいラインナップが続く。もちろん、名作ばかりではないし、評判につられて観たが失敗したな、というのもある。逆に何となく観にいったら当たりだったということもある。ともあれ、映画というのは体験するメディアであり、自分はその醍醐味にやられっぱなしである。テレビの画面が少々大きくなったくらいで映画館で映画を観ることはやめられそうにない。

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by redhills | 2005-03-30 18:03 | 映画

●史上最悪!?

 いま、とても迷っている。今週末にある映画を見に行こうか、どうしようか、本当に決めかねて困っている。その映画とは「デビルマン」。そう、あの永井豪の超傑作漫画の実写映画である。漫画「デビルマン」について多くを語る必要はないと思うが、僕にとっては楳図かずおの「漂流教室」と並んでもっとも衝撃を受けた漫画で、思い入れも強い。あの「デビルマン」が映画になったら・・・。考えなかったはずはない。いやそれどころか10年以上考えていたんだから当然見たいに決まっている。しかし、見たくないという気持ちも一方であるのだ。

 最近漫画が映画になることが多い。「映画化は不可能だ」。そう言われていた名作たちが次々とスクリーンに登場してくる。デジタル技術の発達がこういったところにも波及してきているのだが、たいていの場合、漫画と全くの別物になってしまったり、全然つまらなくなってしまったりという結果に終わる。見て失望するくらいなら見たくないという気にもなるのである。「ドラゴンボールZ」(漫画じゃないが)「エヴァンゲリオン」などはハリウッドで今実写映画企画が進行中である。僕としては、アクション大作として是非とも「ワイルド7」を実写化して欲しいと思っているのだが、日本の役者では役不足か。監督はやっぱりここはジョン・ウーあたりにやってもらおうか(と勝手に妄想)。

 話が脱線した。「デビルマン」である。「迷ったら見に行け」というのがモットーの僕としては普通なら見に行くという結論になるはずなのだが、今回ばかりは決めかねている。それはなぜか。それは、映画「デビルマン」が、もう、ありえないほどに評判が悪いからなのだ。それはもう凄まじいほどで、「駄作」などというレベルをはるかに超えている。詳しくは http://howaan.hp.infoseek.co.jp/ などを見て欲しいのだが、まず主役の不動明と飛鳥了に、アイドルグループで人気の双子を大抜擢。ちなみに彼らは演技なるものは生まれて初めてである(学芸会でもなかったらしい)。牧村美樹がアイドルなのはまぁいいとして、牧村夫妻には宇崎竜童と阿木耀子夫妻だ。そして極めつけは、シレーヌにカリスマモデル富永愛! これまた素人を「イメージにピッタリ」という理由でキャスティング! ついでに?永井豪もキャスティング!

 これだけでも不安一杯なのだが、もちろん不安を掻き立てる要素はこれだけではない。監督は経験豊富なものの代表作は「ビーバップ・ハイスクール」シリーズ。そして、脚本は監督の奥さん。おいおい、大丈夫かい、そんなんで。「わが子の成長の記録」じゃないんですよ~。

 ま、結論から言うと大丈夫じゃなかった。ていうか、とんでもなかった。「完全実写化」「製作費10億円」という触れ込みで全国公開されたのが昨年の10月9日。あの、台風が関東地方を直撃した日(ついでに僕が引越しした日)。暴風雨にもめげず「デビルマン」を見ようとやってきた熱烈なファンたちはその余りの凄さに言葉を失い、ある者は怒りと憎悪の余りデーモンへと変身してしまったという(うそ)。

 キャスト、演出、脚本、すべてダメ。とても書ききれないので書かないが、もう、日本語でのあらゆる罵詈雑言を受けまくったこの大問題作「デビルマン」は轟々たる非難の中1ヶ月で打ち切りとなった。だがその後もネットでは話題となり続け、先月にはめでたく日本版ラジー賞(ワースト映画賞)である「きいちご賞」をブッチギリのトップで受賞、まことに順当な結果となった。

 しっかしこの日本映画史上に残る愚作、「史上最悪の映画(らしきもの)」「産業廃棄物」とまで言われている「デビルマン」。ここまで言われていると、逆に見に行ってやろうかと言う気にもなる。どこまで耐えられるか、いや何回笑えるか、映画でやってはいけない事を知るための教材として・・・。その気になれば活用法!?はあるとは思うのだが、それが「デビルマン」というのが悲しい。それに、1700円も払ってわざわざそんなことをしにいくというのか?という疑問も当然ある(DVDも4月に出るようだし・・・東映って度胸あるよ)。

 そして最大の問題は、誰が一緒に見に行ってくれるのか、という点である。こんな、最低だとわかっている映画をお金払ってわざわざ見に行ってくれる奇特な御仁が私の友達にはいるのか? いや、とても誘えない。見た後の友達の顔が見れない。その後で何が起こるのかこわい。僕にそんな勇気はない。でもなぁ。1人で見に行ってもつまらないんだよね~。こんな映画こそ、お互いに最後まで耐えた戦友として、見た後でどこがヘンだったか言い合うのがタノシクなるってもんなのに・・・。

 どなたか、20日か21日に「史上最悪の2時間」に付き合ってくれる方、いませんか? その後の(マズくなるかも知れない)メシとサケはおごりますので・・・。

 「デビルマン」を見たい方は・・・「ブログランキングをプチッとな!!
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by redhills | 2005-03-16 16:04 | 映画

●ある映画好きの感想

 僕は、エライ人とかリッパな人というのがどうも苦手で、映画の登場人物でも、ダメな奴、優柔不断な奴、道に迷っているばかりの奴にズンと感情移入する。そういう奴のほうが面白い。さらにそいつが心の揺れるまま一貫性の無い行動をとったりするともっと面白い。人間というインチキな生きものの矛盾そのものを僕は楽しみたいのだ。「12モンキーズ」が傑作なのは、物語の圧倒的な面白さ以上に、ヒーローであるはずのB・ウィリスのダメ男ぶりにある。なにしろこの男、自分がなにやってんだか全然分かんなくなっちゃうのだ。右往左往。直情径行。七転八倒。この人は紛れもなく僕の仲間だと思った。
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by redhills | 2005-03-16 11:32 | 映画

●関西弁とじゃこおろしの味

 土曜日。仕事が意外と早く5時前に終わる。そこで、まだ間に合うので「新文芸座」へ。「ジョゼと虎と魚たち」「珈琲時光」。実はこの2本は見たことがあるのだが、もう一度見ようと思った。「ジョゼ」は妻夫木&池脇千鶴なのだが、もう一度見たいシーンがあった。「珈琲時光」は小津生誕100周年のワールドプレミアで見たのだが、ホウ監督の編集がその数十分前までかかった末の上映で、公開までにはさらに手が加えられるだろうということであったのでもう一度見たかった。

 「ジョゼ」はやはり良かった。関西弁が好きな御仁は池脇の演じるジョゼに惚れてしまうだろう。僕の聞きたかったセリフ、「『帰れ』言われて帰るような奴は早よ帰れ・・・うそや・・・おって・・・帰らんといて・・・このままずっとおって・・・」。くぅ~~、いいねぇ、男ならこんなこと一度は言われてみたいねぇ! そして、切ないねぇ。ジョゼの気持ちが。
 まぁ、性的表現が過剰な気がする点と、主人公の男が福岡出身なのになんで標準語なのかという疑問を除けば、ちょっと女たらしだけどワルでもない大学生を演じた妻夫木クンもフツーっぽかったし、ラストの二人のそれぞれのシーンも良かったし、ギャグも適度に散りばめられていて、気持ちよいです。ただこれを障害者の映画として見るのはやや違うと思う。その視点が入るともっと悲惨で重いものにならざるを得なかっただろうし、それだったら、「オアシス」にはちょっとかなわない。

 「珈琲時光」はまず編集の結果、萩原聖人の出番が余りにも減ってしまったのに同情の念を禁じ得ない。あれじゃ友情出演のチョイ役だって。あちこちに散りばめられた小津へのオマージュは小津ファンならばニコリとするわけだが、知らない人にはもちろん分からない。何事も起きないというストーリーもその内に含まれるのだろうが、それにしても、印象的な場面やエピソードも無いためにのっぺりとした印象となってしまった。
 小津との共通性という視点で語られることも多いホウ監督の小津との違いなどはとても面白いテーマではあるのだけど、それを書いたら大変なのでまた機会があればということにしたい。でもこの作品に出てくる御茶ノ水駅の前を流れる川の流れのようにゆったりとしたこの映画のペースが心地よい人には良いだろうが、それ以外の人にはしんどいと思った。

 10時を回って映画館を出ると急に腹が減ってきた。直前にカレーライスを食べたのだが、どうしても食べたくなる。どこにしようかな。定食が食べたいので「大戸屋」にする。前の席の女の子3人組が偶然にも関西弁なのが心地いい。「珈琲時光」で母親役の余貴美子が作る煮物がうまそうだったので煮物にしたのだが、メニューにあった「じゃこおろし」見た途端に、無性にじゃこおろしが食べたくなって追加注文。醤油をたっぷりかけてご飯と一緒に食べる。うん、美味い! じゃこおろしだけでご飯をほとんど食べてしまう。なぜかメインディッシュが残ってしまったのだが、煮物は煮物でパクパク食べた。しかし、じゃこおろしご飯の美味かったこと! まさに、小津の「お茶漬けの味」だ。

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by redhills | 2005-03-06 23:28 | 映画

●日本映画の明日は明るい!

 予報どおり、朝から雪がシャンシャン降っている。こういうときは急ぎがちだけれども、大またに歩くのは危険。小またでチョコチョコ早足。黒いダウンコートをすっぽりかぶり首をすくめて歩く。何となくペンギンになった気持ち。

 昨日は新文芸座で「気になる日本映画2004」特集を見る。去年公開された日本映画の中から28本がピックアップされている。昨日は「解夏(げげ)」「深呼吸の必要」の2本。どちらもなかなかの秀作。前者は長崎、後者は宮古島と沖永良部島のご当地映画なのだが、それぞれの土地の持つ人や情景の美しさは十分に引き出されていた。どちらも原作がある(僕は読んでいない)が、ホンも目立った破綻などなく気持ちよく見れたと思う。

 さて、先日書いた「パッチギ!」もそうだし、日曜日に見た「花とアリス」「アイデン&ティティ」や昨日の2本もそうなのだが、日本映画に力が出てきたように感じる。単に興行という面だけではなく、質的な面でいい作品がいい感じで続々と出てきている。ひところに比べると全然勢いが違ってきたと、見ていて感じた。

 中でもうれしいのは、若手俳優が沢山出てきており、それらがいい演技をしていること。以前は浅野忠信と永瀬正敏しかいなかった感があるが、最近は、妻夫木聡、オダギリジョーらを別格にしても、高岡蒼佑成宮寛貴谷原章介大森南朋、女優では蒼井優鈴木杏沢尻エリカ麻生久美子長澤まさみなどなど、楽しみな役者がまとめて出てきている。彼らはテレビドラマには滅多に出てこない。テレビの枠は既得権益となっていて、事実上、有力プロダクションがプッシュするタレントしか出ることが出来ないのだ。

 でも映画ならそのしがらみから解放される。そこにチャンスがある。希望もある。これは、日本映画が興行的にペイするようになってきたことも大きいだろう。そこにいい役者、いい監督、いい台本が重なって、今、とてもいい流れが出来始めていると感じる。

 そして明日、いよいよ「ローレライ」で期待の大型新人、香椎由宇(かしい・ゆう)がスクリーンデビューする。「平成の原節子」という前評判だが、果たして「河内山宗春」(山中貞雄監督)での原のような衝撃を与えてくれるのだろうか、楽しみだ。

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by redhills | 2005-03-04 09:52 | 映画



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
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