"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●真夏の夜の悪夢②~彼が失ったもの

<<試合内容について>>

 さて、では亀田チャンプの試合について自分が思ったことを述べてみる。

 もちろん自分も素人であり採点法などもよく分からない。ダウンを取られると2点のマイナスになるが、今の採点法だと2回優勢のラウンドを作れば取り返せるとか、なるほどな、と思う程度。それに素人の印象とプロの目は違うだろうとも思う。中盤のラウンドでどちらが優勢だったかの判断は難しいだろう。
 ただ、終盤は明らかにランダエタ選手のほうが勝っていたし、亀田選手は完全に足に来て立っているのもやっとだった。フラフラになりながら何度もクリンチに逃れる様子に、実況も悲壮感に溢れていたくらいだ。あそこでダウンを取られていたら間違いなく負けていたろう。だが彼は倒れなかった。あそこで根性を見せて前のめりに行った亀田選手の戦いぶりは賞賛に値するものだったと思う。

 初めての世界戦、19歳の亀田選手は本当によく頑張った。しかし冷静に見れば、やはり勝ったのはランダエタ選手だった。そこに亀田勝利の判定。自分は彼が頑張っていたからこそ、この判定が残念でならない。特に韓国のジャッジの最終ラウンドの採点はひどい。何と10-9で亀田優勢なのだ。仮にもしもこれが逆だったら、彼のジャッジはドローとなり、全体のジャッジもドローとなっていた。いかにも不可解なジャッジだった。

<<怪しい仕切り屋>>

 んで、そのジャッジの人選も含めて一連の「亀田チャンププロジェクト」を現場で仕切ってきたのが、亀田ファミリーの所属する協栄ジムなわけだけど、これがまた曲者なのだ。
 なにせ協栄ジムは以前にも、渡嘉敷、鬼塚両チャンピオンのマッチなどで疑惑の判定を演出した過去があるし、そこらへんにぬかりはない(笑)。TBSやヤクザさん(そしてもちろん日本ボクシング協会)の意向を汲み取って、実際に亀田チャンププロジェクトを組み立てたのだから、協栄ジムの金平会長は今回の準主役といってもいいかもしれない(でも彼の腹の中は、亀田ファミリーを男にしてやりたいという思いと世界チャンプを輩出したいという功名心の半々だろうな)。

 とにかく亀田チャンプ誕生までのマッチメークが怪しい。今までの対戦相手を記すとこうなるのだけど。

 1戦目 デンナロン・シスソバ(タイ) 戦績 0勝2敗 1回44秒KO
 2戦目 プラカルン・ツインズジム(タイ) 戦績 0勝3敗 1回1分12秒KO
   ※日本ボクシングコミッション2005年度招聘禁止選手(八百長疑惑)
 3戦目 サミン・ツインズジム(タイ) 戦績 0勝4敗 1回1分48秒KO
 4戦目 ダオチャイ・KTジム(タイ) 戦績 0勝5敗 10回判定
   ※日本ボクシングコミッション2006年度招聘禁止選手(八百長疑惑)
 5戦目 ノパデッチレック・チュワタナ(タイ) 戦績 0勝0敗 2回59秒KO
 6戦目 ヨードゲン・シンワンチャー(タイ)  戦績 0勝4敗 1回2分10秒KO
 7戦目 サマン・ソー・チャトロン(タイ) 戦績 46勝7敗1分 1回2分59秒KO
   ※チャトロンは35歳、3年前に1度引退。復帰後3連敗
 8戦目 ワンミーチョック・シンワンチャー(タイ) 戦績 12勝2敗 3回50秒TKO
   ※亀田は東洋王者になるも防衛戦を一度もせずに王座返上
 9戦目 ノエル・アランブラッド(ベネズエラ) 戦績 21勝4敗1分1無効試合 7回TKO
   ※アランブラッドは元WBAミニマム級チャンピオンで亀田(フライ級)とは2階級差
 10戦目 カルロス・ボウチャン(メキシコ) 戦績 16勝12KO5敗 6回2分20秒KO
   ※亀田選手にローブロー疑惑
 11戦目 カルロス・ファハルド(ニカラグア) 戦績 15勝10KO6敗1引 2回1分28秒TKO
   ※ファハルドの最終戦は昨年6月17日(1年近くのブランク有り)で
    もともとミニマム~ライトフライ級の選手
 12戦目 フアン・ランダエタ(ベネズエラ) 戦績24戦20勝3敗1分け 『奇妙な判定』
   ※ランダエダは元々最軽量のミニマムの選手で亀田とは2階級差
    本来は12月で引退予定だった選手

 まず目を引くのは、日本人と一回も対戦していないという点。それに、明らかに実力に疑問の残る選手や実戦から遠ざかっている選手、著しく軽量の選手とばかり試合をしている。非常に注意深く(笑)試合をしてきているのがよくわかる。そして今回も、本来フライ級の亀田選手とミニマム級のランダエタ選手が、なぜかライトフライ級で世界戦を行った。このライトフライ級、都合の良いことに王者が不在なうえに、両選手がなぜか1位と2位にランクされ、王者決定戦をすることになった。つまり、亀田選手はチャンピオンから王座を奪ったのではないというわけ。怪しい、怪しすぎる(笑)

 それだけじゃない。協栄ジムとWBA(世界ボクシング評議会)はとっても仲が良い。良過ぎるくらい。だから、こんな、ちょっと目を疑うようなことが起きちゃう。

 「WBAは亀田父に特別のチャンピオンベルト 事前に準備
試合後の記者会見場には世界ボクシング協会(WBA)の立会人が足を運び、亀田のトレーナーを務める父親の史郎さんに「WBAのメンドーサ会長から特別のチャンピオンベルトを贈ります」と報道陣の前でプレゼントを手渡した。亀田の家族愛、父親と3兄弟の努力は素晴らしい。だが、中立であるべき世界の統括団体が事前にこのような準備をしていたこと自体、見識を疑われても仕方ない。 (時事通信)」

 ここまでやられると鼻白むでしょ、いくらなんでも(笑)。協栄ジムさんのシナリオ、ちょっとクサすぎます。

 ちなみに、今回の結果を予想されていた方もおられるようで。こちらですけど、あまりに当っていて笑ってしまいました。ご参考までに。

<<彼が失ったもの>>

 誤解の無いように言っておくと、自分は亀田ファミリーを否定しない。彼らのボクシングに賭ける情熱と費やしてきた努力は尊敬に値する。剥き出しの野心と、何者も間に入ることを許さない篤い親子の絆は今の日本では貴重なものだ。彼らについては3年位前から知っているけれど、周りに理解されなくても親子だけで独自のトレーニングを編み出し、必死に努力して這い上がってきた物語は素晴らしい。見習う点も多々ある。だから、精進を重ねて世界への挑戦権を得た彼らに勝たせてやりたいとも思う。努力すれば報われる。誰だってそう信じたい。

 でも、限界までやったと思っても負けることが人生ではあるのだ。たった一人の頂点を争うプロボクシングの世界ならばなおさらだろう。自らの努力はまだ足りないのだ、世の中には上には上がいるのだということを知ることは、時に、勝つことよりも遥かに価値がある。人生では、成功よりも失敗から学ぶことのほうが多いのだ。それが逆に、その何物にも変えがたい学びの機会が外からの力によって奪われたのだとしたら、そのことによる損失は計り知れない。

 この試合で彼が失ったものは、彼や彼の周りが想像しているよりもはるかに大きいだろう。そしてそれは、彼がこれからの人生で、よりつらい経験を経て得ていかなければならない。そんな過酷な運命を彼に負わせたことを、大人たちは分かっているのか。おそらく分かっているだろう。でもそんなこと、彼らに取っちゃなんでもないんだろうな。 
 (つづく)
[PR]
# by redhills | 2006-08-04 15:18 | スポーツ

●真夏の夜の悪夢①~その構図

 いやはや、酷いものを見せられた。丸一日たつのに未だに気分が悪い。

 何がって、昨晩行われたWBA世界ライトフライ級王座決定戦。
 亀田三兄弟の長兄、「浪速の闘拳」亀田興毅の初めての世界タイトルへの挑戦だったんだけど、いくらなんでもあれはないぜ!八百長にも程がある!「亀田勝利」って判定聞いた瞬間にテレビ切ったよ。それでも腹の虫が収まらないのでネットで世間の反応を追っかけたら、どうやら自分は少数派ではないような気もして少し安心した。
 ほんとにこんな薄汚れたチャンピオンを世に出してしまった日本が恥ずかしい。でもただ怒っても芸がないので、今回の悪夢の構図について考えてみよう。

<<表と裏のA級戦犯>>
 この薄汚い演目の主役は亀田でもなければ、親父でもない。彼らは利用されおだてられ持ち上げられて踊っただけだ。ではその舞台を回した奴らは誰か。A級戦犯は表と裏に1人ずつ。そして、彼らに阿(おもね)った太鼓持ちが1人見えてくる。

 まず糾弾されるべきは間違いなくTBSだろう。亀田ファミリーにいち早く注目し、使えると見るや、感動の家族愛、いまどき珍しいハングリー精神、天才三兄弟とおだて上げることで、彼らを持ち上げ、視聴者を洗脳し、金のなる木に育て上げようと必死だ(うえ~、反吐が出る)。それにしてもこの放送局は最近不祥事が多すぎる。左派リベラリズムがジャーナリズムの良心なのかどうかは知らないが、おのが主張の押し付けがきつ過ぎて腐臭がする。
 まあそれは置いておくとしても、今回のおかしなチャンピオン誕生が、低視聴率に喘ぐTBSの目論見通りの結末であることは明らかだ。期待通りの40%超えでお偉方はホクホクだろう。7時半に放送を開始しておいて、肝心の試合開始はなんと9時!1時間半も引っ張るいやらしい構成といい、こんな三流イカサマイベントで視聴率を稼げるのだから、さぞ笑いが止まらないことだろう。
 だがTBSはまだまだ満足などしていない。今回のタイトル戦の数日前に亀田の初防衛戦を大晦日に行うことに決め、そのために、何とあの看板番組である「日本レコード大賞」の放送を1日繰り上げてしまった。しゃぶれるものはとことんまで。まさに厚顔無恥とはこのことだろう。まだ勝ってもいないうちから防衛戦をあてこむとは。亀田の勝利が約束されていたものであることをうかがわせる。我が家から歩いて数分のところにあるTBSなのだが、もはやかつての品格もモラルもこの局に求めることは無理なのだろう。電波の無駄使いです、ほんとに。視聴者をバカにするな!

 では裏の主役はだれかというと、それは何を隠そう、ヤクザさんです。これはおおっぴらには言われてないけれど、わが国のスポーツ興業が力道山の昔から影の勢力に動かされてきたのは隠然たる事実。もちろん今回もリングサイドにはこわーいオジサンたちがズラリ勢揃い。まるで山●組や住●会の大集会じゃないか、ってくらいだったらしい(笑)。ネット情報によるとその中でも重要なのが英五郎という人物らしい。大阪時代からの亀田の後援者らしいんだけど、注目すべきは彼の誕生日なんだよね。8月2日なんです。そう!昨日です。当然彼もVIP席で試合を見てました。つまりはこういうことです、驚く無かれ、世界タイトルマッチがヤクザさんの誕生日のイベントになっていたんですねえ。はは、びっくり!
 そうそう、ヤクザさんたちは、もちろん誕生日の見世物として亀田ファミリーをバックアップしているわけじゃありません。いくら彼らでもそんなに暇じゃない。彼を育てることで、莫大なマネーが彼らの懐に流れるわけですね。いわゆる、資金源という奴です。亀田が勝ち続けることで彼の商品価値は上がっていき、それに伴ってヤクザさんたちの懐も潤っていくっつーわけですな。こう考えると、ヤクザさんたちに睨まれてる中でジャッジをするのはさぞやヒヤヒヤもんだったことでしょう。亀田を負けにしたらどんなことになるか、考えただけでも首のあたりがスースーしてきます。まったく、納涼にはもってこいですね(笑)。

<<哀れな存在>>
 さて、表のTBSと裏のヤクザとの間で利害が一致して亀田チャンプが誕生したわけですが、その両者にくっ付いていい思いをしようと姑息に動き回った哀れな存在がいます。それは誰か。実に悲しいことですが、過去に幾多の輝かしい栄光を刻んできた、わが国のプロボクシング界こそがそうなのです。
 今回の試合を観戦していた日本プロボクシング協会の原田政彦会長(ファイティング原田)は「何も言わないよ」とメディアを振り切るように小走りで会場を去ったそうです。おいおい、いくらなんでもノーコメントで逃げるってどういうことだよ!日本プロボクシング界の頂点にいるものとして、責任あるコメントを残すべきだろうが。
 ファイティング原田といえば、日本が生んだ不世出のチャンピオンの1人。しかも彼は現役時代、三階級制覇がかかった世界フェザー級タイトルマッチで、敵地オーストラリアに乗り込んで3度ダウンを奪う圧倒的な試合をしたにもかかわらず、ありえない判定負けをした経験を持つ人だ。その彼が逃げるように会場を去った。そこに、わが国のプロボクシング界が置かれた厳しい状況がうかがえる。そしてそれがまた一層、哀れみを誘うのだ。

 確かに同情の余地はある。豊かになると共にハングリー精神も失われ、カリスマを失って久しい日本のプロボクシング界にあって、亀田ファミリーは、辰吉丈一郎以来、久々に現れたビッグネーム(の卵)なのだ。だから、実力に疑問があっても、彼らへのプロモーションが、プロレス、そして格闘技に奪われてしまったボクシング人気を取り戻すための、たった一つの希望だった。正にワラにもすがる思いで、この「亀田チャンププロジェクト」に乗ったのであろうことはよく分かる。
 だから、あまり悪く言いたくはない。彼らにどす黒い思いはないだろう。でもやはりこれだけは言わねばなるまい。今回の結果は、一時的には成功でもやがて必ず報いを受けるだろう。麻薬と同じで、人気低迷を逸回するために禁断の実に手をつけた代償は高くつくと思う。何より、スポーツマンシップを自ら道端に投げ捨てた代償は大きい。
 そういえば話はちょっとわき道に逸れるけれど、これとよく似たことが最近あった。名人戦の主催社をめぐる騒動。僅かの金と人気取りのためにモラルを捨てた日本将棋連盟(と米倉会長)も同じ運命をたどることだろう。

 さて、3人の悪役について書いたところでひとまず切って、肝心の亀田チャンプについては明日にしようと思う。
 (つづく)
[PR]
# by redhills | 2006-08-03 23:17 | スポーツ

●たったひとつの誤算(W杯23日目)

ポルトガル 0-1 フランス

 ルイス・フェリペ・スコラーニにとって、痛恨の判定だったろう。そしてそれは、彼の運が尽きた瞬間だったのかも知れない。

 前半32分。マルーダからトップのアンリにボールが入る。ワンタッチしてアンリがペナルティーエリアへと入る。リカルド・カルバーリョとのマッチアップ。アーセナル対チェルシーが再現される。素早く身を寄せたカルバーリョは転がるボールを右足で蹴りだそうとした。だが、アンリの右足がボールに触れる方が一瞬早かった。絶妙の切返し。カルバーリョは空振りしてしりもちをつきそうになり、空中でバランスをとるために本能的に左足を少し上げた。これは仕方の無いことだった。だが不幸にもそこにはアンリの右足があったのだった。倒れるアンリ。主審は迷わずペナルティー・スポットを指差した。6年前のヨーロッパ選手権のときと同じくジダンが落ち着いて決める。この1点が劇的に試合の流れを変えてしまった

 それまで、試合はどちらかというとポルトガルが押していた。両チームはフォーメーションも4-5-1で同じなら、センターでボールを散らす選手(ジダン、デコ)の両脇をスピードのあるドリブラー(リベリー、マルーダそしてフィーゴ、ロナウド)が駆け上がり、ここぞ、というポイントでボランチ(ビエラ、マニシェ)が攻撃参加する、というパターンも同じという、よく似たチームなのだが、ここまでの全体的なパフォーマンスはポルトガルの方が良かった。

 ジダンにはコスティージャ、デコにはマケレレがそれぞれまとわり付いて自由なプレーをさせないようにケアしていたが、ドリブラーに対する対処においてフランスはやや後手に回り、しばしばロナウドに危険な地域へと侵入されていた。フィーゴもベストコンディションではなかったけれども、それなりに老練な仕掛けでアビダルを苦しめていた。先制されるまではフェリペの思い描いたとおりのゲームだったろう(もちろん、ドメネクにとってもそれ程悪い状態ということでもなかったわけだが)。

 しかし、フランスに1点が入ったことで状況はまったく変わってしまった。連戦の疲れからか、ジダンを始めとする前線の4人の動きはブラジル戦のような鋭さは無かったが、後ろの6人は相変わらず素晴らしく機能していた。危険だったロナウドの突破についても、サニョルが攻め上がらなくなったのでテュラムあるいはビエラと2人で対応できるようになり、徐々にポルトガルは攻め手を失っていった。パウレタが全くポストプレーができなかった(つまりテュラムやギャラスに完全に封じられた)ため、ポルトガルは完全に手詰まりになり、最後の5分間のパワープレイまで、フランスの6人を崩せなかった。ただでさえ堅牢なフランスのディフェンスにしっかりと引いて守られては勝機は無かった。それ程に、あの判定は重く、大きなものだった。フェリペの連勝もついに12で止まった。

 決勝戦。さて、イタリアとフランス、一体どちらが相手の守備を崩して点を取るのだろうか。一ついえることは、今日のフランスの前線の出来ではイタリアを崩すことは難しい、ということ。一段上のパフォーマンスが求められよう。ブラジル戦の動きができれば、フランスに2度目の栄冠がもたらされ、ジダンは負けることなく引退するということになるだろう。
b0047859_19515010.jpg

[PR]
# by redhills | 2006-07-06 07:10 | サッカー

●ジンクス対決(W杯22日目)

ドイツ 0-2 イタリア

 優勝候補の一角、アルゼンチンを撃破して優勝へ向けてまたまた加速したドイツがイタリアの青い波に呑み込まれた。

 不幸な事件によって守備の要であるフリンクスを失ったドイツだったが、イタリア戦を行うドルトムントは、代表戦で過去一度も負けたことの無い縁起のいいところ一度もワールドカップで勝った事のない天敵、イタリアを討ち取るにはこれ以上の舞台はない、はずだった。しかし結果はイタリアの鮮やかな勝利。またしてもイタリアに勝つことはできなかった。

 120分の激闘の末、終盤の連続失点によって敗れてしまったドイツだったが、試合運びは思惑通りだったように思う。なぜなら、攻めに出ずにイタリアにボールを持たせたから。

 サッカー強国の中でも並外れたマゾ体質(!?)のアズーリは、攻められて押し込まれて、見ている者をハラハラさせておいて勝つのが本来の姿。リッピが作り上げた攻撃的な布陣も、注意深いドイツのディフェンダーにトニが抑えられると打つ手がなく、ボールだけを持たされて、カウンターも出せず妙な試合運びをしてしまった。

 とはいえドイツもドイツで、苦手意識のためか試合運びが余りに消極的。グループリーグのころの勇ましさがすっかり影を潜めてしまい、ほとんどゴールの予感がしない。想像通り、クローゼとポドルスキはがっちりマークされてしまうし、バラックは守備意識が高すぎて攻撃参加が少なすぎる。一度だけポドルスキがドフリーでヘディングする場面があったが、ドイツの本当のチャンスはあの一度だけ。途中投入したシュバインシュタイガーとオドンコルのサイド攻撃も効き目がなく、なんか両チームとも攻めがいまいちで、後半からはやや退屈な試合になってしまった。

 しかし延長に入ると、リッピは守備が安定しているのを確信したうえで、イアキンタとデルピエロを投入してサイド攻撃を活性化させる。これが効いて、ジラルディーノも加えたパワープレイが最後に実を結んだ。グロッソのあのシュートは誰にも止められない。あの場面であそこに蹴れる選手がサイドバックにいることが勝敗を分けた。2点目はいかにもイタリアらしいゴール。1点入れたことで十八番のカウンターを出す出番が来た。チェコ戦でのインザーギの役は、今度はデルピエロにまわってきた。策がズバリ当って、リッピにとってはさぞ監督冥利に尽きる試合だったろう。

 決勝戦。ここまできたら、フランスでもポルトガルでも同じだろう。守備が破綻しない限りイタリアはいい勝負をするだろう。
[PR]
# by redhills | 2006-07-05 23:33 | サッカー

●メッセージ

 ワールドカップも準決勝前のブレイクだし、ジーコ・ジャパンについて書こうかな(あと、オシム・ジャパンについても)…と思っていたところに飛び込んできた、中田現役引退のニュース。代表引退はあるかもしれないな、とは思っていたけれど、プレーを辞めてしまうとは思わなかった。

 彼のメッセージを読んだ。

 気恥ずかしいくらい率直に、彼のサッカーへの愛情、日本のサポーターに対する感謝、そして、それが故の苦悩が綴られていた。

 僕は、今回のワールドカップでの日本の戦いぶりから、その最大の問題はメンタルだと思うようになったけれども、戦う心構えがまるで出来ていないチームの中にあって、中田だけは、まるで孤峰のように、世界で伍してゆくのだ、という強いメンタルを持って試合に臨んでいるように見えた(強いてあげればあとは川口くらいか)。

 メッセージからは、中田自身が、いかにそれ(メンタル)の重要性を身に沁みて感じ、それを他のメンバーに伝えようと苦心し、でも結局うまくいかなかったことへの失意の思いが伝わってきた。思いを伝えられず悩むくだりに親近感を覚えた。クールさを装う奥底にサッカーへの思いを秘めていたという告白に、ハッとした。そして、最後に、その守り通してきた思いがこらえきれずに溢れてきたという言葉に感動した。

 彼は孤立無援で戦ってきた。 

 本当にもどかしかったろう。
 無念だったろう。
 だがそれでも彼は、誰も付いてこないなか、最後までピッチの上でそれを自らの行動で示し続けた。

 本当にがんばった。
 引退は残念でたまらないけれど、お疲れさん、と一声掛けてあげたい気持ちで一杯だ。

 でもおそらく、どんなねぎらいの言葉もいらないのだ。

 彼の残したものを無駄にしないこと。
 それこそが、彼の貢献と無念の思いに応える唯一の術なのだ。
 そう思わなければ、やってられないじゃないか。

 改めて何かがこみ上げてきた。
[PR]
# by redhills | 2006-07-03 23:32 | サッカー

●ジダンの放物線(W杯21日目)

 準々決勝の残り2試合が行われた。イングランド対ポルトガルは、後半の早い時間にルーニーを退場で失ったイングランドが、堅守でポルトガルの得点を許さず、延長戦も凌ぎきったものの、PK戦で力尽きた。ポルトガルのスコラリ監督のワールドカップでの連勝は12に伸びた。注目の一戦、ブラジル対フランスの新旧王者対決は、フランスがジダンのフリーキックにアンリが合わせてあげた1点を守りきり、優勝候補筆頭のブラジルに勝利、4強へ最後の名乗りを上げた。この結果、ブラジル連覇の夢は消え、ベスト4はすべてヨーロッパのチームとなった。

イングランド 0-0(1PK3) ポルトガル

 イングランドにとっては、前回大会と2年前のヨーロッパ選手権で破れたスコラリへのリベンジのチャンス。スタンドでは、試合前からイングランドサポーターの時の声がこだましていた。注目の布陣は、ポルトガルはオランダ戦で負傷し、出場が危ぶまれていたロナウドが出場し、出場停止のデコのポジションにはチアゴが入った。イングランドはやはりルーニーの1トップだった。

 ベスト8ともなると、どのチームも試合運びが慎重になる。このゲームもそうだった。相変わらずイングランドはルーニーが孤立気味。一方のポルトガルも、やはりデコの不在は大きく、ロナウドやフィーゴの単発的な仕掛けに頼る攻撃は驚きに欠け、堅固なイングランドの最終ラインを突破できない。ややこう着状態のまま前半が終わる。

 しかし後半早々、ピッチに衝撃が走った。ベッカム交代。右足を引きずっている。そして続く61分、更なる衝撃がイングランドを襲う。ルーニーへのレッドカード。ただでさえフォワードが足りず、後半のどこかでクラウチを投入してのパワープレイを考えていたエリクソンはゲームプランの修正を迫られる。止む無くコールを下げてクラウチを入れるものの、彼の孤立振りはルーニー以上だった。しかし、ポルトガルの攻撃が手詰まりなのも幸いし、イングランドはハードな守備とハーグリーブスの攻守に渡る活躍で終盤のポルトガルの猛攻を凌ぎきった。

 延長戦。ほぼ完全にボールを支配されている状態で得点を望めないイングランドが30分を守りきり、PK戦に持ち込んだのはさすがだったが、4人のキッカーのシュートコースを全て読んだポルトガルのリカルドの前に、またも涙を飲んだ。イングランドは、最後まで自慢の中盤が評判どおりの輝きを見せることなく、またルーニーも無得点のままドイツを去ることとなった。

ブラジル 0-1 フランス

 「いつブラジルがその本当の力を見せてくれるのか」。世界中が期待した。だが、カルテット・マジコ(魔法の4人)と言われた前線の4人の奏でるハーモニーに世界が酔いしれる瞬間は、ついに訪れなかった。史上最強の呼び声も高かったブラジルがなぜ破れたのか。その原因はベンチの采配にあったように思う。その一方で、これが底力というのだろうか。フランスが会心の試合運びで王者を撃破した。世界最高レベルの戦術と個がぶつかり合った対決は、サッカーの奥深さを示す一戦でもあった。

 この試合、ブラジルはアドリアーノとロビーニョを先発から外し、ロナウドとロナウジーニョを2トップに、そしてカカをトップ下に置いた。カルテットが初めてトリオになったのだ。そのかわりに、ボランチの4人のうち、エメルソンをのぞいた3人を同時にプレーさせた。明らかに守備重視の陣容。王者ブラジルがここに来て自分のスタイルを捨てたのだ。これは驚きであるとともに、パレイラの苦心と不安の表れでもあるように感じられた。

 案の定、攻撃の基点がカカに限定されたために、マケレレとビエラの圧力が1点に集中し、2トップが孤立する。特にロナウジーニョが得意のドリブルを仕掛けるチャンスが全くといっていいほど訪れない。ゼ・ロベルトやジウベウト・シウバがカカのフォローをしようとするが、リベリー、マルーダ、そしてジダンの早いチェックがそれを許さない。中盤の組み立てを省略してサイド攻撃をしようにも、リベリーがしきりにサイドを突破するため、ロベルト・カルロスもカフーも攻め上がれない。中盤を圧倒的にフランスが支配し、ブラジルは有機的な攻撃が全くできないまま、防戦一方で前半を終えてしまう。パレイラの取った作戦の失敗は明らかだった

 後半、フランスの攻撃は鋭さを増してゆく。46分、ジダンのフリーキックがビエラにヒットする。52分、アンリの突破からのヒールパスにビエラが飛び込む。そして57分、左サイドでのフリーキック。ジダンの右足から放たれたボールは、緩やかな弧を描いて無人のファーサイドへ。誰もがその行方を目で追ったそのとき、ただ1人、アンリがボールの落下地点へと到達し、右足でボレーを決めた。大歓声がスタジアムを覆う。公式戦で初めて、ジダンとアンリのホットラインが繋がった。フランスの攻撃力が完璧なハーモニーを奏でた瞬間だった。

 今大会初めて追い込まれたセレソン。前掛かりに攻撃をしてきたが、フランスは全くひるまない。中盤でボールを奪い、リベリーやアンリが何度も突破を仕掛ける。流れを変えるべく、ようやくパレイラが動く。63分、アドリアーノを投入し、ロナウジーニョをトップ下に下げる。カルテットの復活。だが、一度後手に回った流れはなかなか止まらない。逆にフランスは、ブラジルの背後に広がる広大なスペースに、ジダンやビエラらが鋭い矢を放つ。ルシオがアンリを倒し、イエローカードを受ける。時間は刻々と減ってゆく。

 残り15分。今こそカルテットがその魔法の杖を振るう時のはずだった。だが、必死の攻撃もなかなか実を結ばない。焦るパレイラは、何とカカを下げてロビーニョを投入する。だが、ドメネクも抜かりが無い。疲れの見えたリベリー、マルーダをゴブとビルトールに代え、中盤に新たな力を加えて対抗、またペナルティーエリア付辺では、テュラム、ギャラス、ビエラ、マケレレの4人がカルテットを抑え込んだ。とうとうブラジルは最後までゴールを割ることは出来なかった。

 思うに、フランスのドメネクは自分のチームの戦術と力を信じ、ブラジルに対しても普段どおりの布陣で臨んだのに対し、パレイラはよそ行きのサッカーをしてしまったのではないだろうか。確かに持ち前の攻撃力を活かしきれていない状況を変える必要はあっただろう。だが、そこを我慢して、選手たちが答えを見つけ出すのを待つべきではなかったか。はた目には、不本意な内容であっても、王者として余裕の戦いをしていると思われていたブラジルだったが、実際のところ、パレイラはかなり追い込まれていたのではないだろうか。世界最高のタレントを有しながら、結局最後までベストフォームを見つけることが出来なかったブラジルの姿に、サッカーの奥深さを思う。

 逆に、ふがいない試合振りに、噛み合わない攻撃は戦術の誤り故であると厳しい批判に晒されていたドメネクとフランスは、グループリーグ敗退の危機を乗り越えた結果、ジダンを中心にチームの結束力が格段に増し、潜在能力を爆発させた。チームと監督のメンタルの差が勝敗を分けた一戦だった
[PR]
# by redhills | 2006-07-02 09:55 | サッカー

●そして誰もいなくなった(W杯20日目)

 ワールドカップ準々決勝2試合が行われた。第1試合、ドイツ対アルゼンチンは、後半先制したアルゼンチンが逃げ切りに入るところをドイツが追い付いて1-1となりPK戦にもつれ込んだが、キーパーレーマンの活躍で開催国ドイツが勝利。4強1番乗りを果たし、優勝に向けて大きく前進した。第2試合、イタリア対ウクライナは、早い時間帯に先制したイタリアが持ち前の守備力を発揮し、シェフチェンコを擁するウクライナに完勝した。今大会無得点だったトニが2ゴールを挙げるなど攻撃陣も調子を上げてきており、4度目の優勝に向け、攻守のバランスが一層良くなってきた。

ドイツ 1-1(4PK2) アルゼンチン

 これがサッカー。そんな感じだった。優勝の行方を占うと思われた一戦は、実に見応えのあるゲームとなった。

 会場はベルリンのオリンピック・スタジアム。ここはサッカー専用ではないためにピッチとスタンドの間に距離がある。また、スタンドもピッチをグルッと囲んでいない(一部切れている)ため、音は外へ抜ける。ミュンヘンに比べてサポーターの声の圧力は低いのは、アウェイのアルゼンチンにとっては好材料だ。

 試合前の両チームの表情はいつになく硬い。特に、リケルメの表情が気になる。驚いたのはアルゼンチンのスタメン。フォワードにサヴィオラでなくテヴェスを、中盤ではカンビアッソでなくルイス・ゴンザレスを、そして右サイドバックにはコロッチーニを入れてきた。ドイツはほぼベストメンバー。

 試合は予想に反して静かに始まったが、その原因はドイツにあった。今までの勢いがなく、いつになくナーバス。アルゼンチンは人数をかけずに中盤で慎重にパスをまわしてゆく。ドイツはアルゼンチンの中盤と前線とを分断するため、バラックを下げ、フリングスとのダブルボランチを形成、ある程度ボールは持たせるもののリケルメを徹底マークし、決定的なパスを入れさせない作戦。ボールはアルゼンチンがキープするものの、有効なパスもほとんどなく、こう着状態で進んでゆく。スタメンに入った3人の動きを見てペケルマンの意図は読み取れた。それは守備力の向上。やはり今大会のドイツの勢いを脅威と感じた彼は、まずはそれを抑えることを優先したのだった。徐々にワンタッチ、ツータッチのパスが増えてアルゼンチンがペースを摑みかけてきたところで前半は終了した。

 後半に入っていきなり試合は動いた。49分、後半最初のアルゼンチンのコーナーキック。今までゴール寄り、ニアサイドへ蹴っていたリケルメが初めて外寄りに蹴った。そこにアジャラが飛び込んでヘディングでゴール。クローゼは競り負けた。今大会初めてリードを許したドイツが攻勢に出る。スタジアムはヒートアップし、ピッチ上でも一気に攻守の切り替えが激しくなった。ナイフを隠し持っての睨み合いから、ついに斬り合いが始まったのだった。

 約20分間、ドイツの攻勢は続いた。オドンコルを投入してサイド突破を仕掛けると共に、バラックもポジションを上げ、クローゼとのホットラインが動き出す。対するアルゼンチンは受けに回りながらも、カウンターでチャンスを作りつつ、強靭なフィジカルと精神力でドイツの圧力に対抗し、必死にゲームをコントロールしようとする。刺すか刺されるかの緊迫した攻防が続く。試合を大きく動かしたアクシデントが起きたのはそんな時だった。69分、アルゼンチンのキーパー、アボンダンシエリがわき腹を押さえてうずくまってしまう。5分前にコーナーキックをセーブしようと飛び出した際にクローゼと接触、膝蹴りを食らっていたのだ。安定したセービングに加え、おそらく世界一と思われる、前線への正確なフィードで「11人目のフィールドプレイヤー」として抜群の存在感を示していた彼の退場は、ペケルマンのゲームプランを大きく狂わせてしまう。トイツが勢いを増すのは明らかだった。

 ここで彼は決断を下す。不動の司令塔、リケルメを下げたのだ。確かにこの試合での彼の出来は悪かった。長くボールを持ちすぎるという悪い癖が出て、攻撃のリズムを失わせていた。特に、後半の苦しい時間帯に何度かあったカウンターのチャンスでの球離れが遅く、追加点の芽を潰していた。だから彼を下げたのは分かるが、問題は代わりに入ったのがアイマールでなくカンビアッソであったという事実だった。これはアルゼンチンが1点を守りきる「逃げ」の戦術へと明確に舵を切ったことを示していた。だが、試合はまだ20分も残っている。しかも相手は不屈の精神で向かってくるドイツ、おまけに開催国だ。この時間帯で、逆襲への武器を捨てて自陣に篭り続けるのは危険な賭けだった

 その不安は的中する。残り12分というところで、最後の交代枠を使ってクレスポを下げてまでして逃げ切り体制を固めた直後に、クローゼに同点にされてしまう。采配ミスは明らかだったが、もうアルゼンチンに打てる手は残ってはいなかった。メキシコ戦に続く延長戦。激しい消耗の中、後半の残り10分と延長戦の30分の間、ドイツの得点を許さなかったのは、紛れも無いアルゼンチンのプライドであり、勝利への執念だった。もしクレスポに代えてメッシを入れていたら、前線でのキープも出来たろうし、カウンターから十分得点のチャンスもあったろう。だが結局、予想外の負傷交代とペケルマンの弱気が試合を分けた。最後のピッチには、リケルメも、クレスポも、サヴィオラも、メッシもいなかったのだった。

b0047859_3342538.jpg

*(追記)この試合、世界で一番有名なサポーターであるマラドーナがテレビに映らないな、
 と思ってみていたら、なんと、入場を拒否されていたらしい(笑)。最後までネタを提供して
 くれたわれらがマラドーナ。ホント、憎めないんだよな。

イタリア 3-0 ウクライナ

 アルゼンチン敗戦の余りのショックに、ゲームは見ていたものの、正直、あまり身が入りませんでした。ですが、イタリアの試合巧者ぶりばかりが目立った試合でしたね。中盤の選手たちによるゲームコントロールが完璧で、2点目が決まるまでのウクライナのチャンスも、カンナバーロやザンブロッタ、ブッフォンの鉄壁の守備を一層引き立てるばかりでした。それにしても、トニのゴールは大きい。組み合わせに恵まれているのは間違いないですが、この感じは間違いなくイタリアに流れが来ていますね。試合後の各選手のコメントなどを聞いても、母国の現状が彼らを奮い立たせている様子が伝わってきます。ドイツが延長戦を戦い、バラックやクローゼが負傷していることを考えると、イタリアは優位に立ったと言えるでしょう。アルゼンチンの予想といい、やっぱり勝敗の予想は難しいです。
[PR]
# by redhills | 2006-07-02 00:01 | サッカー

●予シュー復シューその2 予シュー編

 では続いて、今後の展望へ。

●まず準々決勝ですが、いきなり大注目のドイツとアルゼンチンの決戦です。

 前評判は高くなかったドイツですが、開幕戦に快勝して流れをつかみ、ポーランドに苦しみながらも劇的な勝利を手にしたことで国民的な支持も得、3戦目でクローゼ、ポドルスキの両FWが絶好調となるに及んで、一気に優勝候補へと変貌しました。開催国の強みもあり、勢いは8チームの中でダントツです。アルゼンチンの壁を破ればほぼ間違いなく、決勝へと駒を進めるでしょう。若いチームでもあり、試合を経るごとに成長を見せていることも好材料です。

 ですが、私は現時点での両チームの優劣はほぼ互角だと思っています。チームとしての完成度、戦術の優劣、控えも含めた個人の技能、経験などを勘案すれば、実力は明らかにアルゼンチンの方が上です。今はそれを、ドイツチーム内部のものすごい勢いと、開催国のメリットが埋めているわけです。第3国で試合をしたら間違いなくアルゼンチンが勝つでしょう。ですが、そういう仮定は無意味です。今晩の試合がどうなるのかが問題です。

 忘れてはいけない重要なことがあります。今大会、ドイツは4試合中3試合で、試合開始すぐに先制している、ということです。ホームチームの利をフルに活かしていち早く得点して優位に立ち、相手を追い詰める。エクアドル戦でも書きましたが、このチームは先制するとすごく勢いが出ます。逆に、それが出来なかったポーランド戦は大苦戦しました。それともう一つ、スペインを見ていても分かるとおり、まだ本当の強豪国(ディフェンスが強い国)と対戦していない以上、その攻撃力が優勝できるほどのものであるかは疑問なのです。つまり、試合が始まってから10分の間に得点できなかった場合、ドイツは一気に劣勢に立たされる可能性が非常に高いのです。

 以上のことから考えて、アルゼンチンはまず、決して攻撃に人数を割かずに全力で守りを固めてくると予想します。そして、逆にドイツは、あのサポーターの凄まじい声の後押しを背に、怒涛のように攻め込んで点を取りに来るに違いありません。この10分間の攻防が試合を大きく左右すると思います。

 私は、アルゼンチンには、ドイツの猛攻を凌ぐ力は十分にあると思っています。2人のFWは、アジャラとエインセを突破できないと思います。そして彼らへパスを供給するバラックは、マスチェラーノがガッチリとマークするでしょう。90分間はともかく、最初の10分は絶対に目を離すな、とペケルマンが明確な指示を出せば、彼ら3人を抑えることはそう難しいとは思えません。スタジアムの歓声も、幾多の経験を積んでいるアルゼンチンの選手たちには然程のストレスにはならないでしょう(ブラジルでの南米予選を想像してみてください)。

 もし、前半10分間無得点でゲームが進んだ場合、アルゼンチンの勝機はグッと増します。序盤の入りを慎重にこなした後、彼らは徐々に攻勢に出てくるでしょう。中盤とボールはアルゼンチンが支配することでしょう。ドイツのディフェンスの成否は次の一点、リケルメをボランチのフリングスが抑えられるかにかかっています。ですが、1人のマークで彼を完全に抑えることはおそらく不可能でしょう。加えてドイツのセンターバックは、クレスポとサヴィオラの巧さとスピードに対抗できないでしょう。たとえ抑えることができたとしても、後半投入されるであろう、テヴェスとメッシのスピードについていける敏捷性はありません。ファウルが急増し、最悪PK、でなくても、危険地域でのセットプレーからの失点の確率は高いと見ます。とにかく最初の10分、ここに注目です。私は、この一戦に勝った方が優勝すると思います。

●続いて、イタリアとウクライナ

 こちらは余程の番狂わせが無い限り、イタリアが勝つでしょう。いくらシェバといえども、1人でイタリアの堅守は破れません。もう1人のFWであるボロニンが負傷欠場というのも痛い。イタリアは、裁判が始まったカルチョスキャンダルや、元代表選手の自殺未遂事件など内的に深刻な問題を抱えており、それがどう影響を与えるのか予断を許しません。ですので、勝ったとしても、準決勝ではドイツ、アルゼンチンどちらと戦っても敗退すると思います。

●次は、イングランド対ポルトガルです。

 デコさえいれば、ポルトガルの勝率は80%を超えていたでしょう。しかし、彼は累積警告で出場停止です。デコがいないことで、勝敗の行方は五分五分と見ます。攻守の要のいないポルトガルがどう戦うのか。名将、フェリペ・スコラリの腕の見せ所でしょう。イングランドは今までの4試合、攻撃にまったくいいところがありません。ベッカムの個人技と堅守で勝ち上がってきた状態です。ポルトガルに勝つには、未だ万全の状態でないルーニーのゴールが必要です。ポルトガルは、フィーゴがゲームメイクをするらしいですが、オランダ戦で負傷退場したクリスチアーノ・ロナウドがどの程度のコンディションで試合に出れるのかで、攻撃の鋭さがまるで変わってくるでしょう。以上、両チームとも不確定要素の多い一戦で勝敗の予想は難しいです。

●最後はブラジル対フランスの新旧王者対決です。

 この一戦も大変に注目です。何せ、フランス大会決勝の再現であり、ジダンの引退試合になるかもしれないからです。

 決勝トーナメントに入って、ようやくエンジンがかかってきたセレソン。ですが、まだまだ見せているのはその実力の6、7割程度。決勝にピークを合わせようという、小憎らしいまでの勝ち上がりぶりは、真の王者にふさわしい。こういう余裕のある戦いが出来るのも、いつになく充実している後方の6人と1人によるところが大きいです。史上最強の呼び声は、4人の魔法使い故ではないのです。これでロナウジーニョが本気を出したらどうなるのでしょう。見てみたいような、見たくないような。次元の違うサッカーが展開されることでしょう。

 問題はむしろ、フランスがどう戦うか、にあるでしょう。スペイン戦でのジダンの復活は本当に感動的でしたが、2試合続けてあのようなパフォーマンスができるのかは分かりません。彼の中で最後の炎が燃え尽きたときが、フランスの負ける時でしょう。ですが彼のコメントを聞く限りでは、まだその時ではないように思います。

 フランスの戦い方はおそらくこうなるのではないでしょうか。いかなフランスといえど、テクニックでブラジルを凌駕することは想定しにくい。ですから、ロナウドとアドリアーノの飛び出しを警戒してラインを上げず、ある程度中盤のプレスを弱くしてブラジルにボールを持たせてからのカウンターサッカーを目指すのではないでしょうか。中盤でブラジルが手詰まりになった瞬間、ビエラとマケレレがカカやロナウジーニョからボールを奪取し、ジダンへパス。その脇をリベリーとマルーダが攻め上がる。そして、彼が一瞬きらめきでゼ・ロベルトとエメルソンの防御網を切り裂くパスを前線のアンリに出せたとき、フランスに勝機が生まれます。少ない勝機をフランスが活かせるかどうか。大活躍をしてきたボランチの2人がどこまで頑張れるか。先制できればブラジルは大いに苦戦することでしょう。そしてそのとき、本当のセレソンが姿を現すことでしょう

 準決勝のもう一戦は、イングランドが勝ちあがれば、ブラジル、フランスどちらでも勝った方が決勝へと進むでしょう。ポルトガルが勝ちあがってきた場合は、ものすごい名勝負になると思います。ブラジルとポルトガルはほぼ互角、やや落ちてフランスの順に可能性があると思います。

優勝は?

 ずばり、対戦カードは、アルゼンチン対ブラジルと予想します(希望もかなり含まれてますが)。主力選手の負傷や出場停止がないという仮定の上ですが、両チームはほぼ互角ではないでしょうか。今大会での試合振りからすればアルゼンチンに微かに分がありそうですが、100%のブラジルを抑えられるのかはやってみなければ分かりません。それに、あと3試合をベストコンディションで通すことも難しいでしょう。ディフェンスでベストメンバーが組めない事態となれば、やはりブラジルは強いでしょう。しかし、世界で唯一、ブラジルに対抗できる地力を持つ国であると自負し、ブラジルが相手となると実力以上の力を発揮するのがアルゼンチンです。大熱戦になること間違いなしでしょう。

 もしアルゼンチン対ブラジルの決勝戦となれば、1958年のスウェーデン大会以来の、ヨーロッパ大会での南米チームの優勝となると同時に、今までなぜ無かったのかが7不思議とされていた、ワールドカップでの両国の対戦が史上初めて実現することとなるのです。これを夢の対決と言わずして何というのでしょう。ポルトガル対アルゼンチンも見てみたいですが、やはりその魅力にはかないません。

 いずれにせよ、これからの試合はすべて、見逃すことの絶対できないものになることは間違いありません。今からとても楽しみです。
[PR]
# by redhills | 2006-06-30 15:29 | サッカー

●予シュー復シューその1 復シュー編

 さてさて、ワールドカップもベスト8が出揃い、残すところあと8試合となりました。2日間のインターバルを利用して、今大会のこれまでの印象やこれからの展望など書いてみようと思います。日本については後日考えてみようと思いますので、あえて触れません。

 全体的な印象ですが、前にも書きましたけど、今大会は番狂わせが少なく、強豪国が順当に勝ち進みました。ベスト8に入った8カ国のうち、初出場のウクライナと準優勝が最高であるポルトガルを除く6カ国はいずれも優勝経験国です。つまり、過去にワールドカップ優勝を経験している7カ国のうちの6カ国が順当に勝ち進んだ、ということです(ちなみに、残る1カ国はウルグアイです)。驚きが少ないとも言えますが、強豪国の調整が順調にいった、とも言えます。自分的には、ベスト16に日本とチェコが入っていれば文句無かったですが、それは贅沢ってもんでしょうね。

 あとこれも前に書きましたが、世代交代が激しく進んでいる印象が強いのも特徴です。シュバインシュタイガー、ポドルスキ、ラーム(ドイツ)、ルーニー(イングランド)、テヴェス、メッシ(アルゼンチン)、エブウェ(コートジボワール)、ロッベン、ファン・ペルシ(オランダ)、ロナウド(ポルトガル)、エッシェン、ムンタリ、ギャン(ガーナ)、リベリ(フランス)、バルネッタ、センデロス、デゲン(スイス)、アデバヨル(トーゴ)、トーレス、セスク、セルヒオ・ラモス(スペイン)、などなど、各国期待の若いプレイヤーが期待通りの活躍を見せてくれています。世代交代に失敗した国(チェコ、日本、セルビア・モンテネグロ)の敗退は必然だったかも。

 審判のジャッジについては言いたいことありますけど、愚痴っぽくなるのでやめときます。

 続いて個別の試合やチーム、プレイの感想など。

 グループリーグでいえば、やっぱりアルゼンチン対セルビア・モンテネグロの試合が一番印象が強烈でしたね。試合のレベルが高くて白熱したということでは、アルゼンチン対コートジボワールかな。死闘、っていう意味では、イタリア対アメリカ、チェコ対ガーナ。スイス対韓国も面白かった。やっぱり、混戦になったグループの試合は見ごたえがある。エクアドルとスイスのチームとしてのまとまりも素晴らしかったし、ウクライナの勝利は感動的でした。ヒディンク(オーストラリア)やアドフォカート(韓国)、クーン(スイス)らの采配も見事でした。

 ベスト16の8試合の中ではメキシコの強さ、イタリアのしぶとさが印象的でしたね。感動的だったのはやっぱりフランスの頑張り。それにしても、スペイン…(笑)。あっさり負けちゃいました。やっぱり期待しないで良かった(?)。グループリーグでの戦いぶりってそんなにアテになるもんじゃないんだよね。いいサッカーすれば、当然、対策練られるわけだし。ワールドカップの7試合を勝ち抜くには、その上でさらに上のパフォーマンスをしなきゃならない。チュニジア戦でその兆しはあったんだけど、やっぱり調子を上げてきたシード国の強力なボランチ(つまりマケレレとヴィエラ)には通用しませんでしたな。大体、ラウルをトップ下に起用してもまったく脅威にならない。トーレスが抑えられて楔のパスが入らないのを確認した時点で、サイド攻撃(レジェスとホアキンの投入)をもっと早く選択するべきだった。でも何より、フランスの、というよりジダンの、勝利への気迫に押されちゃってましたね。残念ながらラウルにはそれが無かった。その差じゃないでしょうか。

 ま、内容以前に、「フランス?ははは、楽勝じゃん」って調子に乗ったスペインサポーターが、ラ・マルセイエーズの流れる中でブーイングしたのには心底呆れましたが。アンリなんか、あれで闘志に火が付いたって言ってるし。スペイン人、ホントにああいうところ直したほうがいいよ。勝てないわけだよ。

 なんかスペインにスペース使いすぎました(笑)。その他に触れておきたいチームはメキシコですね。アルゼンチンなんて難敵に当らなきゃベスト8に進めたと思います。はっきり言って、イングランドなんかよりも遥かに素晴らしいサッカーしてました。エクアドルと並んで、敗退が残念なチームでした。

 ベストゴールですけど、やっぱりアルゼンチンの24本のパスからのカンビアッソの一発ですね、今のところ。あと、個人のテクニックのすごさ、ということで言えば、デコのイラン戦での一発。あれは何度見ても鳥肌もの。それに次ぐのが、スウェーデン戦のジョー・コール(イングランド)と、メキシコ戦のロドリゲス(アルゼンチン)の2本のミドル。ミドルシュートの得点に関しては、報道によるとやはりボールが影響しているらしいですが、本当のところどうなんでしょう。

 それから、今大会はゴール数が少ないらしいですが、決定力に問題ありというより、ディフェンスが堅いという方が正しい表現なのかもしれません。ベスト8に残っている中でも、アルゼンチンのアジャラとエインセのCBとボランチであるマスチェラーノのトリオや、フランスの2人のボランチ、イタリアのカンナバーロとガットゥーゾ(もしくは全員)、イングランドのテリーとファーディナンドのCBコンビ、ブラジルのゼ・ロベルトとエメルソンのボランチコンビなど、素晴らしいパフォーマンスを披露しています。攻撃だけでなく、守備でも最高のプレーが見られるのが嬉しいところです。

 特にアルゼンチンの2人のCBのプレーは特筆すべきだし、日本にとっても参考になるはず。彼らは2人とも身長は177、8センチしかないのに、自分たちより遥かに体格に優れた世界中のストライカーたちを見事に抑えてしまう。メキシコだってマルケス以外はみんな180センチ以下だけど、戦いぶりはまったく見劣りしない。イタリアの主将であるカンナバーロは、何と175センチしかないんです。体格では日本人と変わらない(ちなみに宮本は176センチ)。ワールドカップでは、日本の守備の良いお手本も見られるわけで、これも楽しみの一つなのです。
[PR]
# by redhills | 2006-06-29 22:51 | サッカー

●輝き、ふたたび(W杯19日目)

 決勝トーナメント1回戦の4日目。これでベスト8が出揃った。ブラジル対ガーナは、開始早々のロナウドのワールドカップ新記録となる通算15点目のゴールで優位に立ったブラジルがガーナの鋭い攻撃を抑え、3-0と快勝、ワールドカップでの連勝を11に伸ばすと共にベスト8へと駒を進めた。ヨーロッパ強豪同士であるフランス対スペインの一戦は、往年を思わせるジダンの活躍でフランスが逆転勝ちを収めた。この結果、準々決勝でブラジルとフランスの新旧王者が対決することとなった。

ブラジル 3-0 ガーナ

 雄々しく立ち向かった若き勇者だったが、鎧袖一触(がいしゅういっしょく)に終わった。

 注目の一戦。アフリカサッカーの中でも伸び盛りの有望株であるガーナが、王者ブラジルをどこまで追い詰めるのか。グループリーグからギアを入れ替えてくるであろうブラジルが、どんなパフォーマンスを見せるのか。今大会の優勝を占う上でも、サッカーの未来を考える上でも興味深い対決だった。例によってブラジルは1~11がズラリと並んだベストメンバー。ガーナはエッシェンが出場停止なのが残念だが、控えといえどもその潜在能力は侮れない。

 試合は当然、まずは挑戦者ガーナが押しまくるだろうと思っていたが、ブラジルの戦いぶりはしたたかだった。開始5分、最初の攻撃で、高く引いたガーナ最終ラインの裏に絶妙のタイミングでロナウドが飛び出してゴール。彼らの感情の昂ぶりを見透かしたかのような先制パンチだった。

 これで優位に立ったブラジルは、ガーナの怒涛の攻撃をガッチリ受け止める。守りを固める王者の姿にブーイングが起き、スタジアムにガーナコールが巻き起こる。その声援もバックに激しく攻め立てるブラックスターズ。ボールを支配し、繰り返し鋭いパスやドリブルでペナルティーエリアへと侵入する。だが、どうしてもゴールが奪えない。益々前がかりになるガーナ。まずいな、と思っていたら案の定、前半ロスタイムに絵に描いたような速攻を再度食らって2-0に。セレソンはいざとなれば、アズーリにもなれるのだということを見せられてしまう。

 後半。挑戦者の気持ちを胸に王者に立ち向かい続けたガーナだったが、61分にアドリアーノを下げてトリプルボランチを置き、中盤の守りを固めたブラジルの砦が陥落することはなかった。

 ガーナのサッカーを見ていて感じたことをいくつか。まず、中央突破にこだわりすぎ。早いパス交換でしきりにセンターバックの間を抜こうとしていたが、余りに見え見え。あれだけのスピードがあるのだから、サイド攻撃を絡めればはるかに効果的だったろう。特に後半、ブラジルが明らかに中央付近の守備を固めてきているのに一向に攻撃パターンを変えようとしなかったのは、戦術眼という点でも疑問が残った。自分たちの能力に自信を持つのは良いことだが、ゴールに到達するために、時には回り道も必要だということを学ぶ必要があるのではないか。

 プレー選択という点では、パスやセンタリングが有効という時に何度もミドルシュートを撃っていたのも気になった。あれはかなりブラジルを助けていたろう。それから、ゴールに近づいた時に顕著なのだが、詰めに際して無駄な手数が多い。決定力も低すぎる。そして、実は前からずっと気になっていたのが、プレーが荒いということ。汚いファウルが多い。今日もシミュレーションを取られていた。エッシェンに出場停止が多いのもラフプレーが多いから。この点は是非改めて欲しい。結論としては、ブラジルを始めとする強豪国と惜しい戦いはするが、あと一歩(その一歩がとてつもなく遠いのだが)手が届かないというアフリカサッカーの問題点はまだ克服されてはいなかった。

 逆にブラジルは、ゴールの取り方の無駄の無さ、正確さ、抜け目無さが際立った。勝負どころを見極めた時の、怒涛の攻め上がりと絶妙なパス、そして決定力はさすが。ただ、ブラジルの今日の戦い振りも、決して求めていたものではなかった。ロナウドのコンディションは着実に上がってきているものの、華麗なメロディーは今日も奏でられることは無かった。ロナウジーニョの復調こそが残されたピースだろう

スペイン 1-3 フランス

 いや、びっくりした。スイス戦の際に「もうジダンは終わった」と書いたのを後悔した。それくらい、今日のジダンは良かった。全盛期というわけにはいかないが、精力的に攻守に貢献し、最後まで集中力が落ちなかった。中8日という時間が肉体を回復させたと同時に、眠っていた勝利への飢餓感をも高めたのではないだろうか。

 前の試合でジダン無しに機能した布陣をどうするのか注目が集まったが、ドメネクの出した結論は、従来通りのアンリの1トップだった。スイス戦、韓国戦では、攻撃をスローダウンさせ、アンリのスピードを殺す原因となっていたジダンが、今日は見違えるようにスピーディーな動きとパス出しでリズムを作る。そしてそれに誘われるかのように、脇を固めるリベリーとマルーダが動き回り、ビエラが積極的に前線に飛び出して攻撃に絡んでゆく。予想外(?)のフランスの動きの良さに、スペインは自慢のパスがなかなか前線へと渡らない。中盤ではマケレレが利いている。トーレスはテュラムが仕事をさせない。フランス優勢で試合が進んでいく。

 ところが、ペナルティーエリアでテュラムがパブロを倒してしまい、PKで1点献上。スペインがリードを奪う。だが、今日のフランスはリードされてもまったくあわてるところが無くリズムの良い攻撃を繰り返す。何度も何度もアンリがラインの裏を取ろうと飛び出す。オフサイドにかかるものの、間一髪の駆け引きが続く。そしてついに、この一見無駄に思える動きが実を結ぶ。41分、アンリに気を取られたところを、2列目からリベリーがフリーで飛び出し、同点に。前半終了間際のこの一発はフランスを大いに元気付けた。

 後半になっても、フランスのライン裏を狙う攻撃は繰り返される。スペインはボール支配率では上回るものの、有効なパスを出すことが出来ず、手詰まりになってゆく。アラゴネスは、ホアキンやルイスガルシアを投入して突破を図る。スペインのリズムが変わりゴールに近づくものの、やはり最終ラインを突破できない。一方フランスもリベリーが再三右サイドを突破する。一進一退の攻防が続く。

 さすがにフランスの運動量も落ち、最終ラインの前のスペースが空きだした頃、ずっとラインの攻防を繰り返していたアンリとプジョルが競り合って倒れ、プジョルに警告が出される。スペイン陣内右45度でのフリーキック。ジダンの右足から放たれたボールはシャビ・アロンソにクリアされるも、そのままファーサイドにいたビエラのもとへ飛んでいく。そして、その頭から弾かれたボールは、カバーに入ったセルヒオラモスの膝に当ってコースが変わり、カシージャスの手をすり抜けてスペインゴールへと吸い込まれた。残り7分での逆転。喜びを爆発させるレ・ブルー。

 今や完全に一体となったレ・ブルーは、追い詰められたスペインの攻撃を全員守備で防いでゆく。そしてロスタイム。サッカーの神が彼にギフトをくれた。シャビ・アロンソのボールを自ら奪ったジダンが前に走り出す。そこへ、ボールが渡る。迫るプジョルを最後の力を振り絞っての切返しで振り切ってのシュートがゴールネットを揺らした。ジダンの輝きがフランスを勝利へと導いた。

 奇跡の復活でスペインを下したフランス。負けた瞬間にジダンの引退となる次の相手は王者ブラジル。舞台と相手に不足はない。スペインはフランスの強力な守備を最後まで崩すことが出来なかった。早いパス回しが封じられ、フィジカル勝負に持ち込まれてしまった。プジョル、シャビ、イニエスタはお疲れさまでした。
[PR]
# by redhills | 2006-06-28 08:27 | サッカー

●絆が呼んだ勝利(W杯18日目)

 決勝トーナメント3日目。イタリア対オーストラリアは、退場者を出して1人少なくなったイタリアが伝統の堅守でオーストラリアの攻勢を凌ぎ、後半ロスタイムで得たPKをトッティが決めるという、劇的な勝利でベスト8を決めた。スイス対ウクライナは、延長戦でも勝負が付かず、0-0のままPK戦へと持ち込まれた結果、ウクライナが3-0で勝利し、初出場での準々決勝進出を果たした。スイスは無失点のまま大会を去ることとなった。

イタリア 1-0 オーストラリア

 激闘のE組を突破したイタリア。今大会のアズーリは攻撃力の高いチームだという評判だったけど、やっぱりアズーリはアズーリだった。そんな、いかにもイタリアらしい、「チャオ~」って感じの鮮やかな勝ち方だった。オーストラリアはとても負けた気がしないだろう。

 マルチェロ・リッピは初めてトッティをはずし、デル・ピエロを先発に使った。国内でも今ひとつのプレーぶりが批判されている王子様はベンチからのスタート。4-3-3という、新生アズーリ自慢の攻撃的布陣でオーストラリアゴールを狙う。相手は前回大会、韓国を率いていたヒディンク監督のオーストラリア。そう、アズーリ達にとって、決して忘れることの出来ないあの日の雪辱をするときがやってきたのだ。まずは軽快に攻撃に守備にと動き回るアズーリ。トニのポストプレーから決定的なチャンスを掴むが、オーストラリアも持ち前のハードな守備で対抗、得点を許さず、緊張感漂う締まった攻防のなか前半終了。

 後半。積極的なリッピは早くもジラルディーノを諦め、イアキンタを投入するが、チェコ戦のヒーロー、マテラッツィの一発退場という事故が5分後に起きてしまい、状況は一変する。トニを下げざるを得なくなり、ほぼ、イアキンタの1トップ状態に。だが、ここからアズーリのDNAが働き出す。カンナバーロが超人的な強靭さでヴィドゥカら屈強なアタッカーを抑え込む。ガットゥーゾやペロッタが中盤を所狭しと駆け回り、体を張ってラストパスを入れさせない。攻め込まれても最後の一線は許さない。球際での集中力が、ゴール付近になると格段に増す。「守る」となったらやはり世界一かもしれない。相手が1人減るという事態は、ヒディンクにとっても余り歓迎できることではなかったかもしれない。

 しっかり守って、ボールを取ると2人、3人でゴールに迫るカウンターも体に染み付いているかのように無駄がない。そして、守備も決して深追いはせず、非常に効率的。ほぼ40分間、エネルギー浪費を最小限にする形できっちりと凌いでゆく。ジリジリと過ぎてゆく時間。こう着状態の試合展開。当然、延長戦が視野に入ってくる。それに、まだ1人の交代もしていないオーストラリアがいつパワープレイを仕掛けてくるのか。ベンチの読み合いとなる。ところが、意外にも動いたのはリッピの方だった。75分、最後のカードを切り、トッティをピッチへと送り出したのだ。揺るぎ無い選手への信頼がなければ、このタイミングで、この交代はできなかったろう。逆にヒディンクは後半終盤まで交代をためらってしまう。結局、この采配の差が勝敗を分けたような気がする。

 後半ロスタイム。左サイドバックのグロッソが必死に駆け上がり、ロングパスに追いつくと、中へと切れ込む。1人目のタックルをよろめきながらもかわしてペナルティーエリアへと侵入、2人目のスライディングタックルについに倒れる。土壇場で掴んだPK。バッタリ倒れたグロッソのもとに駆け寄るアズーリ達。ロスタイム目安の3分まであと15秒だった。

 盛り上がるスタジアム。ペナルティースポットにボールを置いたのはもちろん、あの男。そう、フランチェスコ・トッティ。無念の退場から4年。高まる思いもあったかもしれないが、彼の表情はあくまでも集中していた。ものすごい重圧だったろうが、すばらしいシュートがゴールネットを揺さぶる。そして直後に試合終了。まさに劇的な勝利だった。チームメイトらの祝福にもまったく表情を変えない彼に、精神的な成長を見た。

スイス 0-0(0PK3) ウクライナ

 52年ぶりのベスト8を目指すスイスと、初出場でグループリーグを突破したウクライナ。発展途上の2カ国の戦いは、激しい中にも青々とした清々(すがすが)しさを感じさせる、クリーンで見ごたえのある一戦となった。

 反町解説でも言っていたけど、ラフプレーがまったくなく、ファウルも極端に少ない。かといって手を抜いているのでは決してなく、双方、チーム戦術を忠実に実行し、攻守に渡って洗練されたプレーが展開された。2日前に試合をしたばかりなのにも関わらず、集中力が途切れず、特にディフェンスにおいて好プレーが見られた。リスクを犯さない堅実な戦いぶりで、延長を含めた120分間、ほぼ互角の内容だった。

 勝敗の行方はPK戦に託されたが、もうそこからはある意味時の運。両チームとも健闘したと思う。勝ったウクライナはもう失うものは何も無い。イタリアに全力でぶつかっていけるだろう。負けたスイスも、若い芽の成長は今後へ向けての大きな楽しみだろう。2年後のヨーロッパ選手権主催国として、更なる飛躍への確かな足がかりを掴んだ大会だったと言えるだろう。
[PR]
# by redhills | 2006-06-27 11:57 | サッカー

●ひどい試合(W杯17日目)

 決勝トーナメント2日目。イングランドは苦戦しつつも、ベッカムのフリーキックによる1点を守りきり、難敵エクアドルに勝利、ベスト8進出を決めた。ヨーロッパ強豪同士の激突となったポルトガル対オランダは4人の退場者を出す乱戦となったが、デコ、C.ロナウドを失いながらも、前半にあげた1点を死守したポルトガルが40年ぶりの準々決勝進出を果たした。

エクアドル 0-1 イングランド

 我慢強くイングランドを見てきたけど、さすがにもう見放した。何の面白みもない、美しさもない、哲学も思想もない球の蹴りあいはもう沢山だなあ、正直。初めてクラウチを下げてルーニーのワントップの4-5-1システムを採ったけど、やってることは一向に変わり映えしない。ルーニーに放り込んで、それっ、てみんなで後から押し寄せるサッカー。あとは後ろからのドッカンドッカンのミドルシュート。いいようにエクアドルにあしらわれ、コントロールされてた。堅いと評判のディフェンスも、前半10分のテリーのあのミス見てたらとてもそんなこと言えないね。ホント、あれA.コールが必死で足を出してなかったら完全に1点だった。そんでそのままエクアドルが勝ってたよ。それからランパードもめちゃめちゃ調子悪い。シュートが全然枠に行かない。

 例によってイングランドの1点は、ベッカム様のフリーキックでした。確かにあなたは、止まった球を蹴らせたら間違いなく世界一。でも、あなたが代表に入って以来、スリーライオンズ(イングランドチームのニックネーム)は、放り込みサッカーになっちゃってる。プレミアリーグは今や世界最高と言われているのに、どうしてこんなサッカーになっちゃうのかね。あ、でも違うか。放り込みはイングランドサッカーの伝統だったっけ。そろそろ母国にご帰国くださいな。エクアドルは立派に胸張って帰ってください。

ポルトガル 1-0 オランダ

 ハイレベルな攻撃がウリの強豪同士の激突。さぞや素晴らしい試合が展開されるかと思いきや、前の試合とは別な意味でヒドイ試合となりました。バルセロニスタとしては、デコ、ジオ、ボメルなんかが気になりましたが、彼らには不幸な結末が待っておりました。

 この試合、オランダは不調のニステルローイを使わず、カイトをセンターフォワードに起用。ポルトガルはほぼベストメンバー。試合はオランダが攻め込むものの、最大の武器であるロッベンの突破が、マッチアップしたミゲルにほぼ完璧に止められてしまったのが痛かった。逆にポルトガルは、デコ、フィーゴ、パウレタ、ロナウドの4人が若いオランダディフェンダー陣を翻弄、22分にマニシェの攻撃参加できっちり先制点をあげ、苦しい時間帯はあったものの、終始ゲームをコントロールした。チームとしての成熟度の違い、選手個々の大人度の違いが出てしまったような気がする(もちろん、オランダにもコクやファン・デル・サールなどのベテランはいたけれど)。

 でもまあそんなことより、この試合の主役は誰が見てもあの審判でしたね。ポルトガル9枚、オランダ7枚のイエローカード。退場者が4人。

 確かにラフプレーはありました。ありましたけど、それを上手くコントロールして落ち着かせるのもレフェリーの大事な役目でしょ。それを、まあ、次々とイエロー出すもんだから、選手がエキサイトしてますますプレーが荒くなるという悪循環。なんかプロレスのレフェリーみたいだった。特にデコへの1枚目のイエローは酷かった。あれは、ボールをポルトガルに返さなかったヘイティンガが絶対悪い!!あいつ、一体どういうつもりだ!棒立ちのポルトガル陣内にドリブルで攻め込むなんて、あり得ないことだよ。ああ、次の試合でデコが見られないなんて、ホントに気分悪くなってきた。まあ、イングランド相手なら、デコ無しくらいのハンデでちょうどいいか。

 最後にはジオまで退場になって、デコと二人で仲良く座って試合見てたシーンが一番和んだ試合でした。

b0047859_22394398.jpg

[PR]
# by redhills | 2006-06-26 20:40 | サッカー

●ドイツ人の声のバカでかさと個の力(W杯16日目)

 今日からいよいよ決勝トーナメント。初戦のドイツ対スウェーデンは、序盤に2点を挙げたドイツが危なげなく逃げ切り快勝。準々決勝一番乗りを果たした。ドイツへの挑戦権を賭けたアルゼンチン対メキシコは、前半6分、10分にそれぞれ点を取り合ったまま両者譲らず今大会初めての延長戦に突入、延長前半8分のロドリゲスのミドルシュートが決勝点となり、アルゼンチンがベスト8へと駒を進めた。メキシコはまたしてもベスト16の壁を破れなかった。

ドイツ 2-0 スウェーデン

 それにしてもドイツ人の声はデカイ。ミュンヘンのアリアンツアリーナを埋めた6万6千人のうち5万人はドイツ人だったろうと勝手に想像しているが、試合開始時の彼らの腹が搾り出す声のパワーは、今まで見たどの試合よりも勝っていたように感じた。その後押しなのかは判然としないが、あっという間にドイツが2点を入れてしまう。どちらもクローゼのお膳立てをポドルスキがいただいたというパターンだった。

 いや冗談でなく、スウェーデンの選手たちは間違いなく、スタジアムの雰囲気に呑まれていた。とにかくボールへの寄せが遅い。そこへもって、今日のクローゼの玉際でのキレは抜群で、一瞬でディフェンダーを置き去りにしてしまう。開始4分でそれが炸裂したものだから、兎に角奴は危険だと、2、3人が彼に引き付けられてしまったところを、今度はスッとドリブルと逆方向に横パスを出されてしまったのが8分後の2点目。狐につままれたような表情のスウェーデンベンチ。津波のような大歓声がすべてを飲み込んでしまい、何も聞こえない。戦術もシステムもへったくれもない。ドイツ人の声とクローゼのスピードにあっという間にやられてしまった。不幸にも天災に遭ってしまった、青い服の11人がそこにいた。

 ドイツ人の声はなおも彼らを責めたて続ける。かわいそうに、混乱してパニックに陥ったディフェンダー、ルチッチがたったの35分で2枚のイエローカードを食らって退場。スウェーデンは残り55分で最低2点を取らないといけない状況に陥る。ようやくこの試合に間に合ったイブラヒモビッチが個人技でゴールを脅したところで前半終了。

 そして後半開始早々、スウェーデンにPKという幸運が訪れる。キッカーのラーション目がけて、ドイツ人の声が容赦なく浴びせられる。明らかに緊張している表情なのに、ここで今度は身内が邪魔をする。メンバー交代で流れる微妙な時間。ベンチ、空気読め!そうラーションは心の中で叫んだろう。案の定、蹴ったボールはクロスバーの上空を飛んでいった。それから後、二度とスウェーデンに幸運が訪れることはなかった。ドイツ人の声の中でプレーをするには相当の精神力が必要だ。これが開催国の神通力なのか。

アルゼンチン 2-1(延長1-0) メキシコ

 いやー、アルゼンチン、薄氷の勝利でした。グループリーグの戦いぶりから見て、アルゼンチン有利だと思っていましたが、意外な展開でした。一回見ただけではなぜこういう試合展開になったのかわからず、もう一度見てしまいました。

 第1回大会以来らしいラテン対決。パスで繋ぐというプレースタイルも似通っている。見るのはこれで4度目だが、メキシコの国歌斉唱はとても良い。国旗に向かって、選手全員が胸に右手を平行に当て、元気よく歌っている。サポーターも同じポーズで大合唱。明るく勇ましくて、見ていて楽しい。ただ、ラヴォルペ監督だけは国家が終わってからピッチに入ってきた。彼にとっては、母国との対決なのだ。ジーコといい、エリクソンといい、今大会は母国と対戦することが多いような気がする。

 試合開始。中2日しか休んでいない両国。特にメキシコは退場者を出して10人で戦っている。スタミナが心配だし仕掛けは早いだろう、との読みどおり、まずメキシコがアルゼンチン陣に攻めこんだ。復帰したボルヘッティを生かすべく、ハイボールを使って来る。ソリンの上がった左サイドでボールを奪うと、逆にそのスペースに走りこみ、ファウルをもらう。低く早いフリーキックをニアサイドのフォンセカが後ろにすらし、ボルヘッティの向こう、大外から駆け込んだマルケスがボレーを決めた。前の試合のミスを取り返す先制弾。エインセが付いていたが一瞬、動きが止まってしまった。わずか開始6分、初めてアルゼンチンがリードを奪われた。

 反町解説により、メキシコの陣形が判明。何と3バックで、マルケスはクレスポをマーク、3番のサルシドはサヴィオラを、そしてセンターバックは余らせる。中盤はボランチのパルドがリケルメをマーク、左右のグアルダードとカストロが大きく開いてサイドを突き、ボルヘッティとフォンセカの2人が前に張る、ということらしい。中盤を厚くしてラストパスを入れさせないということだけど、よっぽど1対1に自信があるんだね。

 でもさすがアルゼンチン、すかさず反撃。10分、コーナーキックからクレスポが入れてお返しして試合は振出しに。激しい中盤の争い。パスも人もスピードがすごく早い。23分、リケルメへのマークが少し緩んだ瞬間、スルーパスがクレスポへ。ループシュートがわずかに外れる。25分、ボルヘッティのミドルシュートをアボンダンシエリが横っ飛びで弾き出す。一進一退の攻防。だが、目立つのはメキシコの中盤。1つ1つのプレーの剛性が非常に高い。高速でもブレがなく、アルゼンチンはプレスがかかる前に繋がれ、早い潰しができない。リケルメへのチェックが甘いと見るや、マーカーを交代させるなど対策も怠りない。中盤でボールを持てるのでサイド攻撃も活性化、ソリンが守備に追われてまったく攻め上がれない。2トップにパスが渡らなくなり、アルゼンチンのシュートが途絶えてしまう。対照的に、メキシコは最終ラインのマルケスからの正確なロングフィードがボルヘッティに供給される。明らかなメキシコペース。そして、あせりからか、キーパーからのゴロのパスをエインセがよそ見してトラップミス。ボールを奪ったフォンセカを倒してイエローカードを食らうという、信じられないミスが出たところで前半終了。

 後半早々、再び反町解説によりアルゼンチンの対応策が判明。サヴィオラとクレスポの張る位置を左右逆にして、クレスポをマルケスから離れるようにした。カンビアッソとロドリゲスも左右逆になったが、この意図はいまひとつわからず。しかし、あまり効果が出ているようには見えない。なにせ、中盤が機能しない。横パスやバックパスが明らかに増えている。エインセが裏を取られてあわや、という場面もあったり安定しない。ところが、55分あたりから徐々にメキシコのスピードが落ちてきて、クレスポ、サヴィオラにいいパスが通るようになってくる。3日前の激闘の影響が出始めたのだ。そして左サイドを駆け上がっていたグアルダードの負傷交代により、残るカードが1枚となってしまう。決勝トーナメントは延長戦も考慮しないといけない。ここで攻めの手を打つのか。それとも、我慢するのか。

 結局、メキシコは72分にシーニャを投入し勝負に出た。再び元気を取り戻し、敵陣でボールを奪うメキシコ。すごいスタミナだ。アルゼンチンも負けじと、クレスポに代わりテベスを投入。高さを捨て、スピード勝負に出る。そして、守備的なカンビアッソを下げてアイマールを入れ、パスの基点を2つにするという策に出る。高さのメキシコが勝つか、速さのアルゼンチンが勝つか、そして、そこへパスを入れる中盤はどちらが制するか、残り15分の勝負となる。だが、更にメッシまで投入したアルゼンチンが再三の突破でチャンスを作るも、メキシコの執念のディフェンスを破れず、ついにタイムアップ。試合は延長戦に。

 3日前に試合をやって、もう限界のはずの両チーム。さすがに延長ではボールも人の動きもゆっくりとなる。そして8分、ソリンからのサイドチェンジをロドリゲスが胸でトラップ、そしてそのまま左足を振りぬくと、ボールはゴール前で急激に落ち、メキシコゴールの左サイドネットを揺らした。飛び上がるアルゼンチンの選手たち。ついにメキシコの足も止まり、守りを固めたアルゼンチンを崩す力は、もう残されてはいなかった。最後の最後に、個の力がゴールを生んだ。

 結局、ダラダラとゲームの流れを追っかけてしまったが、それはメキシコの強さを上手く表現できなかったから。もちろん、メキシコは強い。その強さは自分の想像を超えていた。テクニック、スピード、スタミナ、すばらしかった。でも、ここまでアルゼンチンの中盤を苦しめたのはなぜだろう。何となくだが、持っているリズムが同じだから?って思った。多分コパ・アメリカって、こんな雰囲気なのかな。

 さて、アルゼンチンは6日後にベルリンでドイツと当る。優勝のためには、今日のような苦しいゲームを勝ち抜くことは一つの条件。あのドイツ人の声にビビるようなヤワなハートじゃないだろうから、大丈夫だろう。今日が誕生日だったリケルメとメッシはあんまり良くなかったから、次に期待。マルケスは、ゆっくり休んで来期に備えてくださいね。
[PR]
# by redhills | 2006-06-26 13:51 | サッカー

●16強でそろう(W杯15日目)

 大会15日目。今日でグループリーグも終わり、決勝トーナメントに進出する16カ国が出揃った。グループGでは、スイスが勝ち点4で並ぶ韓国を下して1位となり、ようやく実力の片鱗を見せてトーゴを破ったフランスが韓国をかわし2位に入った。グループHでは、ウクライナが初出場でのベスト16入りを決めた。この結果、スイスはウクライナと、スペインはフランスとの対戦となった。韓国が敗退したことで、アジア勢の4カ国はすべてグループリーグで姿を消すこととなった

スペイン 1-0 サウジアラビア

 すでにグループリーグ突破を決めて余裕綽々なスペインのアラゴネス監督。なんと、先発の11人全員を入れ替えてきた。そらいくらなんでも、アホな。それにシステムも4-3-3と変えてきた。オフェンスの真ん中にラウル、左ウイングにレジェス、右にホアキン、中盤の底にアルベルダ、左にイニエスタ、右セスク、サイドバックが攻め上がって、ウイングとペアで突破する、きれいな左右対称の陣形。あれ、これってどっかで見たような…。確か青とえんじの縦じまのクラブがやってたシステムだねえ。いいんですけどね。それにしても、キーパーのカニサレスはかっこいい。

 こちらとしては、やっとイニエスタを見れるってんで、勝敗の心配もせずに楽しく見てたんですけど、前半にセットプレーから1点入れたあとがどうもいけない。後半になると、明らかに集中力が落ちて、試合はサウジのペースに。慌ててビジャとトーレス入れて、セスクから代わったシャビをボランチに下げたけど、そんなことじゃあ勢いは止まらない。最終ラインがボロボロで何度もあわや、という場面を作られちゃう。ユルユルのディフェンスに、アラゴネス爺さんも苦りきったお顔でした。ま、トーナメントに向けていい薬になったでしょ。フランスとのピレネー決戦ではいいところ見せてちょうだいよ。

ウクライナ 1-0 チュニジア

 本物のストライカーがいるってことは、本当にいいことだ。勝たねば敗退となるチュニジアが攻めてくるのを十分に予想して守りを固めたウクライナの、攻撃の最終地点はもちろん、シェフチェンコ様。当然他の選手も攻めるけれど、やっぱり最後は彼にボールが集まる。わかってるんだけど、見え見えなんだけど、それでもサイドを使ったり、サイドチェンジしたり工夫して、彼を信じて彼にボールを託し続けるウクライナ。前半ロスタイムにチュニジアの攻撃の中心であるジャジリが退場になってからは、敵陣にスペースも広がり、ますます彼の危険度が増してゆく。そしてついにPKを勝ち取り、自ら落ち着いて決めたのでした。サポーターの歓声に応えつつ、ユニフォームをたくし上げてキスをしたシェフチェンコが主役だったゲーム。ウクライナ、グループリーグ突破、おめでとう!

フランス 2-0 トーゴ

 ジダンの引退とグループリーグ敗退という土壇場で、フランスサッカーにダイナミズムが復活した。3試合目にして始めて2トップを採用、アンリのパートナーにトレゼゲが入った。彼らとトップ下のリベリーとマルーダの4人が激しくポジションチェンジを繰り返し、ボールと人が生き生きと動き回る。統率性にやや難のあるトーゴの最終ラインは前半から何度も混乱に陥り、フランスのシュートが何度となくトーゴゴールを襲った。しかし、重圧のためかフリーのシュートをリベリーらが外してしまう。圧倒的に押しながら、前半はスコアレスに終わる。

 フランス大会の決勝戦以来W杯での勝利から遠ざかっているフランスの嫌な空気を救ったのが、今日がバースデイだったヴィエラだった。後半に入ると積極的に攻撃に参加、55分、ボールを持つリベリーを追い越す猛烈なオーバーラップからパスを受け、右反転しながらの弾丸シュートでゴールすると、その6分後には、サニョルからのクロスボールに飛び込んでゴール前のアンリにヘッドでアシスト。アンリが落ち着いて決めた。スイス-韓国戦が引き分けに終わっても突破可能である2点のリードを確保すると、守りを固めて危なげなく勝利を収めた。華麗な攻撃が蘇ったのは嬉しい限りだが、問題は、ジダンが、このスピーディーで目まぐるしいオフェンスについていけるか、ではなかろうか。好調スペインとのゲームで、ドメネクの出す答えに注目だ。

スイス 2-0 韓国

 グループ突破を賭けた、まさにサバイバルの一戦。予想通り、10枚のカードが乱れ飛ぶ激しい試合となった。

 両ウイングと両ボランチが警告を受けているスイスにとって、韓国のパク・チソン、イ・チョンスの突破は脅威だったが、クーン監督は長身で強力なフリーキックを持つマニャンに代え、今大会初出場である守備の職人、シュパイヒャーを左サイドバックに起用するという秘策で、パクを抑えに来た。これが見事に当り、前半はほぼマンマークでパクを抑えこむ事に成功する。攻撃にリズムを失った韓国は徐々に守勢にまわるようになり、攻め込んだスイスは23分、フリーキックにセンデロスが頭で合わせ、先制した。マークしていたチェ・ジンチョルの187センチの頭上から190センチが舞い降りた。まるで猛禽類が獲物を捕らえるかのような、豪快な一発。この時の接触で額から血を流しながら、表情一つ変えずにいる21歳の巨漢センターバックが、なぜ名門アーセナルのゴールの番人を任されているのかを示した瞬間だった。

 このまま1-0で前半は終了するが、韓国に焦りはなかったと思われる。今大会、韓国は2試合とも先制されてから追いついている。後半に向けての戦術オプションはいくつも残されていた。想像通り、後半に入るとパク・チソンとイ・チョンスがポジションチェンジを開始、徐々に突破が見られるようになってくる。そして51分、予想外の事態が発生する。高さと強さでチョ・ジェジンのポストプレーをほぼ完璧に抑え込んでいたセンデロスの突然の負傷退場。ジュルーが入るものの、一気にゲームは流動化し始める。形勢は明らかに韓国優勢となり、ポストに入ったボールからの崩し、二次攻撃が始まる。

 そこへフランス先制の知らせ。フランスがあと1点入れたら引き分けでも敗退が決まる。韓国のアクセルが一段と踏み込まれていく。続いてフランス追加点の情報。同点でもダメ。いよいよ勝つしかなくなった韓国は、ここが攻め時と決断、ディフェンダーを削ってアン・ジョンファン、ソル・ギヒョンを投入、パワープレイを仕掛ける。左右からの突破、鋭いクロスへの飛び込み。スイスは自陣に押し込まれ、こぼれ球も拾えなくなり防戦一方に。66分、チョ・ジェジンのヘッドがスイスゴールを襲うが、キーパーが間一髪セーブ。スイスは攻めの起点であるハカン・ヤキンを下げ、全力で防戦に入る。スタジアムに響き渡るテーハミングの叫び。トーゴ、フランスに続き、スイスも失点をしてしまうのか。韓国の怒涛の攻めが続く。

 だが、76分、運命を分けるプレーが出る。カウンターを仕掛けたスイスの横パスを韓国選手がカットしたボールが、前線に張るフレイの足元へ転がった。そのとき、確かに線審の旗は上がった。一瞬、動きを止める韓国のディフェンダー、しかし、目の前で見ていた主審は笛を吹いてはいなかった。フレイはキーパーをかわして韓国ゴールへボールを流し込んだ。2-0。残り14分で3点入れなければ、敗退が決まる。あきらめずに攻め続ける韓国だったが、ついにゴールを割ることは出来なかった。アジア最後の砦、韓国が落城した。

 敗退はしたものの、韓国の展開したサッカーには希望が感じられた。韓国の強さは、単純だが力強いプレーを何度でも繰り返すことができること、逆境におかれてもそれを跳ね返す精神力を持っていること、攻め時に一気に攻めるパワーがあること、などにある。若い選手も多く、4年後に向けて得るものは多かったと思われる。スイスは念願のグループリーグ突破を果たしたが、ウクライナ戦にセンデロスを欠くようなことになれば、シェフチェンコ対策に悩むことになりそうだ。
[PR]
# by redhills | 2006-06-24 18:38 | サッカー

●黄昏、涙(W杯14日目)

  ピッチに倒れこんだ中田英寿はしばらく立ち上がることはなかった。

  その表情をカメラがアップで捉える。

  目が充血し、潤んでいた。

  しきりと唇が動いている。体が小刻みに震えている。

  常にクールであり、今までは勝っても負けてもいち早く次戦へと頭を切り替えていた男が
  初めてピッチで見せた涙。

  それは明白に、何かが終わったことを物語っていた。


日本 1-4 ブラジル

 ジーコ・ジャパンの集大成は、彼の母国であり世界最強のサッカー超大国である、ブラジルとの一戦となった。就任後初めて先発メンバーを明かさなかったジーコの送り出した2トップは、巻と玉田の2人。キャプテンを中田でなく中澤にしたのは、ディフェンス陣の奮起を促すためか。一方のブラジルは両サイドバックと両ボランチを入れ替えてきた。ベテランを休ませ、控えの若い選手を慣れさせるためだろう。試合前は、中田がロナウド、カカと談笑するなど、和やかな雰囲気。イタリア語での会話だろうか。

 序盤、おそるおそる、という感じでボールをまわす日本。ブラジルもグループリーグ突破を決めているからか、攻撃に本来のリズムはまだない。何本かあった鋭いシュートも川口がセーブ。だが、静かに始まった試合が一本のシュートで目を覚ました。34分、サントスからのスルーパスに反応した玉田が放ったボレーシュートがブラジルゴールに突き刺さる。ジダも一歩も動けなかった、驚きの先制。そして今大会初めてのフォワードの得点。選手起用も当たって勢いを得た日本は中盤の動きも良くなりブラジルに対抗するが、一つのミスが試合を暗転させる。

 前半ロスタイム。ロナウジーニョにボールが渡る。3人がマークに行きかけたところで、広く空いた右サイドに駆け込んだシシーニョへパス。サントスが付くところを、ダイレクトでヘディングで折り返す。このとき、日本は8人が守備に帰ってきていたが、全員の目がロナウジーニョのパスの方向に行ってしまう。ボールは中澤と坪井の間に移動したロナウドへ向かっていく。彼に付いていた中澤が振り返ったときはもう手遅れだった。同点。日本がボールをリスタートさせた途端、笛がなって前半終了。中田が何事か大声で叫んだ

 結局、この1点が日本から勝機を奪った。後半、攻撃の質を高めたブラジルに、ほぼ防戦一方となった日本。自陣に人数を割いているくせに、突破されるのが怖くてチェックにいけず、ボールを持っている選手との間合いが2メートルくらいに広がってしまう。だから好き放題にパスをまわされ、振り回され、無駄に体力を消耗していく。ほぼフリーで撃たれた完璧なミドルシュートで早々にリードを許すと、あとはもう一方的だった。中村がまったくボールをキープできない。パスの精度が悪く、いとも簡単に攻撃が終わってしまう。失点をされたくない、という姿勢しか見られず、点を取りにいく気概がまったく無くなってしまった。

 グループリーグ敗退も残念だがしょうがない。ブラジルに勝てなかったのも良しとしよう。でも、後半の戦い振りには納得がいかない。何点差をつけられようと、負けは負けなのだ。ならばなぜ、最後の力を振り絞って点を取りに行かなかったのか。技術がどうのこうの、日程がどうのこうの言う前に、彼らのメンタルが悲しかった。攻めに出てカウンターを食らったのなら希望はあった。負け戦には負け戦の戦い方があるはずじゃないのか。「黄金世代」と呼ばれた一つの時代が区切りを迎えた。日本サッカーの父、クラマー氏の地元、ドルトムントで日本は惨めな敗北を喫した。

イタリア 2-0 チェコ

 サッカーは時にひどく残酷だ。チェコのグループリーグ敗退は、ネドヴェド、コラー、ポボルスキーら黄金世代が舞台を去るべきときが来た事を冷酷に告げた。

 イタリアに隙がなったわけではなかった。ネスタの負傷による交代は、序盤のチェコの攻撃の鋭さを物語っていた。攻撃に守備にと献身的に動き回ったネドヴェドの放った素晴らしいミドルシュートは、チェフとのキーパー対決に燃えるブッフォンに阻まれた。どうしても先制点が欲しい。だがそんな中、セットプレーからまさかの失点。それからはイタリアの試合だった。チェコの4-1-4-1システムに対抗するべくリッピが置いたトリプルボランチを前にボールを持たされ、手詰まり感だけが募る。そして前半終了間際、まったく危険でない地域での無意味なファウルによるポラックの退場で勝負は決した。カウンターで止めを刺す役目は、フィリッポ・インザーギがおおせつかった。最後までピッチを走り回るネドヴェドの姿が痛ましく、悲しかった。

その他の試合

 オーストラリア 2-2 クロアチア

 日本の負けに見る気を無くしているんだけど、反町氏の試合後の興奮した話しぶりからして、相当面白い試合だったらしいので、ぜひ見てみようと思います。主審も興奮の余り、1人の選手に3枚も警告を出したらしい(笑)。かわいそうですが、彼が今大会で笛を吹くことはもうないでしょう。それにしても、ヒディンクおそるべし、です。彼のサッカーは好きじゃないけど、その監督としての有能さは誰の目にも明らかです。

 ガーナ 2-1 アメリカ

 チェコの負けに萎えてしまいハイライトしか見てませんが、こちらも白熱したようです。追いつかれたところを突き放し、アメリカの猛攻を凌ぎ切ったガーナの強さは相当なものです(2点目のPKの判定は確かに?でしたが)。試合後の主力選手アッピアーの「僕らはアフリカの代表なんだ。負けるわけにはいかなかった」というコメントに、ちょっと羨ましいな、と思いました。初出場でのトーナメント進出、おめでとう!


 この結果、グループEではイタリアが1位、ガーナが2位、グループFではブラジルが1位、オーストラリアが2位となり、トーナメント1回戦は、イタリアvsオーストラリア、ブラジルvsガーナとなりました。ブラジルとガーナの激突は大注目です。アフリカサッカーの実力が計れることでしょう。
[PR]
# by redhills | 2006-06-24 01:39 | サッカー

●勝ち上がるために(後編)

 後編は、グループE~H。波乱の少なかったA~Dに比べて、こっちのほうがいろいろと複雑な状況です。長文のうえに分かりにくいかも。すみません。

グループE---なりふり構ってらんないの!

 今回、もっとも混戦となり、もっとも激しい戦いが繰り広げられているグループE。とにかく、4カ国すべてに突破の可能性があり、ここは何が起きてもおかしくない。どの国も、トーナメントのことを考える以前に、次の試合に全力を集中しなければならない。第3戦も死闘となることは間違いないと思われる。

 現状では、勝ち点4のイタリアがリードしているように見えるが、勝ち点3のチームがチェコとガーナと2カ国あるため、イタリアといえど、負ければ敗退の可能性が高い。しかも、最後にあたるのがチェコとなれば、一歩間違えば地獄行きである。引き分けでもいいのだが、鉄壁であるはずの守備陣がアメリカ戦で見せた脆さは重大な気がかり。ここは攻撃陣に奮起してもらい、先制して有利に試合を進めたいところだろう。勝たねば無意味だが、トッティ、ザンブロッタは警告に注意。

 一方、チェコの置かれた状況は更に悪い。引き分けではかなりの確率で敗退してしまうため、絶対に勝たねばならないのだが、コラーを欠いた攻撃の問題点はガーナ戦で露呈してしまった。ガーナ戦での完敗のショックやベテラン中心の選手の疲労も気になる。バロシュの復帰に目途が立ったのは好材料だが、ベストパフォーマンスは望むべくも無く、守りを固めるイタリアから点を取ることは至難の業だろう。名将ブルックナーに秘策はあるか。

 ある意味もっとも優位に立っているのはガーナだろう。イタリア、チェコという強豪と当って1勝1敗は上々の出来。チェコ戦での素晴らしい勝利で、イタリア戦の失敗を取り返し、W杯初勝利と、自信とを得た。アフリカらしい強靭な身体能力と、クラブでもまれた高い戦術理解力に加え、勢いもあり、アメリカ戦に向け士気も一段と向上していると思われる。得失点差でチェコに負けていることもあり、全力で勝ちに来るだろう。ただ、得点している2人の出場停止がどう響くか。

 残る1国のアメリカは勝ち点1で自力突破の可能性が無く、条件は一番厳しいが、9人でイタリアに立ち向かったガッツで必死に食い下がってくるだろう。ガーナの激しい中盤のチェックをかいくぐっての数少ないチャンスをものにすれば、勝機も十分にある。決してあきらめないのがこのチームの最大の強み。チーム一丸となって戦うだろう。

グループF---あきらめるのはまだ早い

 われらジーコ・ジャパンのグループF。厳しいのは分かってますけど、可能性はゼロじゃない。やっと涼しい夜にゲームができる。本当の日本の実力を見せて欲しい。

 スーパースター軍団、ブラジルは2連勝で早々と突破を決めた。1位突破もほぼ確定的で、最後の日本戦は、パレイラ監督がロナウド先発を明言するなど、まるでトーナメントへの調整試合といった余裕ぶり。彼らにとってはトーナメントからの4試合が本番ということなのだろう。

 日本はブラジルに2点差以上で勝って初めて、突破の可能性が生じる。細かいことはともかく、勝てない最大の原因は点を取れないことにあるのは明白。大黒、巻の先発など、思い切った布陣で勝負をかけるしかない。段々と調子を上げているブラジルだが、レギュラーの多くが出場しないこともあり、実戦でのコンビネーションなどは不十分であると予想され、隙はある。世界を驚かせるチャンスである。

 2位突破の至近距離にいるのがオーストラリア(勝ち点3)。ブラジルに負けたものの、日本に勝ったのが大きなアドバンテージとなっており、引き分けてもほぼ勝ち抜けできる位置にいる。うまさ、速さはさほどではないが、フィジカルに強く、ヒディンクの采配が選手に自信を与えている。クロアチアからの移民を両親とする選手も多くおり、因縁浅からぬ相手との激しいぶつかり合いが見られるだろう。

 クロアチアはオーストラリアを倒せば突破の可能性が大きく開ける。その場合、日本がブラジルに2点差以上つけて勝った場合のみ、総得点で敗退する可能性があるが、ともかく眼前の敵に勝つことである。クロアチアの問題は日本同様、得点力である(いまだに大会無得点)ことから、攻撃陣の奮起が必要だ。

グループG---ジダンはもう見られない?

 何といっても、フランス(勝ち点2)のもたつきが混戦の原因。スイス戦での機能不全、韓国戦での詰めの甘さを、ジダンなしに修正できるのか。W杯初出場のトーゴ相手に取りこぼすことは、グループリーグ敗退だけでなく、ジダンの引退をも意味する。ジダンの姿をもう一度、とチームが一つになれるのか。底力が問われる。

 勝利への執念で2戦連続で勝ち点を獲得したスイス(同4)と韓国(同4)が、グループリーグ突破を賭けて激突する。プレーの激しさ、強さや高さではスイスが上回るが、粘り強く、最後まで勝負をあきらめない韓国も負けていない。ディフェンスラインに不安の残る韓国がスイスの攻撃を凌ぎきれるかが焦点だろう。スイスは両サイドバックと両ボランチ、そしてエース、フレイが警告1であり、トーナメントのことを考えると、韓国のサイド攻撃やパク・チソンの突破は脅威となるだろう。

 このグループは、フランスが勝ち、スイスと韓国が引き分けると3カ国が勝ち点5で並ぶことになる。その場合、フランスが2点差以上つけると、得失点差で韓国が落ちることになる。わずかに韓国が不利か。

グループH---その強さは本物?

 かつてなく力強い戦いぶりで2勝をあげたスペインが突破を確定。サウジアラビア戦はトーナメントを見越し、メンバーを落として臨むだろう。余程の点差で負けない限り1位となるはずであり、そうなると、今まで打ち破れなかった壁であるベスト8でブラジルと当ることが予想されるが、今のスペインの勢いは、その恐怖にも打ち勝つかもしれない。

 2位は、ほぼウクライナ(勝ち点3)とチュニジア(同1)の直接対決で決するだろう。スペイン戦のショックを見事に払拭したウクライナはエース、シェフチェンコも得点してモチベーションも一気に上昇、優位は動かない。一方、サウジアラビアとの引き分けでプランが狂ってしまったチュニジアは、名将ルメールの戦術にグループリーグ突破を賭ける。勝負の分かれ目は、中盤をどちらが支配するかだろう。ウクライナは5人、チュニジアは10人が警告1であり、双方とも慎重な戦いが必要だ。
[PR]
# by redhills | 2006-06-22 14:38 | サッカー

●ひょっとすると、・・・ですよ!(W杯13日目)

 今日はグループCとDで順位が確定した。先に試合の行われたグループDでは、ポルトガルが序盤メキシコの乱れに乗じてあげた2点を守りきり3連勝。危なげなく1位通過を決めた。自力突破に失敗したメキシコはアンドラが引き分けに終わったため何とか2位で通過したものの、次戦への不安を残した。グループCでの全勝対決は、アルゼンチンが終始押し気味に試合を進めたもののゴールを割ることはなく、0-0で引き分けた。この結果、トーナメント初戦で、アルゼンチンがメキシコと、オランダがポルトガルと当ることとなった。

ポルトガル 2-1 メキシコ

 とにかく、いろいろとヘンテコな試合だった。引き分けでも1位が確定するポルトガルが、デコ、クリスティアーノ・ロナウド、パウレタなどを温存してきたのは分かるし、マルケスをボランチに上げて点を取りに来たメキシコの意図もよく分かる。だから開始早々、メキシコが攻め込んできたのも当然だった。

 でも、ポルトガルの最初の速攻で、メキシコがいとも簡単に失点してしまってからゲームがおかしくなった。気を取り直して同点を目指すメキシコなのだが混乱は収まらず、今度は何と、キャプテンマルケスがペナルティーエリアでハンドを犯してしまう!たちまちの2-0。予想外の事態に、メキシコは選手もベンチもサポーターもエキサイト!試合が荒れ模様になってゆく。

 相手の先発メンバーを見て、しめしめ、これなら1位通過も、なんて考えていただろうメキシコ。あわてて1点を返し、後半からはマルケスをセンターバックに戻して落ち着いたと思ったら、今度はフォワードのブラボが大ブレーキ!PKは空高く蹴り上げるわ、キーパーとの1対1にしくじるわと大変。ついには退場者まで出す始末。こうなれば当然、ポルトガルが試合をコントロールするのかと思いきや、これまた不思議なことに、3-3-3という、常識では考えられない布陣を敷いたメキシコが中盤を支配してしまう。ウジャウジャいるだけで、ちっともボールを取れないポルトガル。をいをい…。

 まあ、得てしてグループ突破が決まった国はこんな変な試合をしてしまうもの。ポルトガルもメキシコもおかしかった。いや、何が言いたいのかというと、ブラジルだって…ひょっとすると…ってことですよ!

アルゼンチン 0-0 オランダ

 やはり双方、次の試合のことを考えて警告を受けている主力を使わないできた。オランダはロッベンとファン・ボメルを欠くと、やはり突破力と中盤の構成力が低下する。それに比べてアルゼンチンときたら!メッシとテベスの夢のツートップですよ。贅沢すぎです。試合開始前からどきどきしました。

 予想通り、ほどんどの時間をアルゼンチンが支配してゲームは進みました。何せ、オランダはファン・ニステルローイに全くといっていい程ボールが収まらない、中盤を繋ごうにも、早く厳しい潰しにあってそれもできない、という状態で攻めの形ができません。逆にアルゼンチンのリケルメ、メッシ、テベスにロドリゲスらによる鋭い攻撃に何度と無くペナルティーエリア深く浸入され、控え組中心のオランダディフェンダーたちはギリギリの守備を強いられました。感心したのは、リケルメのフリーキック。クレスポがいないために、ほぼ高さでは勝ち目がないということで、低く早いボールを蹴ってました。コーナーキックでは始めのうちに数回、直接ゴールに向かうボールを蹴ることで、キーパー、ファン・デル・サールの飛び出しを抑え込んでしまいました。それから、何度もいいますが、アジャラさん、マスチェラーノくん、守備すごいです。まだまだ余裕ありありです

 というわけで、アルゼンチンは望みどおり、ブラジルとは決勝まで当らない枠をゲット。トーナメント初戦は10人で走り回ってヘトヘトのメキシコ。インターバルも2日しかないことからみても、かなり有利。一方、こちらも余力を残してトーナメントに備えたオランダは難敵ポルトガルが相手。これは名勝負になること必定ですな。それにしても、メッシ、残念だったな…。

その他の試合

 アンゴラ 1-1 イラン

 ポルトガル-メキシコ戦を見ながらちょろちょろと見たので、詳しいことは分からなかったけど、初出場でまだ無得点のアンゴラに2点差以上での勝利は、やっぱりハードルが高すぎたみたい。でも、W杯初得点、おめでとう!イランは今大会、実力を発揮できなかったと思う。残念でした。

 コートジボワール 3-2 セルビア・モンテネグロ

 こちらは、試合後のハイライトで流れた得点シーンしか見てませんが、2点リードされたコートジボワールが逆転したみたいですね。エース、ドログバを出場停止で欠いていながら2点のビハインドをひっくり返すとは、やはり恐るべき潜在能力。ともかく、W杯初勝利、おめでとう!セルビア・モンテネグロは、国も分離してしまうということで最初で最後のW杯でしたが、1勝も出来ずに終わってしまいました。まあ、入った組が悪かったです。
[PR]
# by redhills | 2006-06-22 06:41 | サッカー

●来た国、来なかった国(W杯12日目)

 今日からグループリーグでの3試合目。優勝を狙う強豪国はそろそろパフォーマンスをあげていく必要がある。グループAでは、開催国ドイツが理想的な試合運びでエクアドルを粉砕、1位の座と日程的に最も有利な枠を得た。グループBでは、2度のリードを追いつかれながらもイングランドが1位となったが、スウェーデンに勝てないというジンクスを今回も破れなかった。

ドイツ 3-0 エクアドル

 う~ん、来ましたね~、ドイツ。ポーランド戦の苦戦がうそのような快勝振り。ファーストチャンスをクローゼがきっちり決めて優位に立ったのが大きかった。コスタリカ戦もそうだったけど、先制すると良くなるね、このチーム。そういう意味で、まだまだゲルマン魂が復活したとは言い切れないんだけど。エクアドルは、3試合目にして初めての失点にも動揺せず、いつも通り巧みに試合をコントロールしようとしていたけれど、守りを固めたドイツのサイドが空かないので攻めに切れを欠いてた。ボールを持たされているような感じでした。

 いずれにせよ、バラック&クローゼのホットラインによる崩しあり、サイドからの速攻からのポドルスキのボレーありと、ドイツが最高に盛り上がる勝ち上がり方でグループリーグを終えたことは確か。トーナメント1回戦、スウェーデンとはかなり激しい肉弾戦になることが予想されます。主力を温存したエクアドルは、気分を替えてイングランドに挑戦です。

スウェーデン 2-2 イングランド

 う~ん、勝ち切れませんね~、イングランド。ジョー・コールの技ありシュートでいい時間にリードして前半を終えたのに、後半早々、セットプレーを完璧に決められて追いつかれちゃう。まあ、1点で勝負がつく試合でもないし、これは想定内だろうけど、続くスウェーデンの攻勢を凌ぐと、休ませていたジェラードまで投入し、4-1-4-1という攻撃的システムで攻勢をかける。そしてついに終盤85分、ジョー・コールの絶妙な折り返しをジェラードが頭で撃ち込んで再びリードしたのに、またまたセットプレーからラーションに押し込まれちゃった。ディフェンスに不安を残しましたね。スウェーデンは、コールを最後まで捕まえられなかったのが響きました。

 1位通過は喜ばしいけれども、どうにも意気上がらないイングランド。ルーニーにメドは立ったものの、今度はオーウェンが怪我で絶望。エクアドルにうまくゲームをコントロールされないようにする必要があるでしょう。中盤に不安の残るスウェーデンはバラックに苦労しそうです。イブラヒモビッチは間に合うでしょうか。

その他の試合

 コスタリカ 1-2 ポーランド

 グループリーグ敗退が決まってしまった2チームの対戦。消化試合と思うのは第3者だけで、スタジアムは勝利を信じる両国サポーターで大盛り上がり。それを受けてか、双方とも今大会初勝利を目指して奮闘、攻めあって、イエローカード10枚が飛び交う激しい試合となった。でもどうしてこういう試合に反町さん起用するの?

 パラグアイ 2-0 トリニダード・トバゴ

 すみません。見てません。ネット上のサマリーを読む限り、一縷の望みを胸に勝ちに来たトリニダード・トバゴが攻め込んだところを試合巧者パラグアイに突かれた、ということみたい。1点目(オウン・ゴール)にしても、トリニダード・トバゴの若さが出たといえばそれまでだけど、攻めさせておいてきっちり勝つというのはパラグアイの十八番だもんね。
[PR]
# by redhills | 2006-06-21 15:38 | サッカー

●勝ち上がるために(前編)

 大会も半分を消化し、グループリーグは各国も残すところあと1試合というところで、今後の展望をしてみよう。今回は前編ということで、グループAからDまで。

 まず大前提として、ワールドカップに出場した32カ国のうち、優勝する力があると考えられ、またそれを実現可能な目標としている国と、それ以外の国とではグループリーグでの戦い方は全く異なるわけで、ここでは、主に前者について、置かれている現状と、今何を考えているのか、に焦点を当てて考えてみたい。

 その前に、一般論としての彼らのグループリーグへの臨み方なのだが、グループリーグ突破は最低限のミッションであり当たり前として、それに加えて、トーナメントでの戦いに備えるため、①できれば1位で通過すること、②けが人を出さないこと、③トーナメント1回戦での出場停止者を出さないこと、④最初からトップコンディションに持っていかないこと、を同時にクリアしようと考える。あと、あの国以外はもう1つ、⑤できるだけブラジルと当らないようにすること、を考える。では各グループごとに見ていこう。

グループA---開催国の意地

 ここは、ドイツとエクアドルが突破を決めており、直接対決を残している。ここで勝って1位となるか負けて2位となるかの違いは大きい。それは、⑤のせいである。ぜひとも勝って1位となり、決勝までブラジルと当らないようにしたい。

 勝ち点は6で同じだが、得失点差でエクアドルが上回る。開催国のプライドもあり、ドイツは引き分けを狙わずに勝ちにくるだろう。もちろん、開催国は有利だろうが、今大会でのエクアドルの試合巧者ぶりは際立っている。ドイツ最終ラインのあの不安定振りでは、8、10、11番の速攻に失点する可能性は大きい。それを防ぐためには、左サイドバック、ラームの攻撃参加と、ボランチのフリングスの働きが重要になるだろう。ポーランド戦をもつれさせた主犯であるクローゼとポドルスキは、チャンスを確実にものにしなければならない。バラック、オドンコル、メツェルダーの3人は警告を犯さないように注意しなくてはならない。

グループB---勝たないほうが良い?

 イングランド(勝ち点6)が勝ち抜け、残りの椅子をスウェーデン(同4)とトリニダード・トバゴ(同1)が争うという構図だが、初出場でW杯未勝利のトリニダード・トバゴがパラグアイに勝つ可能性は低く、直接対決するイングランドとスウェーデンによる、1位抜けをかけた激突となると思われる。

 引き分けでも1位になれるイングランドの優位は動かないが、2試合の戦い振りはとても褒められたものではない。しかもイングランドは38年間スウェーデンに勝てていない。これからのことを考えても、先発出場が濃厚なルーニーの爆発が必要だ。一方、スウェーデンもエース、イブラヒモビッチが怪我で欠くなど、評判の攻撃が影を潜めている。お互いにプレースタイルの似た者同士の、面子を賭けた戦いになると思われるが、⑤の条件からすると、実は2位抜けの方が都合がいい。さらに、もしグループAでドイツが2位になったなら、ドイツと当らないように、是非とも2位になるべきだろう。特にスウェーデンからすれば、引き分ければグループリーグ突破&2位抜けを決められるわけで、ゲームの流れによって戦い方は変わってくるだろう。ジェラード、ランパード、クラウチ、ラーションらは警告に注意。

グループC---真剣勝負はご法度?

 こちらはアルゼンチンとオランダが死の組を生き残った。⑤の条件からすると、最後の直接対決で1位になりたいところ。得失点差ではアルゼンチンがリードしているので、オランダは勝たねばならない

 今大会もっとも優れたサッカーを展開しているアルゼンチンは、警告1のクレスポやサヴィオラ、エインセなどの主力を温存する意向を示している。メッシ、テベスら、控えの充実具合からして戦力ダウンにはならないだろう。一方、ようやく自慢の攻撃力にエンジンがかかってきたオランダも、ロッベンやファン・ボメルなど、警告を受けている主力を使うのかどうか。厳しい2試合を戦った後だ。それに頂点までの道のりはまだまだ長い。大人な両国のこと、お互いに怪我などに注意を払う、慎重な試合になるのでは。

グループD---勝敗よりも…

 ポルトガル(勝ち点6)が突破を確定。残りをメキシコ(同4)とアンゴラ(同1)が争う。しかし構図はグループBと全く同じで、初出場のアンゴラが強豪イランに勝つのは難しく、ポルトガルとメキシコの、1位抜けをかけた直接対決が焦点となると思われる。また、⑤の条件もBと同じで、2位になった方がブラジルと最後まで当らなくてすむ。前回大会でそのブラジルを率いて世界一になったポルトガルのスコラリ監督がどう指示を出すか。

 点取り屋ボルヘッティを怪我で失ってしまったメキシコに対し、デコが復帰し、さっそくスーパーゴールを決めたポルトガルの優位は動かないか。

 バルセロニスタとしては、デコ、フィーゴとマルケスの戦いがとっても興味深いところだけれど、デコ、イエローもらってるから出ないかも。あと、クリスティアーノ・ロナウドとパウレタも警告1だし。ひょっとして、あんまり面白くない試合になっちゃう?

(グループE~Hに続く)
[PR]
# by redhills | 2006-06-20 21:57 | サッカー

●新星たち(W杯11日目)

 今日で各チーム2試合ずつを終えた。今後の展望は改めて書くとして、今大会は期待された若いスター(あるいはスター候補)たちの活躍が目立つように思う。

 アルゼンチンのメッシ、テベス、オランダのロッベン、ファン・ペルシ、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド、スペインのトーレス、セスクなど、20~22歳の若いアタッカーが結果を出している。メッシやセスクなどは、まだティーンエイジャー。本当に恐れ入る。イングランドのルーニーやブラジルのロビーニョも刺激を受けてこれから活躍するだろう。大きな世代交代の波を感じる。

 そして今日、スイス代表にも彼らに勝るとも劣らない素晴らしい才能がいることを知った。トランクイロ・バルネッタ。ドイツ、バイヤー・レバークーゼン所属の21歳。1ゴール、1アシストの大活躍。1点目のアシスト、2点目のゴール、どちらも、スピード、テクニック、ともに申し分の無いものだった。

 まだ大会の半分しか終わっていないが、自分のなかでは、この大会は大成功だと思う。サッカーの未来を輝かせる新星たちがその輝きを見せているのだから。

●今日の結果

 スイス(1勝1分) 2-0 トーゴ(2敗)

 生き残りをかけた激しい攻防をスイスが制した。前半のいい時間に激しい左右の揺さぶりからフレイのゴールで先制したスイスだったが、中盤の選手を代えたトーゴが中盤を支配し、押し気味に前半を終了する。だが、後半から投入されたハカン・ヤキンが見事なキープ力とパス能力で、前に出てくるトーゴの圧力を押し下げ、ガラリと状況を変えてしまう。
 トーゴはアデバイヨルにボールを集めるが、センデロスとミュラーの2人が跳ね返してチャンスを作れず、攻撃が単調になってしまった。次の1点が勝敗を分ける緊迫した時間が続いたが、最後の最後にトーゴの最終ラインが完全に崩されてしまった。さすがに、トルコとのプレーオフを勝ち抜いたチーム。タフネスさと勝負強さは並ではない。

 これでトーゴはグループリーグ敗退が決定してしまった。確かに、ガーナやコートジボワールに比べると当りが弱く、選手が細いな、という感じもするし、失点シーンなどを見てもディフェンスラインの経験不足は明らかだけれども、とても好印象のチームだった。とにかく戦いぶりがすがすがしいのだ。明らかにPKという場面が見過ごされたりと不可解な判定にも泣かされてしまった。それにしても、今大会は途中交代によって流れが変わる試合が本当に多い。

 ウクライナ(1勝1敗) 4-0 サウジアラビア(1分1敗)

 ワールドカップ初戦でガチガチになってスペインに惨敗を喫したウクライナが爆発した。なんとフォワードを右サイドバックに起用するという、現役時代センターフォワードだったブロニン監督らしい驚きの布陣を敷いたこともあったろうが、序盤からサウジアラビアを圧倒した。前半の入りと残り10分、後半の最初のチャンスと残り10分、と完璧な加点の完勝だった。
 スペイン戦と違って選手がどんどん動いて中盤を支配したことで、多彩なパスがシェフチェンコら前線に供給され、本来の攻撃力が花開いた。シェフチェンコのゴールはウクライナ国中が待ち望んでいただろう。お役御免で交代するとき、何度も拳で自分の胸を叩く彼の姿は、「俺たちは強い、誇りを持て!」という国民へのメッセージだった。やはり彼は世界最高のストライカー、モノが違う。来期のチェルシーは得点力が倍増するだろう。こわいなあ…。

 ゲームには関係ないことだけれど、反町氏の解説は良い。各チームのシステムをいち早く見抜いて、その意図も含めて的確に解説してくれる。全試合彼に解説して欲しい(無理だろうけど)。聞いていてとても参考になる。

 スペイン(2勝) 3-1 チュニジア(1分1敗)

 さてさて、まだまだ信用できないスペインでしたが、2つの懸念を払拭する勝利でした。

 1つは、先制されて受けに回っても跳ね返せるのか、そしてもう1つは、中盤のパス回しを封じられたらどうするのか、ということだったんですが、見事やってくれました!しかも、点の取り方が良い!交代で入ったラウルの、こぼれ球に飛び込むという彼らしいゴールで追いついて勢い付くと、その5分後にセスク、トーレスの若い力の2点目で畳み掛ける。最高に盛り上がる逆転勝利でグループリーグ突破を決めた。直接得点には絡まなかったけれど、途中交代で入ったホアキンが右サイドを執拗に突破することで、チュニジアの中盤を混乱させて1点目を呼び込み、パスワークを取り戻していた。アラゴネス采配がまんまと当った。

 でもまだまだ、信用しちゃいけません。まだまだ、まだまだ(笑)。
[PR]
# by redhills | 2006-06-20 13:35 | サッカー



赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
フォロー中のブログ
カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧