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"the Akasakan diary"    ~リトル君の赤坂日記

●面接 (3月24日)

 実は今日は秘かに朝から緊張していた。6時過ぎに仕事が片付くと急いで事務所を出る。いちおう、7時までに行けば良いので大丈夫なのだが、大分待たされるかもしれないので早く行くに越したことはない。

 赤坂へ。ま、いつもの通勤路だから迷いようもない。赤坂通りに面した黄色いビル。エレベーターで8階まで昇る。さ、着いた。ドアは開いている。少し呼吸を整えてから「すみません」と言って入る。

 今日は大切な面接の日なんである。で、何の面接かというと、シナリオ作家協会が主催しているシナリオ講座というのがあって、その基礎科の面接なんである。

 映画のシナリオを書く、というのが今年の大目標であることはすでに公言しているわけだが、今までこれといったことをしてきたわけではない。映画を観たくらいのものだ。だから、この「シナリオ講座」に通うことで本当の第1歩を踏み出すことになる、そんな大事な面接だった。

 きっかけはごく自然な成り行きだった。去年から「シナリオ書いてみたいな」と思っていたところ、引っ越して数日経ったある日の帰り道。赤坂通りを歩いているとペン先を模した鳥の絵の黄色い小さな看板の下に「シナリオ講座」という文字。朝は目立たないが、夜になると明かりがついて赤坂駅方面から歩いてくると良く目に付く。あれっと思って翌朝行きがけに向い側から見上げると、大きな「シナリオ講座」という青い看板。おやおや、こりゃ何とまぁ都合のいいことじゃないかと、何となく川を流れてきた大きな桃を見つけたおばあさんのような気持ちになったのだが、怠け者のためにしばらく放っておいた。あるとき思い出してネットで検索して概要を調べた。ふんふん、新藤兼人が学長か。入門科と基礎科、研修科、ええーっと基礎科は半年、週2回か…。

 他にもシナリオを教える所はあっただろうが、自分としては何より通いやすいという理由でハナから決めていた。しかしあいにく基礎科は10月から始まっており、4月まで待たなければならない。だが仕事との兼ね合いから言えば、4~9月の方がずっと時間が作れそうで実は願ったりだった。

 ドアをくぐって部屋に入ると、左手にカウンターがありいくつか机が並んでいる。基礎科の面接に来た旨を告げるとヒョロッとした感じのお兄さんが申し込み用紙の名前を確認してから右手の奥の方へと案内してくれる。テーブルがあって椅子が6つほどある。「面接会場の準備しますんでここに座って少し待っててください」と言われる。

 時間の余裕が出来てほっとして椅子にかける。すでに1人先客がいた。やや小太りの男性でメガネをかけ、何やら一生懸命に本を読んでいる。緊張を読書でまぎらわしているのか。その様子を見ているとこちらも少し緊張してくる。面接ってどんなこと聞かれるんだろうか。プロのシナリオ作家ってどんな人たちなんだろうか。あれこれ考えていると、お兄さんが戻ってきた。先客に何か聞いている。面接どこでしますか、とか言っている。会場が変更になったのかな、などと思っていると、「じゃぁ、ここでいいんじゃない」などと話していた先客さんがこちらに向かっていきなり聞いてきた。「どうします? ここで面接やっちゃいますか。移動するのめんどくさいし」

 あれ? この人やけになれなれしいな。別にここで面接やってもいいけどさ、あんたが決めるの、それ、と思ったのは一瞬で、続けて先客さん、「あ、ごめんなさいね。僕がこの講座の講師の安井です」と言って頭を下げた。「あ…ど、どうも。は、はじめまして」…!!突然の面接モードである! 不意打ちを食らってややアタフタする。なるほど、そうか、そういうことだったのか、と思ったがもうどうしようもない。にこりと笑って「面接、ここで結構ですよ」と答えた。

 実際のところ、安井先生はとても気さくで話しやすく面接はいつ始まっていつ終わったかというような和やかな雰囲気の中で10分程で終わってしまった。言われたことは1つだけ。受講生の中でプロになれるのはほんの一握りであり、この講座を受けたからと言って、プロになれるという確約が得られるものでは決してない、ということだった。程なくお兄さんがやってきて一通の封筒を渡される。封はされていない。中を見てくださいと言われてみると、新藤兼人学長名の合格通知だった。はや! と思ったものの、有難く受領する。

 こうして、やや意外な展開を示したものの、面接は無事に終了した。開講日は4月12日だ。どんな講義があるんだろう。どんな人たちが集まるんだろう。グッとテンションが高まってきた。
by redhills | 2005-05-24 18:05 | 日記
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赤坂日記・・・赤坂在住の"Akasakan" リトルが、東京のへそで日々の思いを綴る。

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